学園祭を中止する大学が相次ぐ

 学園祭を中止する大学が相次ぐ。学芸会や文化祭を取りやめた小中高校も多い。振り返れば今年は、入学式も運動会も修学旅行も、部活の大会もなかった▼生涯の痕跡となる記憶は良きにせよあしきにせよ、学校行事と重なる。スマホは便利だが思い出まではつくってくれない。作家の佐藤優氏が時間について面白い話を書いている(『50代からの人生戦略』)。ギリシャ語には時間を表す言葉が二つある▼「クロノス」とは過去、現在、未来へと流れる均質な時間。さかのぼることはできない。これに対し「カイロス」は主観的な時間である。ある出来事によって人々の意識が大きく変わる瞬間がある。「そんな裂け目のような時間」のことだという。コロナ禍は現代のカイロスとなるか。子どもたちの行く末が気になる▼実りの秋の農業祭も中止の報が届く。地域の一大イベント、農家が日頃の感謝を表す機会でもある。プロ野球場には人の歓声が戻ってきたのに、「密」とは決して言えない農山村の伝統行事がなくなるのは何ともふに落ちない▼佐藤氏によると、カイロスは過去をも変えられる。つらい経験をしてもその後に幸せをつかめば、苦しかった過去は意味のある時間になる。そう信じたい。間もなく10月2日「直売所の日」。心を伝える時に。
 

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