TPP大綱改定案 輸出戦略を反映 政府
2020年12月03日
環太平洋連携協定TPPなど大型経済連携協定の国内対策の指針となる「TPP等関連政策大綱」の改定案が2日、判明した。2030年の農林水産物・食品輸出5兆円目標に向けた政府の実行戦略を新たに反映し、輸出先の需要や規制に対応した「輸出産地」の育成や、輸出に取り組む事業者の投資支援などの充実を盛り込む。
改定は、日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN、10カ国)などによる地域的な包括的経済連携(RCEP)や日英経済連携協定(EPA)などを受けたもの。改定を踏まえ、20年度補正予算に盛り込む国内対策を決める。
RCEPで中国などに輸出する農産物の関税の削減・撤廃が進むことから、大綱では輸出増につながる体制整備を重視した。輸出促進に向け、知的財産対策の強化も提起。中国、韓国などRCEP参加国へのブランド品種の流出防止を強化する狙いがあるとみられる。
国内の生産基盤強化策では、加工食品や外食・中食向けの原料となる農産物について、国産への切り替えを後押しすることも盛り込んだ。畜産・酪農の増頭、増産対策などこれまでの基盤強化策も引き続き提起する。
改定は、日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN、10カ国)などによる地域的な包括的経済連携(RCEP)や日英経済連携協定(EPA)などを受けたもの。改定を踏まえ、20年度補正予算に盛り込む国内対策を決める。
RCEPで中国などに輸出する農産物の関税の削減・撤廃が進むことから、大綱では輸出増につながる体制整備を重視した。輸出促進に向け、知的財産対策の強化も提起。中国、韓国などRCEP参加国へのブランド品種の流出防止を強化する狙いがあるとみられる。
国内の生産基盤強化策では、加工食品や外食・中食向けの原料となる農産物について、国産への切り替えを後押しすることも盛り込んだ。畜産・酪農の増頭、増産対策などこれまでの基盤強化策も引き続き提起する。
おすすめ記事

事業総利益3・2%減 信用、共済依然厳しく 20年度上半期JA経営
JA全中は、2020年度上半期のJA経営速報調査の結果をまとめた。企業の売上総利益(粗利益)に当たる事業総利益は7758億4900万円で、前年同期比3・2%減。信用や共済の事業環境が引き続き厳しいことに加え、購買は新型コロナウイルスによる需要減も影響した。減少は5年連続。
6月決算のJAを除く576JAを集計した。……
2021年01月20日

広島県基幹種雄牛 「花勝百合」を選抜 能力と希少血統 両立 BMS 県歴代トップ
広島県は黒毛和種種雄牛「花勝百合」を県基幹種雄牛に選抜した。同牛は、現場後代検定で枝肉成績の脂肪交雑基準(BMS)ナンバーが8・8と、県基幹種雄牛で歴代1位を記録。枝肉重量も県内トップ級でBMS、産肉能力を兼ね備えた牛として、県は活躍を期待。高い能力と、和牛のルーツといわれる広島血統の濃い牛としてアピールする。(鈴木薫子)
「花勝百合」は、2015年11月17日生まれ。……
2021年01月22日
農家のコロナ対策 リスク管理で経営維持
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、改めて農業者に注意を呼び掛けたい。基本的な予防対策に加え、不測の事態に備えた代替要員の手当てなど、経営維持のためのリスク管理を徹底しよう。
恐れていた冬場のコロナ第3波が各地で猛威を振るっている。今月発令された2度目の緊急事態宣言は、首都、近畿、中京圏など11都府県に拡大。茨城、熊本、宮崎、沖縄などは県独自の緊急事態宣言を発令した。そこに静岡県で変異ウイルスの市中感染も確認され、危機感はさらに募っている。感染の波は、大都市部から地方都市へと広がり、今やどこで感染が起きても不思議ではない。
農水省によると、農業者や農業関連施設での大規模な集団感染は報告されていないが、油断は禁物だ。「野外作業が中心の農業は大丈夫」「ハウス内も換気に気を付ければ心配ない」。そんな思い込みや「コロナ慣れ」に陥っていないか。生産現場での感染拡大は経営や農畜産物の供給に影響するだけに、感染防止の基本に立ち返りたい。
