離島に薬ドローンで楽 オンライン診療一貫体系へ実証 愛知・知多厚生病院
2020年11月13日

医薬品を入れた箱をドローンに積み、離島に運んだ(12日、愛知県美浜町で)
JA愛知厚生連知多厚生病院などは12日、愛知県知多半島沖の篠島(南知多町)にドローン(小型無人飛行機)で医薬品を配送する実証試験を行った。ドローンは海上約14キロを自動飛行し、同島に着陸することに成功した。同病院はオンラインでの診療・服薬指導に取り組む。医薬品の配送で患者は出掛けずに済み、離島など遠隔地での地域医療の充実につなげる。
県の「無人飛行ロボット社会実装推進事業」の一環で実施した。通信会社や自治体の協力の下、名古屋鉄道と中日本航空でつくる「名鉄グループドローン共同事業体」が試験を行った。
ドローンは河和港(美浜町)から医薬品を入れた箱を載せて飛び立ち、事前に設定したルートを補助者なしで自動で約20分飛行。同島北側の空き地に着陸した。箱の中には、振動や温度変化などを記録する装置も入れて着陸後に確認。安定した飛行で安全に運べることを確かめた。
オンライン診療と服薬指導は、知多厚生病院が2019年2月から始めた。試験当日はデモンストレーションとして、同病院の田實直也企画室長が専用端末を使って診療。その後、日本調剤によるオンライン服薬指導に、スムーズに連携してみせた。画面上の患者には「これから薬をドローンで配送しますので、お待ちください」と伝えた。
田實室長は「実用化はまだ先だが、診療から服薬指導、医薬品配送までを全て遠隔でできれば、体が不自由で外出が難しい高齢者などにも医療を提供できる」と話す。今後も試験を重ね、安全性や実用性を検証する。
県の「無人飛行ロボット社会実装推進事業」の一環で実施した。通信会社や自治体の協力の下、名古屋鉄道と中日本航空でつくる「名鉄グループドローン共同事業体」が試験を行った。
ドローンは河和港(美浜町)から医薬品を入れた箱を載せて飛び立ち、事前に設定したルートを補助者なしで自動で約20分飛行。同島北側の空き地に着陸した。箱の中には、振動や温度変化などを記録する装置も入れて着陸後に確認。安定した飛行で安全に運べることを確かめた。

