わらつと納豆作ろう 農家から原料仕入れ 「収入の一助に」 長野県飯島町 加工・販売企業
2020年08月11日

「笑つと納豆手作りキット」とわらつとを手にPRする同社スタッフ(長野県飯島町で)
長野県飯島町でわら細工の加工・販売をしている「未来いいじま」は、わらつと納豆を手作りできるキットを販売している。原料のわらは同町や周辺市町村の農家から買い上げたものと、同社で栽培したわらを使用。商品の販売を皮切りにわらの新たな販路を模索し、農家の副収入としてのわらの需要拡大を目指す。
同社では農家から稲わらを1キロ当たり25~70円で買い取り、米俵や大相撲で使う土俵などに加工し、販売をしている。だが、用途は限られており、需要の底上げを模索していた。
キットは同町の小学生が発案。2019年3月に町内の道の駅でテスト販売すると大人気で、1日で39セット が売れた。手応えを感じ、今年の7月10日に正式に発売した。
キットには、わらつとが2本と、県産の大豆「ナカセンナリ」が60グラム入っている。納豆の発酵に必要な温度を保つための使い切りカイロ2個、納豆作りの手引書も含まれる。煮沸消毒したわらつとに蒸した大豆を詰めて、40~60度で18~20時間ほど保温すると完成する。
大豆の仕入れには長野市の納豆メーカーが協力した。わらつとを束ねる作業や、袋詰めは箕輪町の障害者施設に委託。「農家や障害者、地域の人が笑顔になる」という思いと、わらつとをかけ、商品名は「笑(わら)つと納豆手作りキット」と名付けた。
駒ケ根市の日帰り温泉施設「こまくさの湯」で販売する他、同社が電話で注文を受け付けている。供給体制が整えば、県内の道の駅やインターネットでの販売も考えている。
同社の藁(わら)細工製造本部長の酒井裕司さん(45)は「農家の収入の一助となり、もうかる農業につなげることで、地域の農地を守っていきたい」と強調。「夏休みの自由研究にもぴったりだと思う。将来的には年間10万セット を目標に全国で売り出したい」と意気込む。
1セット 1100円。問い合わせと注文は同社、(電)0265(86)6600。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=MNsg9pp7pv0
同社では農家から稲わらを1キロ当たり25~70円で買い取り、米俵や大相撲で使う土俵などに加工し、販売をしている。だが、用途は限られており、需要の底上げを模索していた。
キットは同町の小学生が発案。2019年3月に町内の道の駅でテスト販売すると大人気で、1日で39セット が売れた。手応えを感じ、今年の7月10日に正式に発売した。
キットには、わらつとが2本と、県産の大豆「ナカセンナリ」が60グラム入っている。納豆の発酵に必要な温度を保つための使い切りカイロ2個、納豆作りの手引書も含まれる。煮沸消毒したわらつとに蒸した大豆を詰めて、40~60度で18~20時間ほど保温すると完成する。
大豆の仕入れには長野市の納豆メーカーが協力した。わらつとを束ねる作業や、袋詰めは箕輪町の障害者施設に委託。「農家や障害者、地域の人が笑顔になる」という思いと、わらつとをかけ、商品名は「笑(わら)つと納豆手作りキット」と名付けた。
駒ケ根市の日帰り温泉施設「こまくさの湯」で販売する他、同社が電話で注文を受け付けている。供給体制が整えば、県内の道の駅やインターネットでの販売も考えている。
同社の藁(わら)細工製造本部長の酒井裕司さん(45)は「農家の収入の一助となり、もうかる農業につなげることで、地域の農地を守っていきたい」と強調。「夏休みの自由研究にもぴったりだと思う。将来的には年間10万セット を目標に全国で売り出したい」と意気込む。
1セット 1100円。問い合わせと注文は同社、(電)0265(86)6600。
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https://www.youtube.com/watch?v=MNsg9pp7pv0
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農家に“ありがとう” みんなで伝えよう 全農 「食の応援団」 虹のコンキスタドール 的場華鈴さん
