コロナ苦境 21厚生連が赤字 受診控え長期化 見えぬ出口

医療の方針を話し合う菊池院長(右)ら(北海道帯広市で)

 農村医療を守るJA病院が、新型コロナウイルス禍で長期的な苦境に立たされている。感染を気にした受診控えなどで、今年4~8月はJA病院のある道県などの全21厚生連が赤字に陥り、経営打開策も直ちに見通せない状況だ。JA北海道厚生連帯広厚生病院は、コロナ陽性患者を受け入れながら、23に及ぶ幅広い診療科を維持している。(望月悠希)
 

農村の医療守る 北海道・JA帯広厚生病院


 同病院は農業地帯である十勝地方の基幹病院。地域で初めてコロナの陽性患者が確認された2月27日から、感染症指定病院として患者を受け入れてきた。他の地域からも含め、多い時は6人の陽性患者が入院していたという。

 病院は周囲の町村からも多くの患者が利用するため院内感染で休診すれば、地域の医療は崩壊しかねない。そこで防護服の着用など、コロナ患者に接する職員の感染対策を徹底した。現場で課題を共有し地道に対策を固めた。

 看護師ら医療従事者、職員は神経を使って検温や換気、消毒などを徹底した他、会食制限などのルールも設けた。光恵子看護部長は「患者とその家族だけでなく、自分や自らの家族が感染しないようにすることが、院内感染を防ぐ上で重要」と苦労を明かす。

 医療従事者は施設利用を拒まれるなど、周囲の無理解にも苦しんだ。そこで病院はメンタルケアを重視し、相談を受ける専門家を配置するなどの対応も取っている。

 だが同病院の4~9月の外来患者は1日当たり1418人で前年比12%減、入院患者は同516人で同14%減。菊池英明院長は「経営は厳しいが地域医療を守るため、住民や農家から期待される役割を果たしていくしかない」と話す。

 JA全厚連によると、2019年4~8月はJA病院のある全21厚生連のうち8カ所が黒字だったが、20年同期は全てが赤字になった。全厚連は「JA病院は地域医療を守るため人口の少ない地域に設置されるなどぎりぎりの経営をしてきたが、コロナが追い打ちを掛けた」と指摘する。

 コロナ禍の影響が中・長期に及ぶ中、地域を守る公的病院の経営は深刻さを増している。JA全厚連など地域医療機関組織の6団体でつくる「地域医療を守る病院協議会」は、一時的な基本診療料の引き上げなどによる財政支援や、病院の再編統合の議論見直しなどを求めている。
 

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