農薬危害防止運動 適正使用さらに徹底を

 農薬を使う作業が増える時期に合わせ、きょうから「農薬危害防止運動」が始まる。今年は新型コロナウイルスの影響で、他産業の従事者ら農業経験のない人に応援を頼む経営も多いだろう。事故が起こらないよう、農薬の管理や周辺環境への配慮について例年以上に気を引き締めて作業に臨みたい。

 農薬事故は、農水省が公表した最新のデータとなる2018年度で25件42人と2年連続の増加となってしまった。同年度に被害者数が最も多かったのは「農薬使用後の作業管理不良」。4件で14人が影響を受けた。土壌薫蒸後の被覆を怠ったことが主な原因だ。

 同省は、薫蒸剤を使う場合は防護マスクなどの装備を着用することに加え、被覆する資材が十分な厚さと薬剤に対応する材質であることの確認や、ビニールハウスなどの施設内であっても完全に被覆することなどを徹底して求めている。

 住宅地の近隣などにある農地では、周辺環境への配慮も重要になる。20年度の運動テーマでは「農薬は周りに配慮し正しく使用」を掲げる。これまでの取り組みの中では依然として、周辺住民や農作物への飛散防止、住宅地などでの農薬の適正使用に十分な配慮がされていない場面があったからだ。

 農薬飛散による事故は18年度、1件1人の報告にとどまったが、17年度には2件8人の被害と、八つの作業区分で2番目に被害者が多かった。飛散は一度の作業で多くの人に影響が出る恐れが大きい。

 そこで20年度の運動では、新たに飛散防止に特化したポスターを作成した。①飛散の少ない粒剤などの剤型や、飛散低減ノズルを使用②十分な時間の余裕を持って幅広く周知③ドローン(小型無人飛行機)なども含めた防除機器・散布装置の機能や性能を正しく理解④無風や風が弱い時など、周りに影響が少ない天候や時間帯を選択──することを強く呼び掛ける。

 18年度の農薬使用調査では、4年ぶりとなる不適正使用が1戸で判明している。正確に計量せず、基準よりも多く使ったことが原因と考えられる。作物からは、食べても人体に問題がある量ではないものの、残留基準値を超える農薬の検出が確認された。調査農家は476戸、農薬の使用回数は4878回という限られた中での結果であり、思い込みや確認不足での誤用は誰でも起こしてしまう可能性がある。

 運動の期間は8月末までの3カ月と設定しているが、当然ながら農薬の適正な使用への注意が必要なのは、この時期に限ったことではない。新型コロナ禍で、家庭での食事が増えたことなどにより国産農産物への消費者の期待が高まっている。いま一度、薬剤のラベルや散布機器の使用・洗浄手順などの基本確認を徹底し、消費者の信頼を裏切ることのない安全・安心な国産農産物の供給を続けたい。
 

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