コロナ禍中の産地 需要変化に即し戦略を

 新型コロナウイルスの感染再拡大が急速に進んでいる。都市部を中心に飲食店の営業自粛や休業などを求める自治体が相次ぎ、外食需要が再び落ち込む恐れがある。コロナ禍の収束が見通せない中、“ウィズコロナ時代”に対応した産地づくりや販売戦略を考える必要がある。

 コロナ禍に伴う政府の緊急事態宣言の解除から2カ月以上たった。農畜産物の需要は、業務用の落ち込みを堅調な家庭向けが補い、牛肉などを除く幅広い品目で回復してきた。しかし相場の回復は、産地の出荷調整や長梅雨などによる供給量の減少が要因となっている面があり、楽観視はできない。

 この間、外出自粛や巣ごもり消費の高まりなどで農畜産物の消費動向は大きく変化。食品業界の中でも明暗が分かれた。コンビニエンスストアや百貨店、外食は売り上げが厳しい状況にある一方で、食品スーパーや宅配業者は好調だ。

 業界内には「コロナの混乱は最低2年続く。変化に対応した企業だけが生き残る」との指摘がある。ウイルスの存在を前提とせざるを得ないウィズコロナ時代が当分続くとの見立てだ。こうした見方を参考に産地は、実需や消費動向の変化に対応した販売戦略を立てるべきだ。

 変化への対応に動き出した産地もある。低迷する業務需要が取引先の中心だったつまもの産地だ。愛知県豊川市で、つまものを専門に生産する東三温室農協は、4~6月の取引でハーブや大葉などが半値近くに落ち込んだという。

 厳しい局面を打開するため同農協はスーパーに活路を求めた。ハーブティーやハーブサラダを楽しめる2種類のセット商品の販売を開始。また、大葉ではスーパー向けの小容量パックや9種類の荷姿を用意するなど新たな需要の掘り起こしに懸命だ。商品開発では県の事業を活用。市場関係者の意見を聞きながら現在も工夫を続けている。

 大産地も動き出した。全国有数のタマネギ産地、北海道のJAきたみらいは、業務・加工向けの販売を強化する。コロナ禍で中国産タマネギの輸入が停滞した際、国産では十分な供給ができなかった。加工体制が整わなかったためだ。日本の農業の弱点を浮き彫りにした。

 そこでJAは、農水省の緊急経済対策「国産農畜産物供給力強靭化対策」を活用し皮むき機を導入、むきタマネギを増産することにした。業務・加工業者との取引拡大に必要だからだ。JAは「開拓の余地がある」とし、輸入から需要を奪還したい考え。コロナ禍を「攻めの姿勢」で乗り切る取り組みだ。

 未曽有の危機といえるウィズコロナ時代に対応するには、産地間の連携強化が、これまで以上に必要になる。農畜産物を安定的に供給することが重要だからである。産地と食品業界が一丸となって難局を乗り切りたい。政府や自治体には一層の支援を求める。

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