JA全農の「食の応援団」を務めるアイドルグループ、虹のコンキスタドールのリーダー、的場華鈴さん(20)が、日本農業新聞のインタビューに応じた。応援団の活動で国産農畜産物のおいしさを知る一方、農家が消費者の感謝の気持ちに触れる機会が少ないことに驚いたという。得意なインターネット交流サイト(SNS)を通じ「農家や食への『感謝』を盛り上げたい」と力を込める。
農業の経験はなく、小さい時の帰り道に畑で作業している農家に「こんにちは」と声を掛けたくらい。……
2021年01月15日

本紙モニター調査 米需給対策=4割「課題あり」 輸出5兆円=「対策次第」3割
日本農業新聞が12月中下旬に行った農政モニター調査で、主食用米の需給均衡に向けた農水省の対策について「課題がある」との回答が39%に達した。米政策の改善には「転作メリットの拡充」が必要との声が最多だった。農林水産物・食品の輸出額を2030年に5兆円にする政府目標の達成の成否は「対策次第」とみる回答が33%で最も多かった。
農水省は昨年12月、輸出・加工用米や麦・大豆などへの転換に10アール当たり4万円を助成する「水田リノベーション事業」をはじめ、転作支援の拡充や米の需要喚起に向けた対策を発表。……
2021年01月17日
「災害強い地域」切望 島根・江の川氾濫から半年 移転決定も課題山積
広島県と島根県を流れる1級河川・江の川が豪雨で氾濫してから14日で半年がたち、流域では災害に強い地域づくりを望む声が高まっている。平成以降でも8回の大きな水害に見舞われるなど、危険と隣り合わせの江の川流域。常態化する災害を乗り越えようと、集団移転や堤防建設が進みつつあるが、費用がかさむなど課題は山積みだ。(鈴木薫子)
美郷町
「腹を決めた。もうここには住めん」。江の川と支流の君谷川が流れる島根県美郷町港地区。自治会長を務める屋野忠弘さん(78)ら5戸は、地区内の高台にある安全な場所への集団移転を決断した。
江の川の直近の氾濫は2020年7月14日。同県だけでも8市町で全半壊42戸、床下浸水43戸、水田は213ヘクタールが冠水した。農林水産関係被害額は約20億円に上る。
同地区は川沿いに13戸が点在するが、地形が低い上に堤防がなく、農地冠水などの水害が毎年起きる。7月の豪雨では本流が増水して支流の水をせき止める「バックウオーター現象」が起き、家屋も浸水した。
住み慣れた土地を離れたくないという思いを抱えながらも、次世代を優先させた屋野さん。集団移転は、国の防災集団移転促進事業を利用。同年9月の町議会で請願書が採決され、移転先として地区中心部の集会所近くを希望した。
だが事業は思うように進まなかった。移転先は山を切り崩して造成する必要があるが、費用が想像以上に膨らんだ。造成費用の国の助成上限は1戸約1000万円だが、試算した費用は4倍近い。高齢の移転希望者が多く、高額の持ち出しは厳しい。屋野さんは「中山間地で条件に合う所を探すのは難しい。地形に見合った助成をしてほしい」と切実だ。
同町建設課の担当者は「住民の負担を減らしたいが、町の持ち出しが膨らむ」と頭を抱え、町は費用見直しや別の移転先の選定を進める。屋野さんらは「年寄りが今から新しい場所に溶け込むのは難しい」と考え、地区内での移転を希望している。
堤防建設急ぐ 江津市
2020年7月の豪雨による江の川氾濫で浸水した島根県江津市桜江町(中国地方整備局提供)
長さ194キロ、流域面積3900平方キロの江の川。堤防が必要な区間は154キロに上るが、20年3月末現在で27%に当たる41キロ分の堤防がない。水害が常態化している地域が多いが「堤防規模が大きく建設に時間がかかる」(国土交通省中国地方整備局河川計画課)ため、整備が遅れていた。
20年7月の大規模な氾濫を受け、江津市桜江町では建設が急ピッチで進むことになった。水田やカボチャ畑が冠水した同町小田地区では、今年6月に念願の堤防が完成予定だ。支流の田津谷川流域でも用地・建物調査が進む。
田津谷川が流れる同町川越地区の渡田自治会では、18年の西日本豪雨で被災した若い世帯2組が地区外へ転居するという苦い過去がある。自治会長の小松隆司さん(64)は「(これ以上の災害は)地区が衰退しかねない」と懸念。堤防の早期建設を望む。
<メモ> 防災集団移転促進事業