緊急事態宣言の再発令を受け、政府は改めて、業界団体が中心になって作成した業種別ガイドラインの順守を呼び掛ける。ガイドラインは、各業界の実態に沿った感染防止策と事業継続に関する内容を盛り込む。農業関係者向けは大日本農会、畜産事業者向けは中央畜産会がそれぞれ作成して、周知・活用を働き掛けている。
農業者向けのガイドラインは団体のホームページで随時更新、順守すべきチェックリスト表も載せ、すぐ使えるようになっている。まず予防対策の基本は、日々の検温、「3密対策」、マスク着用、人との2メートルの間隔、適切な換気、作業場や事務所への飛沫(ひまつ)防止用シートの設置などだ。通常の手指消毒に加え、ドアノブや手すり、便座など人が触れる所は水と洗剤で拭き取る。共有するはさみなどの道具類の清掃も同様だ。また作業服は小まめに洗濯し、完全に乾いたものを着る。
ガイドラインは、こうした日常の衛生管理対策に加え、感染者発生時の対応、業務継続に向けた備えを求める。家族経営の場合、1人の感染でも営農の継続は難しくなる。不測の事態に備え、生産部会の仲間やJA職員ら代替要員のリストを作り、作業手順が分かるようにしておく。農業法人の場合も同様だ。あらかじめ組織内に支援体制を整備し、責任者や担当者を決め、事務所や作業場の速やかな消毒、代替要員の手当て、作業工程や動線の変更、関係機関との連携に取り組むよう求める。
特に代替要員は、人手不足の下ですぐに手当てできるとは限らない。国籍や職業を問わず代替要員を受け入れた農家の掛かり増し経費を助成する農水省の「農業労働力確保緊急支援事業」などを活用したい。感染リスクを想定し事前に備えることは、今や経営者の責任である。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月23日
JA全国女性大会 「新たな活動」で仲間を
きょう、JA全国女性大会が開かれる。活動の灯(ひ)を消さないように、関係性を絶やさないようにと各地で模索が続く中、「Withコロナ時代の新しいJA女性組織活動」をウェブ上で語り合う。インターネット交流サイト(SNS)や動画配信、ウェブ会議など新たな手法を取り入れて活動を進め、新たな層を巻き込みたい。
「できることからはじめよう」──。JA全国女性組織協議会(JA全国女性協)とJA全中が2020年9月に作成した「Withコロナ時代における新たなJA女性組織の活動指針」では、これを合言葉として、新型コロナウイルス禍からの“再起動”を呼び掛けた。
日本農業新聞くらし面では、今大会を前に「女性部活動withコロナ」を連載。JA長野県女性協議会のSNSを活用した情報発信、愛知県JAあいち海部の自宅で受講できるオンライン教室(動画配信)などを紹介した。これらの手法は今ある関係性を深めつつ、新たな層とつながることにも有効だ。各地の事例がそれを証明している。
JA全国女性協は今年、70周年という節目の年を迎える。前身である全国農協婦人団体連絡協議会の設立が1951年。加藤和奈会長は「先輩たちも困難に打ち勝ってきた」と歴史を振り返りながら、新たな活動手法を指して「コロナ下だからできることがある」と語る。
来年度は、JA全国女性協3カ年計画(19~21年度)の最終年度。計画は、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の考え方を初めて取り入れたのが特徴だ。具体的活動として、①食を守る②農業を支える③地域を担う④仲間をつくる⑤JA運営に参画する──を示した。どれも、各地の女性組織が長い年月をかけて展開してきたものだ。
コロナ下で、とりわけ重要となるのが「仲間をつくる」ことだろう。JA全国女性協の会員は、前年比3万366人減の49万1330人(20年7月時点)と減少が続き、会員拡大が長年の課題となっている。
しかし「withコロナ」の考え方で、会員以外の層に活動の楽しさや重要性を伝えられれば、少しずつでも仲間づくりは進む。仲間づくりはひいては食を守り、農業を支え、地域を担うことにもつながるだろう。
「70年という節目」と「withコロナ」。くしくも、歴史的なタイミングが重なった。今、大会やイベントに集まれずとも、できることはある。まずは少人数からでも取り組みを始めよう。
本日の大会では「できること」から始めた各地の会員がスピーチで取り組みを発表する。参考になる手法は共有して、それぞれの地域で展開してほしい。そして、JAのトップ層は女性組織活動の意義と役割を正当に評価し、支援をしてほしい。食と農を基軸にしたJAの価値を伝える重要な担い手なのだから。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月20日
