国会開幕と政党 展望示し農業政策競え

 通常国会が今日開幕する。並行し、今後10年間の農政の方向を定める新たな食料・農業・農村基本計画の検討が、3月の閣議決定に向けて大詰めとなる。農業生産基盤の再建・強化策が最大の焦点。国会でも各党は、農業・農村のビジョンと、それを実現する政策パッケージを掲げ農政論議を展開するべきだ。

 今国会はまず、昨年の臨時国会の宿題に対応しなければならない。日米貿易協定承認案の審議は農家の不安払拭(ふっしょく)には程遠い結果に終わった。閣僚の辞任問題などに時間を取られた上、野党が求めた資料提出に政府が応じず、答弁も踏み込み不足だったことが原因だ。

 国内対策と生産基盤強化策を盛り込んだ今年度補正予算案と来年度当初予算案の審議を通じて、①政府の影響試算のように、生産量と農業所得が減らない対策になっているか②和牛生産量の倍増などを掲げた、政府の農業生産基盤強化プラグラムの実現につながるか──といったことを検証する必要がある。

 また、家畜伝染病予防法改正案をはじめ農水省の提出予定法案は、豚コレラ(CSF)対策の強化や農産物新品種の海外流出防止など、喫緊の政策課題に対応する上で重要だ。

 しかし、政党の中でさえ議員がばらばらに意見を述べ質問したのでは、議論は深まらない。

 農業は、生産基盤の柱である担い手の不足と農地の減少が深刻化。食料自給率は最低の37%(カロリーベース、2018年度)に落ち込んだ。3年連続で増えた農業総産出額と生産農業所得も、18年は減少に転じた。環太平洋連携協定(TPP)、日欧経済連携協定(EPA)、日米協定が相次ぎ発効し未曽有の輸入圧力にさらされる。

 農家以外を含めた農村の人口も減少し、農業資源の管理・保全をはじめ集落機能の維持が困難な地域が増える恐れがある。日本全体も人口減少時代に入った。一方で、若者らの価値観に変化も見られ、「田園回帰」の潮流が強まっている。

 こうした新たな局面で、農業・農村の持続性を高める処方箋を、生産・流通・消費、そして地域振興といった幅広い課題に対応する総合政策として描くのが、基本計画の使命である。

 基本計画を定めている食料・農業・農村基本法は、政府の基本問題調査会の1998年の答申を踏まえて策定。答申の最後は、食料・農業・農村の活力ある未来に向けて努力することが「子供や孫に明るい未来と幸せを約束するための、全国民的な義務である」と結ばれている。だからこそ基本計画の改定では国民的論議が求められる。しかし今回は盛り上がりに欠ける。

 国民の代表からなる各党は、代表質問や予算委員会から骨太の農政論議を戦わせるべきだ。それは基本計画への国民の関心を高めることにもつながる。年内の衆院解散も取り沙汰されており、総選挙に向けて政策を競い合い、磨くことにもなる。

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