災害危険区域などの住居を安全な場所へ集団移転させるもので、事業主体は市町村。20年4月に住宅団地の規模要件が「10戸以上」から「5戸以上」に緩和された。移転先の用地取得や造成、住宅建設などの費用は、国が実質94%、市町村が6%を負担する。東日本大震災を除く同事業の実施状況は、35市町村で移転戸数1854。
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2021年01月14日

国産で輸出加工品を 中国向けに高級ジュース 全農
JA全農はホクレン、サントリーと共同で、輸出向けの高級商品「北海道産プレミアムりんごジュース」を開発し、中国で販売に乗り出した。富裕層がターゲットで、2月に始まる春節での需要を狙う。日本からの農産物加工品は輸入原料が多く、全農は国産を原料にした加工品輸出のモデルとして、新たな需要を開拓したい考えだ。
12月に発売した。原料は北海道産のリンゴで、700ミリリットル瓶2本入りの贈答向けの商品とした。JA全農インターナショナルが開発・輸出し、サントリーの中国法人、三得利が販売する。
新型コロナウイルス禍を踏まえ、eコマース(EC=電子商取引)で販売する。サントリー中国法人のECサイトで、春節向けの贈答品としてPRする。中国で知名度のある、卓球日本代表の石川佳純選手(全農所属)もPRサイトに起用している。また、インターネット交流サイト(SNS)でのPRも予定している。
販売は、価格設定や需要について調べるテスト販売の位置付け。全農は輸出拡大に向けた政府の関係閣僚会議などで、輸出加工品の原料として国産の利用を広げる必要を訴えている。今回の取り組みで、そうしたモデルを率先して探っていく。
全農は「全農グループの素材を生かし、サントリーと共同で新たな輸出の需要を作り出したい」(輸出対策部)と話す。
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2021年01月11日
農業分野の技能実習生 1~3月2000人予定 人手不足を懸念 入国停止で農相
野上浩太郎農相は15日の閣議後記者会見で、1~3月に来日を予定していた農業分野の外国人技能実習生らが約2000人に上ると明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、技能実習生を含む外国人の新規入国は停止中で、生産現場の人手不足が問題となる可能性がある。野上農相は影響を注視しつつ、代替人材の確保を後押しする考えを示した。
昨年12月末時点で今年1~3月に来日予定だった技能実習生らの数を、都道府県やJAなどに聞き取ってまとめた。……
2021年01月16日
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[活写] “最辛”の熊対策
青森県中泊町で木炭の生産を手掛けるツリーワークは、インド原産の激辛トウガラシ「ブート・ジョロキア」と木酢液を使った熊の忌避剤を開発した。熊の出没が多い2020年は、全国から問い合わせが相次ぎ、受注が前年の10倍に増えたという。
商品名は「熊にげる」。ジョロキアから抽出した辛味成分と木酢液を混ぜた黒い液体だ。臭いが漏れ出るよう上部に穴を開けたペットボトルに入れ、畑の近くにつるして使う。
炭・木酢液を研究する谷田貝光克東京大学名誉教授の助言を受け16年に開発。青森や秋田、長野県などのトウモロコシ畑やリンゴ園で試験し、熊や猿に対する効果を確認した。
ジョロキアの施設栽培にも取り組み、製品のコストダウンに成功した。現在はハウス2棟で、製品2トン分の原料を収穫する。価格は1リットル入りで1万円。1ヘクタールの畑で約1年間使える量という。
同社代表の佐々木嘉幸さん(82)は「注文が増えている。原料が足りないので、栽培に協力してくれるよう農家に呼び掛けたい」と話す。
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https://www.youtube.com/watch?v=1MJ-IJGQgDc
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2021年01月17日

原動機1台で内張り2層を同時展張 茨城・施設ピーマン栽培の須之内さん
茨城県神栖市でピーマンを施設栽培する須之内康至さん(66)は、内張りカーテン2枚をビニール巻き取り用の原動機1台で張る方法を取り入れ、省力化につなげている。2枚のカーテンの端を固定し、同時に展張する仕組みだ。