通常国会と農政 基盤強化へ審議尽くせ
通常国会が始まった。農業経営への支援を含む新型コロナウイルス対策や米の需給対策を盛り込んだ2020年度補正予算案と21年度当初予算案、国家戦略特区での一般企業の農地所有特例を延長する法案など、国会は重要な農政課題に向き合う。生産基盤の維持・強化の観点から、徹底した審議を求める。
施政方針演説で首相は、前政権から継承した農業の成長産業化を地方重視と結び付け、東京一極集中の是正と地方の活性化の柱に据えた。具体的には、農林水産物・食品の輸出額目標5兆円を達成するための産地の支援と、主食用米から高収益作物への転換促進を掲げた。
両者とも、現行の食料・農業・農村基本計画が目指す食料自給率の向上と生産基盤強化の一環といえる。加工・業務用需要の輸入品からの奪還や飼料用米をはじめ戦略作物の推進、中小・家族農家の支援なども重要だ。緊急事態宣言の再発令で農畜産物の需要が減り、生産基盤が弱体化する懸念もある。
こうした課題を踏まえて国会は、補正・当初予算案が生産基盤の維持・強化に効果的か議論すべきである。米の生産調整の実効性を巡っても検証が必要だ。前年産比6・7万ヘクタールの過去最大規模の作付け転換を21年産で達成しないと、米価が大幅に下落する恐れがある。また18年産で始まった現行の米政策の下で作付けは3年続けて過剰となった。課題を洗い出し、あるべき姿について議論が必要だ。
施政方針演説では、地方活性化の手段として規制改革を重視する姿勢も強調した。首相は、行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を政策運営上の壁とみなし、その打破も表明した。これら両面から、農業が標的となることに警戒が必要だ。
国家戦略特区がその例だ。兵庫県養父市で認めている一般企業の農地所有特例の全国展開を巡る議論は、関係閣僚が慎重姿勢だったが、同特区諮問会議の民間議員が強硬に主張、異例の「首相預かり」となった。今回は特例の2年延長で決着し、同特区法改正案を国会に提出する。しかし特例の利用は低調で、延長が必要かどうか国会は熟議すべきだ。官邸主導の政策決定の在り方も議論の俎上(そじょう)に載せる必要がある。
規制改革推進会議には、農地所有適格法人の議決権要件の緩和を求める意見もある。一般企業の農地取得につながり、撤退後の耕作放棄や産廃置き場にされることなどが懸念される。こうした論点も議論すべきだ。
施政方針演説では、環太平洋連携協定(TPP)の今年の議長国として加盟国の拡大に向けた議論を主導する考えを示した。貿易協定の拡大が、なし崩し的に農畜産物の一層の自由化につながらないよう政府の姿勢をたださなければならない。
衆院議員の任期は10月までで、総選挙が必ず行われる。国会論戦の中で各党には農政の選択肢を示すことも求められる。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月19日
農政の新着記事

大雪被害の新潟県を視察 営農再開へ支援強調 農相
野上浩太郎農相は23日、昨年12月からの記録的な大雪で農業被害が発生した新潟県の南魚沼市と上越市を視察した。両市で倒壊した育苗ハウスを視察後、上越市で行政やJA関係者、農家らと意見交換。春の営農に向けた支援を求める要望があり、野上農相は「施設の撤去や再建、種子や苗の確保、果樹の植え替え、畜産被害の対応などの支援が必要だ」と述べた。
南魚沼市では、JAみなみ魚沼の育苗ハウスを視察。……
2021年01月24日
富山で鳥インフル 14万羽殺処分 16県目
農水省と富山県は23日、同県小矢部市の採卵鶏農場で鳥インフルエンザの疑似患畜を確認したと発表した。県は同日から採卵鶏約14万1000羽の殺処分など防疫措置を始めた。高病原性と確認されれば今季38例目で、同県の農場での発生は初めて。全国では16県目となる。
発生農場では、22日に約2000羽の死亡を確認して通報。23日午前8時に高病原性の疑いがあるH5亜型と判定した。県や自衛隊など720人態勢で殺処分を始めた。県によると、3、4日かかる見通しという。
発生農場から半径3キロ圏内の移動制限区域には養鶏場はないが、半径3~10キロの搬出制限区域には4戸が約72万3000羽を飼育している。
