島を目指す若者たち “ノー密”求め就農希望じわり 「手厚い」「段階的」研修が魅力

五味さん(左)の指導を受けながら、ブバルディアの調製作業を体験する望月さん(東京都大島町で)

 条件不利地とされてきた離島への移住、就農を志す若者が増えてきた。自然豊かな離島特有の環境に加え、手厚い受け入れ体制を整えている地域は体験希望者が増加。新型コロナウイルス禍を受け、人口が密集していないことも魅力になっており、各地域とも将来の担い手確保につなげたい考えだ。(松村直明)
 

東京・伊豆大島

 
 東京都心部から120キロ以上離れた太平洋上に浮かぶ伊豆大島。島外からやって来た20、30代の男性3人が地元農家に教わりながら、島特産の切り花、ブバルディアの調製作業を体験する。

 東京都島しょ振興公社が企画した移住希望者向けの就農体験ツアーの一幕だ。毎年5人前後の応募があるが20年は19人と急増した。公社は「コロナ禍の中、人口が密集しておらず自然豊かな島に注目する若者が増えている」(業務課)とみる。

 移住が決まったら町運営の農業研修施設で学んだ後、就農する。参加者の1人で、東京都在住の望月一志さん(34)は三重県の農業法人で働いていた経験があり、自立就農を目指し応募した。離島の環境面に加え、「困った時すぐに相談できる体制も魅力」と話す。

 町の研修施設では農家4人が交代で講師を務め、技術指導を受けられる。これまで3人を花や果樹の農家として輩出。21年度も1人が独立する。

 ツアーや研修施設で指導役を務める花農家の五味秀策さん(45)は「一人でも仲間が増えてほしい」という思いで、就農前から農地探しに協力したり、就農後も定期的に連絡を取り合ったりして移住者を手厚く支える。

 町は、研修生の経済面の支援も用意。2年間の研修期間中は計20万円の支援金を支給。さらに月単位で、研修中に生産した農産物の売上金の一部を支給する。こうした仕組みも新規就農者の確保に貢献している。
 

愛媛・岩城島


 愛媛県上島町と地元のNPOは、瀬戸内海に浮かぶ岩城島で就農を考える人を対象に1週間の体験を受け入れる。コロナ禍を背景に年間の参加者数は最近5年間で最多となる見込み。体験後の段階的な研修を用意していることも大きな魅力だ。

 20年度は既に5人が参加し、19年度の3人を上回った。今後、少なくとも4人が参加を予定する。

 同島はレモンなどのかんきつ類の栽培が盛ん。1週間の体験でも果樹農家で作業を学ぶ。希望者にはその後、延べ20日間の「お試し就業研修」と、その後の2年間のインターンを用意。さらに、研修を受け入れるNPO法人「豊かな食の島 岩城農村塾」は、独立時に農地のあっせんや開墾などで支援する。

 これまでに5人が就農。年明けにも新たに1人が独立する予定だ。脇義富代表は「コロナ禍で今、島が注目されていると感じる。興味を持って体験に来た人を担い手として確保していけるかが課題」と考える。

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