カーテンの端固定
須之内さんは、栽培面積95アールのうち、促成作型の30アールで10年ほど前から取り入れている。カーテンを展張する仕組みは、親戚に改良してもらったものだ。
ワイヤ巻き上げ式の内張りカーテンを、3重に被覆する。屋根側の2層のビニールの端を、直径約1センチの鉄パイプにパッカーで固定。下層のビニールは、たるむほどの余裕をもたせてある。
張ったカーテンを確実にしまうために、ビニールを固定した鉄パイプと、下層のビニールを支えるワイヤをひもでつないだ。
カーテンの操作は手で電動スイッチを押すタイプ。午前8、9時に下層のカーテンから開け、午後4時ごろにカーテンを閉める。
「カーテンの開閉は毎日の作業。電動だが操作が一つ減るだけでも、省力的に感じる」と須之内さんは実感する。
ビニールを巻き上げるワイヤが伸びて長くなり、巻き上げが不十分になることがあるため注意が必要という。
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https://www.youtube.com/watch?v=R_dqGEomQ4w
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2021年01月12日

リンゴ、梨収穫はロボにお任せ 速度は人と同等で適期も見極め 農研機構など開発
農研機構と立命館大学、デンソーは23日、リンゴや梨を自動で収穫するロボットを開発したと発表した。果実の認識、収穫、コンテナへの収納が自動でできる。収穫速度は人とほぼ同じ、果実1個当たり11秒。今後2年かけて実証試験を続け、実用化を目指す。
はさみを使わずに収穫できるリンゴ、梨、西洋梨が対象。樹形は着果面が平面になるV字樹形に対応する。
収穫ロボットは、自動走行車両がけん引する。人工知能を活用。アームの土台にある2個の高性能なカメラによって果実を認識し、着果位置を把握する。3本爪のハンドが果実をつかみ、回転させて収穫する。
リンゴと西洋梨は、カメラで認識した全ての果実を収穫する。高さ80~200センチに着果した果実に対応。梨は果頂部の色を認識し、収穫適期の果実だけを選んで取る。試験では夜間でも精度90%で熟度を判定できた。収穫する果実がなくなれば走行車両を動かし、自動で次の果実に移動する。
収穫後の果実は、走行車両の荷台にある、収納システムのベルトコンベヤーに優しく落とす。2本爪のハンドが運ばれた果実をつかみ、コンテナに置く。満杯になったら自動で荷台に移動。荷台には5段重ねのコンテナが4山置ける。
収穫スピードの1個当たり11秒は、1時間で300個を収穫できる速さだ。自動走行車両を使った薬剤散布や除草も含め年間の作業時間を50%削減できるという。
農研機構果樹茶業研究部門は「海外の吸引型の収穫機と異なり、果実に傷が付きにくく、収穫適期が見極められるのが特徴」と説明する。他の果樹への応用も検討する。
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https://www.youtube.com/watch?v=z9pVKn_F7SQ
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2020年12月24日

[旬菜物語] リンゴ「ピンクレディー」 長野・JAあづみ
小ぶりでも輝く魅力
長野県は全国2位のリンゴ生産量を誇ります。県内有数の産地のJAあづみ管内で栽培される「ピンクレディー」は小ぶりで甘酸っぱさが特徴の希少なリンゴです。「ピンクレディー」の特徴と地域のご当地グルメ「安曇野林檎(りんご)ナポリタン」を紹介します。
色鮮やか 貯蔵に強み
リンゴ「ピンクレディー」は商標名で、正式な品種名は「クリプスピンク」です。オーストラリアの試験場で誕生したリンゴで、世界各国で栽培されています。栽培の権利はオーストラリアの組織が管理しており、苗木生産と商標使用に対して使用料を支払う必要があります。
日本で生産する場合は、農家がオーストラリアの組織と契約し、日本の「ピンクレディー」の生産者組織、日本ピンクレディー協会に所属することが必要です。