同日は宮内秀樹農水副大臣が新田八朗知事とウェブ会談で対応を協議。鳥インフルエンザ防疫対策本部で、野上浩太郎農相は飼養衛生管理基準の徹底を訴え、勧告や命令を経ても「基準を順守しない者に対して、県による命令違反者の公表を実施するよう国が指示するなど、家畜伝染病予防法に基づく措置を厳格に適用していく」と強調した。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月24日
食料供給確保へ連携 気候変動にも対応 閣僚宣言を採択 ベルリン農相会合
世界の90の国・国際機関が参加したベルリン農相会合が22日夜、テレビ会議形式で開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動への対応が世界的な課題になる中、食料供給の確保に向けて連携を強化することで一致。食料価格の乱高下につながる輸出規制などの措置の制限、持続可能な農業生産に向けた国内農政の改革など、各国に求める行動をまとめた閣僚宣言を採択した。
同会合は、ドイツ政府主催で2009年以降、毎年開いている。今回のテーマは「パンデミック(世界的大流行)や気候変動の状況下で、いかに世界の食料供給を確保するか」。日本から出席した野上浩太郎農相は、人と家畜に共通する感染症を含めた「将来のパンデミック防止」の分科会で議長を務めた。
閣僚宣言では、新型コロナ禍の中で食料供給に努める農家らに「深い感謝」を表明。一部の国が食料の輸出を規制したことを念頭に、「貿易の不必要な障壁や、世界の食料供給網に混乱を生じさせてはならない」「食料価格の過剰な乱高下につながりかねない、いかなる措置も行われないよう注意する」などと明記した。
持続可能な食料供給と気候変動への対応の両立を重視する方針も打ち出した。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の目標達成に向けて、「市場と規制措置を含む国内政策を実施する」と表明。化石燃料の使用を削減する生産方法や作物の開拓を支援する。新たな技術は、特に小規模農家が導入しやすい価格にする必要性を強調した。
野上農相は、鳥インフルエンザなど越境性の動物疾病の感染拡大が食料安全保障のリスクを高めるとの考えから、人や動物の保健衛生を一体的に見る手法が重要と指摘。農林水産業の生産力向上と環境保全を両立するため、技術革新と投資を促す必要性を訴えた。こうした考え方も閣僚宣言に盛り込まれた。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月24日
輸出で地方空港を活用 米から野菜へ転換支援 首相
菅義偉首相は22日の参院本会議の代表質問で、農林水産物・食品の輸出拡大のため「輸出対応型の集荷施設を整備するとともに、地方空港の活用を進める」と述べた。公明党の山口那津男代表への答弁。米政策を巡っては余剰米の買い上げを否定し、需給均衡に向けて「野菜などの高収益作物への転換を支援していく」と述べた。共産党の小池晃書記局長への答弁。
輸出拡大に関して、首相は「(輸出向け)産地の育成と合わせ、集積拠点や効率的な輸送ルートといった物流基盤の強化が重要だ」とも述べた。……
2021年01月23日
緊急事態で農産物価格低下 「生産者を下支え」 農相
野上浩太郎農相は22日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令の影響で、花きなど一部の農産物の価格が低下しているとの認識を示した。「生産者の下支えを図りたい」と述べ、2020年度第3次補正予算の事業で販売促進を支援する考えを示した。
野上農相は、緊急事態宣言による外出の自粛や飲食店の営業時間の短縮で、ホテルや贈答向けのメロン、外食向けの大葉・ワサビといったつま物の需要が減少し、「価格が下がり始めている」と述べた。……
2021年01月23日

配合飼料高騰 長期化に農家恐々 負担増へ先手置き換え急ぐ 食べ残し削減徹底
トウモロコシや大豆など穀類相場の高騰で、国内で配合飼料の供給価格が上昇しているため、畜産現場に長期的な影響が及ぶ可能性が出てきた。JA全農によると、1~3月期の配合飼料供給価格は昨年10~12月期に比べ、全国全畜種総平均で1トン当たり3900円値上げされている。産地は、年内は高値が続く可能性があるとして、代替飼料の活用など新たな対策を模索し始めた。(関山大樹、中川達己)
