最大級の転作拡大 実効確保の鍵は手取り

 農水省が米需給安定への対応策を示した。主食用からの作付け転換を巡っては、支援策の単価の決定が政府予算案の編成時などに持ち越された。過去最大規模となる減産の実効確保のために、主食用と遜色ない手取りを得られるようにすべきだ。過剰作付けが続いており、米政策の検証に着手する必要もある。

 米政策は、主食用米と非主食用米を含む転作作物の生産を通じ、食糧法の目的である「需給及び価格の安定」と、食料・農業・農村基本法が掲げる「国内の農業生産の増大」を目指すことが肝要だ。農家の所得が増え、担い手の確保・育成をはじめ生産基盤が強化され、食料自給率の向上につながるからだ。

 土台となるのが、需要に応じた主食用米の生産である。しかし国による生産数量目標の配分や生産調整達成メリットを廃止した2018年産以降、適正生産量に比べて過剰作付けが続く。一方で、自給率向上への戦略作物である飼料用米や加工用米、大豆の近年の作付面積は17年産をピークに減っている。

 18、19年産は作況指数の低下で需給と価格が安定。しかし20年産では、過剰作付けと新型コロナウイルス禍に伴う米の需要の減少で需給が緩和するとの見通しが強まり、米価が低下している。大幅な下落を防ぐには、21年産の生産量を36万トン、面積で6・7万ヘクタール、率として約5%減らすことが求められる。

 どうやって達成するか。現行米政策の「産地主体の生産調整」の下では、①JAや行政、農家、農業法人、集荷業者、実需者など地域の関係者が連携する②販売代金と水田活用の直接支払交付金といった助成金、団地化などによるコスト削減効果を勘案し、水田農業の所得を最大化する作付けの“最適解”を見つける③水田フル活用ビジョンに落とし込み、実践する④国と自治体は、実効確保に必要な支援を行う──ことが基本だ。

 この観点から、共同(プール)計算や生産者手取りの平準化、用途変更の円滑化など、産地一体で取り組みやすくする仕組みを設けることは評価したい。しかし、これが機能するには、非主食用米の手取りが主食用米と遜色ない水準になることが重要だ。水田活用の直接支払交付金の「前倒し支援」の単価は、今年度第3次補正予算案の編成過程で決まる。また転作を拡大する農家への国の支援は都道府県の予算に左右される。国も県も十分な財源を確保すべきだ。

 主食用米の過剰作付けは農家の経営にも、地域農業の振興にも、自給率の向上にも、食料の安定供給を望む国民にもマイナスである。3年連続での発生は、現行の米政策ではその解消が難しいことを物語る。また、支援単価の引き上げの一部は補正予算を使うため一時的と言える。農家が将来を見通せるよう、米の需給安定や転作作物の生産振興、経営安定、担い手確保、流通など幅広く検証し、必要な見直しにつなげるべきだ。
 

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