同協会は2006年に発足しました。当初は所属する生産農家は長野県内の9人でしたが、20年3月時点では県内外の44人まで増えました。19年度は同協会で年間130トンを生産しました。長野県のJAあづみ管内では7人の農家が生産。同協会で生産する「ピンクレディー」の半分以上を占め、生産量は全国トップです。
「ピンクレディー」の果皮はピンク色を帯びた鮮やかな赤色をしています。1個180グラム前後の小ぶりなリンゴで、強い酸味がありながら甘さもある濃厚な味で、食べるとしゃきっとした歯応えがあります。生食はもちろん、加熱しても煮崩れしにくい特徴を生かして、アップルパイやタルトなどの調理にも最適です。
収穫時期はJA管内で主力のサンふじとほぼ同じ、11月中・下旬です。収穫した「ピンクレディー」は1月末まで貯蔵することで強い酸味が和らぎ、香り高い風味が楽しめます。サンふじの出荷時期を避けることができるのも利点です。
葉摘み作業念入りに
同協会の会長を務める、安曇野市のリンゴ農家、中村隆宣さん(62)は「ピンクレディー」の貯蔵性の高さを「冷蔵庫で保存すれば収穫から1年ほどは食感や味を維持できる」と紹介します。
栽培時は「ピンクレディー」独特の鮮やかな色味が付くように葉摘み作業を念入りに行います。また、料理に使いやすいように、他の品種よりも摘果を少なくすることで小ぶりなサイズに仕上げます。
中村さんは自身の農園では「ピンクレディー」のドライフルーツやジャム、ジュースの販売などの6次産業化に取り組む他、「ピンクレディー」をPRする曲を作詞・作曲するなどして認知度の向上にも力を入れています。
中村さんは「日本は欧米に比べてリンゴの消費量が少ない。消費者が『ピンクレディー』のような新しいリンゴに出合うことで、リンゴ全体の消費が拡大してくれたらうれしい」と笑顔で話します。
<JAあづみ>
安曇野市と松本市の一部を管内に持ちます。降水量も少なく、豊富な日照量に加えて、600~700メートル前後の標高が生み出す寒暖差を生かしてリンゴを中心に栽培する果樹の産地。他にも、稲作や野菜、キノコ、花きの栽培も盛んです。
<ショッピングメモ>
JAあづみ管内の生産者はJAを通じて東京や大阪などの市場に出荷します。JA農産物直売所「安曇野スイス村ハイジの里」(長野県安曇野市豊科南穂高5566の1)などでも販売しています。
甘酸っぱさが隠し味 安曇野林檎ナポリタン
長野県安曇野市には、ご当地グルメ「安曇野林檎ナポリタン」があります。2011年に市が取り組んだ事業がきっかけとなり、調理師会や大学、商工会などと連携して開発しました。条件は具やソースに同市産のリンゴを使うことだけで、提供店舗ごとに個性があります。14年には市内の飲食店5店で提供を開始。20年には市内外の14店まで拡大し、ご当地グルメとして、浸透しつつあります。
「安曇野林檎ナポリタン」
同市の「食事処(どころ)美里」では、トッピングに千切りにした「ピンクレディー」を使います。同店のオーナーシェフの北林智紀さん(43)は「『ピンクレディー』は、酸味とうま味がナポリタンと相性が良い上に、保存が利くので通年で商品を提供できる。千切りにした時に色が変化しにくいので見栄えもいい」と魅力を語ります。
ソースには酸味が特徴の「紅玉」のジャムも使います。北林さんは「『ピンクレディー』や『紅玉』のジャムがない時は、酸味や香りが強い品種のリンゴやジャムで代用が可能」とアドバイスします。
<食事処美里>
1977年創業。長野自動車道安曇野インターチェンジから車で15分ほど。営業時間は昼が午前11時半~午後2時、夜は午後5時半~9時半。水曜日が定休日。長野県安曇野市堀金烏川5059の10。(電)0263(72)6952。
<レシピ>
■材料(1人分)
ピンクレディー4分の1個、紅玉のジャム30グラム、乾麺のスパゲティ100~120グラム、ブナシメジ30グラム、タマネギ40グラム、ベーコン45グラム、ニンニク3分の1かけ、ケチャップ90ミリリットル、オリーブ油・モッツァレラチーズ・パセリ・塩・こしょう・ナツメグ・シナモン・各適量
■作り方
①強火で熱したフライパンに多めのオリーブ油とスライスしたニンニクと短冊切りにしたベーコンを入れて炒める
②フライパンに入れたベーコンの外側がくびれてきたら①とタマネギとブナシメジを加え炒める
③具に火が通ったらケチャップを入れて油とよく絡ませる。焦がさないように気を付けながらケチャップの色につやが出るまで炒めたら火を止めて、好みでナツメグとこしょうを入れる