北海道中標津町のTMR(完全混合飼料)センター「とうほろDairyCenter」は、配合飼料に大豆やトウモロコシなどを混ぜた混合飼料を作り、地域の酪農家の乳牛約1250頭に供給している。だが、飼料や原料を貯蔵する12個のタンクのうち現在、大豆だけが空の状態だ。
今冬、大豆を取引するメーカーに1トン当たり5000円の値上げを打診された。従来通りに飼料生産をした場合、年間400万円の負担増になる。代替策として、飼料の主要なタンパク源を加熱大豆から、タンパク含有率のやや低い「コーングルテンフィード」に置き換えた。
センターは大豆の他、トウモロコシ、しょうゆかす、配合飼料なども使う。代表の竹村聡さん(57)は「このままだと値上がりでさらに経費が増えるため、タンパク源を替えて早めに対策を打った」と説明する。
芽室町で肉用牛約4000頭を飼養する大野ファームは月700トンほど配合飼料を購入しており、飼料高騰前に比べ、毎月210万円経費がかさんでいる。代表の大野泰裕さん(56)は「配合飼料はすぐ置き換えられるものではないが、長期的に影響が続いた場合を考え、国産で置き換えられるものがあれば少しずつ替えていく」と見据える。
九州でも畜産農家が対応に苦慮する。飼養頭数50~100頭規模の養豚農家が多い宮崎県のJA都城では「豚の餌の食べこぼしを減らすなど、餌を無駄にしないこれまでの対策を継続し、徹底するよう呼び掛ける」(養豚課)としている。
穀類の国際価格の基準となるシカゴ先物相場では20日(米国現地時間)、トウモロコシが1ブッシェル5・22ドル。大豆も1ブッシェル13・70ドル。昨年1月の同相場はトウモロコシが同3ドル台、大豆は同8ドル後半~9ドル台で推移しており、今年は高値が続く。
相場高騰は昨年8月以降、南米や米国など主産地での高温乾燥や暴風雨による生育不良が原因。中国で飼料用の需要が増え、旺盛な輸入が続くことも影響した。
米国農務省が1月12日に発表した需給予測では、今年8月末の大豆の期末在庫は全需要量の3・1%と極めて低い水準に落ち込む見込み。穀類の需給逼迫(ひっぱく)が続けば、国内の配合飼料供給価格が高止まる可能性がある。
一方、1~3月期の配合飼料安定基金の補填(ほてん)額の決定は4月中旬を予定。発動されれば、5月末に支出される。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月22日

千葉 アヒルで鳥インフル 出荷先6道府県 処分完了
農水省と千葉県は21日、同県横芝光町のアヒルふ卵農場で鳥インフルエンザの疑似患畜を確認し、約8000羽を殺処分した。今季37例目となる。アヒルのひなの出荷先である疫学関連農場は北海道、宮城、茨城、埼玉、大阪、奈良の6道府県9農場に及び、同日に各自治体が約6700羽の殺処分を終えた。
発生農場が20日、産卵率の低下を県に通報。農水省によると、産卵率低下は高病原性鳥インフルエンザでも起きる症状で、防疫指針にも記載がある。21日に遺伝子検査で高病原性の疑いがあるH5亜型と判定された。
千葉県は発生農場で防疫措置を実施。同農場から半径3キロ圏内の移動制限区域には5戸が約17万羽を、半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には25戸が約126万羽を飼う。
疫学関連農場では、発生農場が7日間以内に供給したひなを疑似患畜とし、同じ鶏舎などで管理するアヒルを殺処分した。疫学関連農場周辺では、移動制限・搬出制限区域を設けていない。
出荷先も殺処分 拡散防止へ厳重警戒
アヒルのひなの出荷先道府県では、ひなを疑似患畜として同日中に殺処分を完了。当該農場の家禽(かきん)の移動を禁止するなど、対応に追われた。
埼玉県は同日、県内2カ所に出荷されていたアヒル2159羽の殺処分を終えた。対象は行田市の879羽、春日部市の1280羽。2月5日まで2農場の全ての家禽の移動を控えるよう求めた他、農場の出入り口を1カ所に制限し、農場外に物品を搬出しないよう要請した。
茨城県も、かすみがうら市の1農場、古河市の2農場で計2884羽の殺処分をした。対象外の約8600羽は移動を禁止し、14日間の健康観察を経て異常がなければ、2月5日にも解除する。
