[新型コロナ] 働きたいをつなぎたい 学生・飲食店従業員×農家をマッチング コロナ禍受け奮闘

「おてつたび」を通じて働きに来た小見門さん(左)らにスナップエンドウの収穫の手順を指導する従業員(中)(茨城県鉾田市で)

久しぶりに顔を合わせた「K-commu」のメンバー(静岡市で)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国人技能実習生が来日できないなど人手不足に悩む農村と、休業を余儀なくされた飲食店などの従業員やアルバイト難の学生をマッチングする取り組みが広がっている。農業の現場で働いた従業員や学生からは、喜びの声も集まる。
 

農業理解も深めて 東京のベンチャー「おてつたび」


 農業の現場と休業中の従業員などを結び付けているのが、ベンチャー企業「おてつたび」(東京都渋谷区)だ。5月から仲介を始め、約50件の問い合わせがあり、反響は大きい。

 茨城県鉾田市でサツマイモやミニトマトなどを3ヘクタール栽培する小橋農園代表、小橋俊太郎さん(48)は、特定技能で受け入れ予定のベトナム人の来日が見込めなくなった。人材確保を急ぐ中、やり取りのあった「おてつたび」を通じて5月から、飲食店などで勤めていた3人が来てくれることとなった。「今年からスナップエンドウを始め、労力が必要となっていたので助かった」(小橋さん)。

 都内の飲食店で調理を担当していた小見門一樹さん(29)は、店が休業となり仕事を一時失った。「調理に携わる者として生産現場を知ろうと思っていたので、おてつたびを利用した」と話す。約1カ月間、午前8時~午後5時、スナップエンドウの収穫やサツマイモの苗切りに励んだ。1日5000円の他、宿泊費、食費が支給される。

 「現場の大変さを実感した」という小見門さんは、飲食店へ戻ったら規格外品も使いたいと考えるようになった。小橋さんも「おてつたびを通じて来る人は農業への関心が高く、刺激を受ける」と歓迎する。

 「おてつたび」は2018年創業。若者が旅行を兼ねて、農村でアルバイトやボランティアをする仕組みを作ってきた。JAグループが設置するアグベンチャーラボの支援も受け、JAとも連携。全国の3JAが窓口となり、受け入れ農家を紹介してきた。

 同社の永岡里菜代表は「コロナで職を失った人と人手不足が深刻な農家を結び付け課題を解決し、交流を通じて農業理解を深め、地域活性化につなげたい。JAや自治体と協力し、利用を呼び掛けていく」と話す。
 

ネットで情報発信 静岡県立大学有志


 新型コロナウイルス禍でアルバイト先を失い困窮した学生を支援しようと、静岡県立大学の学生グループが、インターネット上に情報交換プラットホームのサイト「K―commu(ケイ―コミュ)」を開設し、農業などのアルバイト先を掲載している。

 国際関係学部の学生有志がグループを4月に結成、サイトを公開した。結成翌日から複数のインターネット交流サイト(SNS)を使い、同学部の学生にアンケートを実施。学部生の約40%に相当する371人が回答し、61%の学生がアルバイトに影響があると答え、生活費や授業料の支払いに不安を抱えていた。

 感染拡大で入学式も説明会もなく授業がオンライン化し、教員や学生同士の対面でのコミュニケーションが難しくなった。特に不安を抱える新入生を支援しようとサイトを立ち上げた。

 メンバーは14人。3班に分かれ調査やサイトの運営を分担し、インターネットを利用して会わずに活動。奨学金や懸賞付き論文募集の紹介、レポート作成の手引きなど多彩なコンテンツをそろえた。

 アルバイト先は、農業などウイルス感染の可能性が少ないものを紹介している。農業法人鈴生の人財部長、松本剛史さん(40)は「コロナで厳しい状況の人に働いてもらいたい」と募集を掲載した。

 緊急事態宣言は解除されたが、今もアルバイトの確保に影響が続く。グループのコーディネーターで県立静岡農業高校出身の鈴木杏佳さん(22)は、5月下旬までに授業の合間を縫って友人と4日間、同県焼津市で田植えのアルバイトをした。「農家の作業は時期的・短期的なものが多い。さまざまな仕事に挑戦する機会になってほしい」と話す。
 
学生から届いたメッセージの数々(福島市で)
 
 

バイト支援感謝の声 JAふくしま未来


 JAふくしま未来による福島大学の学生への支援を受けて、コロナ禍により生活が困窮した同大学の学生からJAに感謝のメッセージが届いている。1日までに50通を超えている。

 JAは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出自粛やアルバイトなどの収入減が余儀なくされた学生に対して、管内産米「コシヒカリ」1・1トンを贈呈。また、繁忙期の果樹農家を支援する援農活動でアルバイトの場を設け、サポートしている。

 学生からは「人と人の支え合い助け合いを強く感じる」「アルバイトもなくなり、食費を切り詰めて生活していたので助かった」「感謝してもし切れません。今できることを精いっぱいして、この事態を乗り越えたい」などの声が届いた。

 JAの職員は「感謝の気持ちが伝わり、自分も頑張ろうと思えた」と話す。
 

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