ポスト安倍 重荷を背負う出発に ノンフィクション作家 大下英治

大下英治氏

 「桜を見る会」や「コロナ騒動」などで、一強を誇ってきた安倍晋三内閣の支持率が下落している。安倍政権寄りとみられる産経新聞とFNNの合同世論調査でさえ、支持率は36・2%で、ついに不支持率の方が上回り、46・7%になっている。安倍4選の声もしぼみつつある。それに比例して、ポスト安倍に一層の注目が集まってきている。

 私は『ポスト安倍八人』という本の取材を始めているが、「コロナ騒動」が始まる2カ月前に、宏池会会長の岸田文雄自民党政調会長の後見人的存在の古賀誠宏池会名誉会長にインタビューし、意外な答えに驚いた。
 

岸田氏は尚早?


 「岸田さんがすぐに目指さなくてもよい。過去の歴史を見ても、長期政権の後は誰がやっても短命になりやすいことは明らかでしょう」

 「中曽根(康弘)政権の後は、竹下(登)、宇野(宗佑)、海部(俊樹)、宮沢(喜一)政権と短命で、ついに細川(護熙)連立政権に政権を奪われてしまったではないか。小泉(純一郎)長期政権の後も、第1次安倍、福田(康夫)、麻生(太郎)政権と短命で、野党の鳩山(由紀夫)政権に取って代わられてしまった。今回のより長期の第2次安倍政権の後は、修羅場・土壇場・正念場の連続だと思います。仮に岸田さんがポスト安倍の総理になったとしても、問題山積の状況で引き受けるのは相当大変なんじゃないかと思っている。年齢的にはまだ若いのだから、岸田カラーをしっかりまとめて、国民の期待に応える政権を目指してほしいと思っている。急がずに、国民の期待や盛り上がりを大事にしてほしいですね」

 それに現在、「コロナ騒動」まで加わってきた。
 

菅氏への期待も


 一方で、古賀はポスト安倍の有力候補として菅義偉官房長官への期待についても語った。菅はかつて古賀が会長を務めていた当時の宏池会に所属していたこともあった。

 「菅さんの度胸と情報収集、その分析力はすごいものがあります。彼も秋田の山間部から出てきたたたき上げの政治家ですから、土の匂いがする。日本のリーダーへの情熱を期待したいものです」

 このように菅への期待を示していた古賀は、この1月27日、大阪市の講演で語った。「岸田政権をしっかりと早く実現するのも、私の一つの大きな使命」

 ひとまず岸田にということであろうが、菅への期待を否定したわけではない。

 いずれにせよ、安倍長期政権の後を引き受ける首相は、重荷を背負っての出発となる。

 おおした・えいじ 1944年、広島県生まれ。広島大学文学部卒業。週刊文春の記者を経て作家として独立。政財官界から芸能、犯罪などまで幅広い創作活動を続けている。著書に『田中角栄 最後の激闘』『日本を揺るがした三巨頭 黒幕・政商・宰相』など。

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