年間700万羽を加工する茨城県の食鳥処理会社の関係者は「ウイルスを持ち込まれては加工処理も止まってしまう。改めて処理道具の熱処理や出入り口、車両の消毒など、予防対策を徹底していくしかない」と話す。
北海道は、赤平市の農場のアヒルのひな637羽を疑似患畜と決定し、21日午前1時44分に殺処分を完了した。同農場では食用アヒル約4000羽を飼養。ひなは19日に到着し、単独の鶏舎で飼っていた。
道は21日、家畜伝染病予防法に基づき同農場に対し、家禽などの移動を禁止し、毎日の死亡羽数を空知家畜保健衛生所に報告するよう命令した。
宮城県は、角田市の養鶏場が15日に導入したアヒル517羽の殺処分と農場の防疫措置を、21日朝までに完了した。養鶏場では約7000羽のアヒルを飼っており、殺処分対象外のアヒルも検査と経過観察を行う。移動制限区域などは設けず、周辺鶏農家へ情報提供をした。
奈良県御所市の農場では21日、全205羽の殺処分・防疫措置が完了した。同農場ではアヒル約2000羽を飼養。当該のひなは複数ある鶏舎の1カ所で飼っていたため、残る家禽とは接触がないという。
大阪府も、府内の農場が購入したひな326羽を殺処分し、21日午後0時45分に防疫措置を終えた。府内の農場での疑似患畜確認は今季初めて。府は警戒の強化を呼び掛ける。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月22日
生物多様性保全戦略 流通・消費者も一体で 来年度改定へ新項目 農水省
農水省は、生物多様性の保全方針を示す戦略を2021年度中に改定する。5月に中国で開かれる生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、新たな世界目標が決まることを踏まえる。これまで3回の有識者検討会を開き、ビジョンや目次案などを議論。現行戦略は生産者向けの記述が中心だったが、新戦略は流通、消費まで関係者一体となった取り組みを促す内容となりそうだ。
同戦略は07年に初めて策定し、農薬や肥料の適正使用、農業生産工程管理(GAP)の普及といった施策の展開を盛り込んでいる。今回が2回目の改定で、COP15を受けて決める国家戦略にも反映させる。これまでの議論で、30年に向けた戦略のビジョンは「農山漁村が育む自然の恵みを生かし、環境と経済がともに循環・向上する社会」とする方向となった。
18日の検討会第3回会合では、目次案などを議論。現行の戦略は生産者向けの記述が中心だが、同省は新たに流通業者、消費者向けの項目の新設を提起。環境に配慮した農産物の調達や、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの削減などを促すとした。
農林水産関連のコンサルティングなどを手掛ける、いきもの株式会社の菊池紳代表取締役は「流通業者が生物多様性に関わるには、それに取り組む生産者から優先して調達するのが一番」と指摘。生産者との連携を記述するよう求めた。立教大学特任教授の河口真理子氏は「生物多様性を守る最前線にいる生産者を応援しないと何も始まらない。リレーをつないでいるのが流通、小売りという位置関係も書いてほしい」と強調した。
次回の会合は3月上旬を予定。戦略本文などを検討する。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月22日
米、輸出へ「新JAS」 23年産めざし検討会議 農水省
農水省は20日、農産物検査規格・米穀の取引に関する検討会を開き、農産物検査や米の流通に関する見直し項目について、今後の具体的な検討の進め方を示した。米の輸出拡大や高付加価値販売に向けた新しい日本農林規格(JAS)の制定については、2023年産米からの実現を目指して、検討会議を設ける。……
2021年01月21日
家伝法の課題検証を 鳥インフルで自民、PT設立へ
自民党は20日、鳥インフルエンザ等家畜防疫対策本部(本部長=江藤拓前農相)の会合を開いた。議員からは、県による対応水準のばらつきの是正や、十分な埋却地の確保の徹底に向け、国の対応強化を求める意見が出た。江藤本部長は「法律の問題点はないのか」と述べ、現行の家畜伝染病予防法(家伝法)の課題の検証が必要との認識を表明。プロジェクトチーム(PT)を立ち上げて議論する方針を示した。
高病原性鳥インフルエンザは今シーズン、15県36事例が発生し、過去最多の604万羽が殺処分された。……
2021年01月21日