[未来人材] 22歳。牛の哺乳体験きっかけ夢の繁殖農家に 苦闘…胸弾む初出荷 荒谷涼香さん 青森県三沢市

牛の面倒を見る荒谷さん(青森県三沢市で)

 青森県三沢市の荒谷涼香さん(22)は、中学生の時の農業体験で抱いた夢をかなえ、黒毛和種の繁殖農家として新規就農した。新規就農者は地域でも珍しい上、人工授精師や削蹄(さくてい)師などの仕事を学んだ若手農家として、周囲の期待は高い。現在は農家になるきっかけを与えてくれた牛と先輩農家と共に、畜産技術をさらに高めたいとしている。

 仕事として畜産を志すようになったのは中学3年生のころ。もともと動物が好きだった荒谷さん。農業体験で牛に哺乳した際に「将来はこの仕事をしてみたい」とほれ込んだ。

 先輩農家からは「就農したなら牛をあげる」と言われたことを胸に秘めながら、農家になる夢を持ち続けてきた。県立三本木農業高校、青森県営農大学校に進学し、畜産の技術をはじめ家畜人工授精師と牛削蹄師の資格を取得した。

 昨年2月、先輩農家から約束通り3頭の繁殖牛を譲り受け、農家としてスタートを切った。託された牛の中には荒谷さんが哺乳をして、農家になるきっかけを与えてくれた「さくらなみ号」も含まれていた。

 就農当初は失敗の連続だった。牛は言うことを聞かず、資格を生かした人工授精もうまくできない時が続いた。そんな時に助けてくれたのは、地域で畜産に関わる多くの仲間たちだ。地域の農家や獣医師は荒谷さんに何回もチャレンジの機会を与え、自らの経験も積極的に伝えながら、荒谷さんを支えた。

 最近は少しずつ現場の仕事に慣れてきたこともあり、受精率も向上。獣医師から人工授精の仕事を任せられるようになってきたという。荒谷さんと家族ぐるみで付き合いがある三沢市内の農家は「まだまだ勉強不足だが、よく頑張っている」とエールを送る。

 営農開始から1年、牛舎も建設し、繁殖雌牛は6頭、子牛も4頭まで規模を増やした。畜産の道へ導いた「さくらなみ号」は今も現役で、娘と孫の3世代が荒谷さんの元で過ごしている。

 育てた牛は今夏には初めての出荷を迎える。荒谷さんは「楽しみ。わくわくする」。今後は「腕を磨き、地域の人たちの期待に応えられるよう頑張っていきたい」と話す。(音道洋範)
 

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