④スパゲティを5%の塩分濃度の塩水(分量外)に常温で5時間漬けておく。それを1分間ゆでる
⑤③のソースと「紅玉」のジャム、④のスパゲティをあえて、皿に盛り付ける
⑥⑤に溶かしたモッツァレラチーズとシナモンを掛ける。その上から千切りにした「ピンクレディー」を盛り付けて、仕上げにパセリを振り掛ける
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=-atIIwSQoOY
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2020年12月12日

熊手型除草機(ホウキング)が自走式に 農家の発明を商品化 福岡・古野さんとオーレック
1時間の作業1分で
福岡県桂川町の農家、古野隆雄さん(69)が自作したアイデア農機具「ホウキング」の仕組みを応用した「株間除草セット」を、農機メーカーのオーレックが商品化した。同社の自走式小型管理機「ACE ROTOR(エースローター)」に取り付けて使う。野菜や乾田直播(ちょくは)の水稲など、幅広い品目で草取りの労力を減らせる。青ネギを栽培する100メートル畝での試用では、くわの手作業で1時間かかる除草が1、2分でできた。
古野さんの元祖「ホウキング」は、針金製の熊手を改造して作る。畝の上で引くと針金の先が雑草だけを根ごと抜く。雑草の根は作物よりも細く浅く張るため、土をひっかくだけで取り除ける。作物は針金の間をすり抜け、傷まない。新商品も原理は同じだ。熊手型で、1連で20センチ幅をカバーできる。
「ホウキング」は針金の数を増やすときは縦に取り付けないとバランスが取れないのに対し、株間除草セットは、横に針金の数を増やしても安定する。同社開発部が麦畑で実証したところ、最大で4条を一度に除草できた。除草する幅や針金が入り込む深さなどは苗や雑草の生育状況に応じて変えられる。
同社は、作物の根がしっかり張ってから使うのを勧める。発芽後1、2週間が目安だ。苗定植の場合も同様。再び雑草が生えるので7~10日置きに除草する。
古野さんは「複数の条での除草や速度を踏まえると、大規模の有機農家は特に導入する価値がある」と評価。ただ、「ホウキングに比べコストはかかる」とも指摘する。
「株間除草セット」の価格は、2連型が5万2800円、4連型が9万6800円。取り付ける作業機のエースローターは、2連用の「AR650」が24万2000円、4連用の「AR300」は20万6800円。農機具店で購入できる。
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https://www.youtube.com/watch?v=epTqVCtchYg
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2020年10月20日

農業Week開幕 スマート農機最前線 千葉
日本最大の農業・畜産資材の展示会「農業Week(ウイーク)」が14日、千葉市で始まった。同時開催の「国際ガーデンEXPO」などを含め、500社が出展。最新のスマート農業製品や資材をアピールした。新型コロナウイルス対策として、検温やマスク着用を徹底する他、オンライン参加にも対応した。リードエグジビションジャパン主催。16日まで。
会場では小型無人飛行機(ドローン)や自動運搬台車、草刈り機など、人手不足に対応して作業を省力・軽労化するロボット農機が目立った
散布や運搬 お任せ
ドローンメーカーのXAG JAPANは、農薬散布や収穫物の運搬を自動化する農業用無人車「R150」を発表した。バッテリー式で、フル充電で4時間の走行が可能。ドローンが使いにくい果樹園などに向く。
薬剤散布用のタンク容量は100リットル。二つの散布スプレーは上下に200度、左右に290度回転し、幅広く噴霧できる。
同社のドローンと同じ自動運転機能を採用した。位置情報を基にルートを設定して自動で走行する他、リモコン操作や作業者に追随する機能もある。傾斜15度まで対応する。バッテリーを15分でフル充電にする急速充電器も紹介。2021年内の発売を予定する。
自動水門や防虫照明
北菱電興は、来春発売予定の水田用自動水門「アクアポート」を紹介した。水田の水位調整に機能を絞り、3万円台に価格を抑えた。
