自給率40%割れ10年 低迷の責任 国は自覚を

 2019年度の食料自給率はカロリーベースで38%だった。政府が、目標数値を掲げて自給率向上に取り組み始めた当時が40%で、それを割り込むのは10年連続である。政策効果が結果に表れていない。政府は責任を自覚し、本腰を入れるべきだ。

 19年度の食料自給率は前年度より1ポイント上がった。細かくは0・4ポイントだが、農水省は「横ばい」ではなく「伸びた」と評価する。伸びに貢献した小麦の10アール収量の増加は一時的な天候要因だけではなく、高収量品種の普及や技術の向上などの成果とみるからだ。一方で米の消費減少が、引き続き足を引っ張った。畜産物では牛乳・乳製品や鶏肉の生産量が増えた。しかし飼料自給率が横ばいで、自給率向上への貢献はわずかだった。

 食料自給率は食料安全保障の水準を表す。19年度の数値から自給率の向上には、国産への需要がある麦や大豆、飼料用米を含む飼料作物の生産拡大と、米消費の維持・拡大の重要性が改めて確認されたと言える。

 農家の収入と関連するのが生産額ベースの食料自給率だ。19年度は66%だった。3年連続である。しかし国内生産の実際の金額は3年連続で減った。収入を増やすには、高付加価値化を進めるとともに、業務用・加工用をはじめ輸入品から需要を奪還する必要である。畜産、果樹、野菜などは余地が大きい。

 同省は食料自給力もまとめた。高カロリー作物を中心に作付けした場合、国内で最大どれだけの食料を生産できるかを表す。農業資源、農業技術、農業労働力に基づいて試算する。農地面積などの減少で、長期的には低下傾向で推移してきた。

 19年度は、米・小麦を中心に作付けする場合、前年度より自給力は高まったが、国民が必要とするカロリーは賄えない。芋類中心だとカロリーは賄えるが、自給力は低下した。労働力の減少などが要因だ。平時からの生産基盤の強化、特に省力化技術の開発・普及とともに、農業者の確保が重要だと分かる。

 それには、農村に定住できる所得の確保と生活環境の整備が必要だ。食料・農業・農村基本計画が改めて示したように、産業政策と地域政策を車の両輪として推進することが基本である。また基盤強化との両輪が国産需要の拡大だ。ニーズに即した生産の強化とともに、消費者が国産を積極的に選ぶ機運を高めたい。基本計画が打ち出した国民運動が鍵となる。

 食料・農業・農村基本法は、食料の安定供給の基本に国内生産の増大を据える。実現に向けて政府は、自給率目標と施策を盛り込む基本計画を、2000年から5年ごとに策定してきた。現行計画は、カロリーベースで30年度までに45%と定める。しかし、1999年度に40%だった自給率は20年かけても、高まるどころか段階的に下がってきた。施策や制度、予算、進捗(しんちょく)管理などで格段に強力な実効確保策を求める。
 

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