[あんぐる] 海の恵み はむはむ わかめ羊(宮城県南三陸町)

羊にワカメ入りの飼料を与える金藤さん

 全国的なブランド「三陸わかめ」の産地、宮城県南三陸町。ワカメの未利用資源を有効活用し、羊を育てる取り組みが順調だ。同町のさとうみファームが「わかめ羊」と名付けて肉用として飼養。出荷頭数は年間60頭ほどに達する。海と農、食を結び付けることで、震災復興に貢献していく考えだ。

 代表の金藤克也さん(54)が特製の飼料を抱え、ワカメの養殖が盛んな寄木漁港に近く、潮風が香る畜舎に入る。飼育房の羊30頭が駆け寄り、柵に前足を掛けて立ち上がる。飼料を食べる羊を見ながら金藤さんは、「発酵したワカメの匂いにつられたんだ。牧草よりも、食い付きがずっと良い」と、優しい顔で目を細める。

 飼料は、地元の漁師から出荷調製の過程で発生する固い茎を仕入れ、牧草や穀物と混ぜて発酵させたもの。この飼料で育った羊の肉は臭みが少なく、一般的な羊肉に比べてうま味成分のイノシン酸の量が6倍も多くなるという。供給先である東京都や福島県、山形県の飲食店や精肉店には、おいしいと高評価を得ている。

 同町は2011年の東日本大震災で、甚大な津波被害を受けた。復興ボランティアとして活動した金藤さんは、17年に神奈川県から移住。かさ上げをした場所に畜舎を建て、併せて岩手県一関市にも牧場を構え、2カ所で合わせて計170頭の羊を飼育する。
 
牧場では羊毛を使った動物の人形や小物も作っている
 
 牧場では地域の雇用の受け皿の役割も担う。現在は従業員11人が、羊の飼育や毛皮を使った小物作りなどに携わる。飼育を担当する金井雄飛さん(28)は「生き物を相手にする仕事で、出産や病気など気が抜けないことが多いが、やりがいがあって面白い」と話す。

 「現在の2倍に当たる年間120頭の出荷が目標。地域の雇用を守りつつ、楽しみながら復興に貢献していきたい」と、金藤さんは構想を描く。(富永健太郎)

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