二つの水位センサーを水田内に設置し、給水口の塩ビパイプに本体を接続。自動で給水と止水を切り替えて設定水位を維持する。単1電池4本で稼働するため、電源がない場所でも使える。
本体は高さ42センチ、幅23センチ、奥行き19センチで重さは5・5キロ。価格は3万8000円ほど。同社は「取り付けも簡単。水管理の省力化に役立ててほしい」と期待を込める。
左から、北菱電興が来春発売予定の「アクアポート」。スピリッツの「害虫くん退散1号」。シシクアドクライスの階段昇降台車(14日、千葉市で)
スピリッツは、ヤガ類などを寄せつかせない発光ダイオード(LED)照明「害虫くん退散1号」を出展した。畑や施設内に設置して害虫が活動しにくい波長の光で寄せ付けない仕組みだ。農薬散布回数の削減による省力化やコスト削減を期待する。
本体は長さ約1・2メートル、直径25ミリ。10メートルほど光が届く。同社によると、施設カーネーションや露地のネギやタマネギ、キャベツなど20戸以上の農家が利用しているという。消費電力は18ワットで、家庭用電源が必要。価格は1本4万5000円(税別)。
段差を越えられる台車や、荷物を載せたまま階段を昇降できる台車の出展も目立った。物流資材を扱うテイモーは、段差乗り越え台車「ロイターバウル」を実演。台車前方の二つの車輪が動いて最高4センチの段差をスムーズに越えられる仕組みになっている。同社は「ちょっとした段差で困っていたらぜひ試してほしい」と勧める。価格は5、6万円とし、別途送料が必要だ。
シシクアドクライスは、階段を昇降できるゴムクローラー台車「HTーCUー1」で、試作品のハンドストッパータイプを紹介した。ストッパーで階段からのずれ落ちを防止できる。硬い平地なら2輪台車として使える。車輪タイプもある。同社は「荷物を載せたまま安定して階段の上り下りができる」と強調する。価格は9万4000円(税別)。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=B2LmMhdLqoU
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2020年10月15日

姿変えず1世紀 今も農の要
JAおおいたが運営する中津市の農産物直売所「オアシス耶馬洞門」は、1923年にできた米倉庫を改装した建物だ。右から書かれた「農業倉庫」の文字が、100年の歴史を今に伝え、赤れんがが道行く人の目を引き付ける。
かつて直売所の付近にはコンビニエンスストアやスーパーなど食材を販売する店舗がなかった。そこで合併前のJA中津下毛が、地域活性化と組合員の生活が便利になるように、遊休施設だった倉庫を直売所に改装。れんが造りの見た目はそのままに、2004年にオープンした。
店は観光地・耶馬渓にある「青の洞門」に近く、新型コロナウイルスの感染拡大前は、多くの観光客でにぎわった。今は特産の干しシイタケや栗、梨など秋の味覚を求め、地元客が訪れる。
オープン当時から働く米農家の楢原津由子さん(58)は「地元の人にとって昔からのなじみの建物。新鮮な野菜が並ぶので、観光で来た時には立ち寄ってほしい」と話す。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=RaWq60cR9iU
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2020年10月14日

わらつと納豆作ろう 農家から原料仕入れ 「収入の一助に」 長野県飯島町 加工・販売企業
長野県飯島町でわら細工の加工・販売をしている「未来いいじま」は、わらつと納豆を手作りできるキットを販売している。原料のわらは同町や周辺市町村の農家から買い上げたものと、同社で栽培したわらを使用。商品の販売を皮切りにわらの新たな販路を模索し、農家の副収入としてのわらの需要拡大を目指す。
同社では農家から稲わらを1キロ当たり25~70円で買い取り、米俵や大相撲で使う土俵などに加工し、販売をしている。だが、用途は限られており、需要の底上げを模索していた。
キットは同町の小学生が発案。2019年3月に町内の道の駅でテスト販売すると大人気で、1日で39セット が売れた。手応えを感じ、今年の7月10日に正式に発売した。
キットには、わらつとが2本と、県産の大豆「ナカセンナリ」が60グラム入っている。納豆の発酵に必要な温度を保つための使い切りカイロ2個、納豆作りの手引書も含まれる。煮沸消毒したわらつとに蒸した大豆を詰めて、40~60度で18~20時間ほど保温すると完成する。
大豆の仕入れには長野市の納豆メーカーが協力した。わらつとを束ねる作業や、袋詰めは箕輪町の障害者施設に委託。「農家や障害者、地域の人が笑顔になる」という思いと、わらつとをかけ、商品名は「笑(わら)つと納豆手作りキット」と名付けた。
駒ケ根市の日帰り温泉施設「こまくさの湯」で販売する他、同社が電話で注文を受け付けている。供給体制が整えば、県内の道の駅やインターネットでの販売も考えている。
同社の藁(わら)細工製造本部長の酒井裕司さん(45)は「農家の収入の一助となり、もうかる農業につなげることで、地域の農地を守っていきたい」と強調。「夏休みの自由研究にもぴったりだと思う。将来的には年間10万セット を目標に全国で売り出したい」と意気込む。
1セット 1100円。問い合わせと注文は同社、(電)0265(86)6600。
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2020年08月11日

[新型コロナ 備えて前へ] “密”避けて 「アンシン オトドケ」
「お待たせしました。お客さまのお料理をお持ちしました」
料理の配膳でロボットが活躍するのは、新潟市の焼き肉店「キラキラレストラン焼肉黒真」。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎながら、ブランド牛「にいがた和牛」などの消費拡大につなげていく。
ロボットの名前は「エイミー」。高さ1・5メートルの人型で、胸部のトレーに料理を載せて客席まで運び、客が受け取ると自動で待機位置まで戻る。タイヤを備え、店内を自在に移動する。
同店は新型コロナ対策で4カ月ほど休業していたが、7月の営業再開に当たってロボットを取り入れた。従業員と客が接近する回数を減らし、安心して食事を楽しんでもらう。現在は、配膳作業の1、2割をロボットが担っている。
同店の山田菊夫支配人は「新型コロナ対策だけでなく、ロボットの配膳は面白いと家族連れに非常に人気」と手応えを話す。
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2020年08月02日

リンゴの高密植矮化栽培 ロボット芝刈り実演 全農長野
JA全農長野は28日、長野県飯綱町のリンゴを高密植矮化(わいか)栽培する園地で、ロボット芝刈り機実演会を開いた。株元が盛り上がって傾斜になっている場合でも除草できることを紹介した。高密植矮化栽培では、細い苗木を密植するため、株元の除草に草刈り機は使いにくい。除草剤散布や手作業で対応しているが労力かかるため、ロボット芝刈り機で省力化するのが狙いだ。
全農長野によるとロボット芝刈り機の導入は桃、ブドウ、慣行栽培のリンゴなどの園地では事例はあるが、リンゴの高密植矮化栽培では珍しい。
実証試験は7月上旬から始めた。JAながの、長野市の農機メーカー麻場と連携。ハスクバーナ・ゼノアが開発したロボット芝刈り機「オートモア430X」を溝の深いタイヤに換えるなどして、傾斜のある園地でも草刈りできるようにした。麻場によると、タイヤなどを替えたロボット芝刈り機の価格は、概算で5~7万円ほど高くなる見込みだ。
約18アールの園地を半分に区切って稼働。樹間は1メートルで、1列55本。樹間にも入って草刈りができている。協力農家の黒岩智子さん(41)は「炎天下の中で株元の草刈りは大変だが、ロボットだと勝手に草を刈ってくれるので楽」と効果を実感する。
JA営農指導員ら30人が参加。全農長野生産振興部の竜野竜部長は「リンゴのスマート農業化の第一歩だと思う。省力化をして栽培面積維持につなげたい」と強調する。
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https://www.youtube.com/watch?v=baHvrk6p58U
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2020年07月29日