田實室長は「実用化はまだ先だが、診療から服薬指導、医薬品配送までを全て遠隔でできれば、体が不自由で外出が難しい高齢者などにも医療を提供できる」と話す。今後も試験を重ね、安全性や実用性を検証する。
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2021年01月19日
通常国会と農政 基盤強化へ審議尽くせ
通常国会が始まった。農業経営への支援を含む新型コロナウイルス対策や米の需給対策を盛り込んだ2020年度補正予算案と21年度当初予算案、国家戦略特区での一般企業の農地所有特例を延長する法案など、国会は重要な農政課題に向き合う。生産基盤の維持・強化の観点から、徹底した審議を求める。
施政方針演説で首相は、前政権から継承した農業の成長産業化を地方重視と結び付け、東京一極集中の是正と地方の活性化の柱に据えた。具体的には、農林水産物・食品の輸出額目標5兆円を達成するための産地の支援と、主食用米から高収益作物への転換促進を掲げた。
両者とも、現行の食料・農業・農村基本計画が目指す食料自給率の向上と生産基盤強化の一環といえる。加工・業務用需要の輸入品からの奪還や飼料用米をはじめ戦略作物の推進、中小・家族農家の支援なども重要だ。緊急事態宣言の再発令で農畜産物の需要が減り、生産基盤が弱体化する懸念もある。
こうした課題を踏まえて国会は、補正・当初予算案が生産基盤の維持・強化に効果的か議論すべきである。米の生産調整の実効性を巡っても検証が必要だ。前年産比6・7万ヘクタールの過去最大規模の作付け転換を21年産で達成しないと、米価が大幅に下落する恐れがある。また18年産で始まった現行の米政策の下で作付けは3年続けて過剰となった。課題を洗い出し、あるべき姿について議論が必要だ。
施政方針演説では、地方活性化の手段として規制改革を重視する姿勢も強調した。首相は、行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を政策運営上の壁とみなし、その打破も表明した。これら両面から、農業が標的となることに警戒が必要だ。
国家戦略特区がその例だ。兵庫県養父市で認めている一般企業の農地所有特例の全国展開を巡る議論は、関係閣僚が慎重姿勢だったが、同特区諮問会議の民間議員が強硬に主張、異例の「首相預かり」となった。今回は特例の2年延長で決着し、同特区法改正案を国会に提出する。しかし特例の利用は低調で、延長が必要かどうか国会は熟議すべきだ。官邸主導の政策決定の在り方も議論の俎上(そじょう)に載せる必要がある。
規制改革推進会議には、農地所有適格法人の議決権要件の緩和を求める意見もある。一般企業の農地取得につながり、撤退後の耕作放棄や産廃置き場にされることなどが懸念される。こうした論点も議論すべきだ。
施政方針演説では、環太平洋連携協定(TPP)の今年の議長国として加盟国の拡大に向けた議論を主導する考えを示した。貿易協定の拡大が、なし崩し的に農畜産物の一層の自由化につながらないよう政府の姿勢をたださなければならない。
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2021年01月19日
農業分野の技能実習生 1~3月2000人予定 人手不足を懸念 入国停止で農相
野上浩太郎農相は15日の閣議後記者会見で、1~3月に来日を予定していた農業分野の外国人技能実習生らが約2000人に上ると明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、技能実習生を含む外国人の新規入国は停止中で、生産現場の人手不足が問題となる可能性がある。野上農相は影響を注視しつつ、代替人材の確保を後押しする考えを示した。
昨年12月末時点で今年1~3月に来日予定だった技能実習生らの数を、都道府県やJAなどに聞き取ってまとめた。昨年もコロナ禍による入国制限で3~9月に技能実習生ら約2900人が来日できず、人手不足となる農業経営が出ている。
野上農相は会見で「今後、日本にいる技能実習生らの在留延長や他産業からの雇用などによる代替人材の確保が必要になっていく」と指摘。代わりの人材の確保に必要な経費を支援する「農業労働力確保緊急支援事業」を通じて、生産現場を支える考えを示した。
政府は14日から緊急事態宣言の解除まで、例外的に認めていた技能実習生らビジネス関係者も含めて外国人の新規入国を一時停止している。
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2021年01月16日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(中) 国際協力から転身 「まず農家に」 地に足着け精進
吹き抜ける風が肌寒さを増した2020年11月下旬、水戸市にある日本農業実践学園の講義用あずまやで、多品目の野菜農家を目指す吉田誠也さん(30)が、パソコンに野菜の生育データを打ち込んでいた。背後には自身で種から育てた10品目の畑が広がる。
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入校者数が右肩下がりを続けていた実践学園は、研修生がゼロとなった19年度と打って変わり、20年度は18人が入校した。
2021年01月20日

JAあいら(鹿児島)栄冠 JA青年組織手づくり看板全国コンテスト
全国農協青年組織協議会(JA全青協)は19日、2020年度の「JA青年組織手づくり看板全国コンクール」の受賞組織を発表した。最優秀賞には、鹿児島県のJAあいら青年部を選んだ。看板素材には、黒板になる塗料を塗り、カラーチョークを使って地元の農畜産物を描いた。新型コロナウイルス禍でも、「農業で日本を元気にしたい」というメッセージも込めた。……
2021年01月20日
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きょうJA全国女性大会 全中・中家会長に聞く 主体的に運営参画を
JA全国女性組織協議会は20日、第66回JA全国女性大会を開く。JA全中の中家徹会長に、新型コロナウイルス下での活動へのエールやJAの運営参画への期待を聞いた。
──コロナが活動に影響をもたらしています。
今はさまざまな組織活動に支障を来している。女性組織も思うように活動ができていないと思うが、ウィズコロナ時代の活動指針を昨年9月に示し、できることからやろうと積極的な取り組みをしている。インターネット交流サイト(SNS)を使った話し合いなど、対策を講じて活動してほしい。
組織の基盤である部員の減少に歯止めがかからない。コロナ下でも萎縮せず、女性組織が頑張っていることを外に発信し、対外的なイメージ向上につなげてほしい。
──第5次男女共同参画基本計画が2021年度から始まります。JA運営に女性参画を進める意義は何ですか。
私は女性に見捨てられたJAに未来はないと、言い続けてきている。JAグループは正組合員、総代、理事などで女性割合の目標を掲げているが、目的はいかに女性の声をJA運営に反映させていくかだ。女性ならではの視点、感性、考え方を取り入れていくことで、JAの活性化につながっていく。
──どのように女性参画を進めますか。
大きいのはトップの意識だ。女性組織は、工夫し活動していることをメディアや、JAの広報誌を活用しPRしてほしい。女性組織の活躍を知れば、トップの認識もおのずと変わっていく。
役員も最初は女性枠を設ければいい。全く何もないところから、組織代表に出るのは難しい。女性役員の活躍が浸透すれば、自然と女性参画が進む好循環が生まれるはずだ。
──女性に求めることは何ですか。
地元JAで女性参画を進め、和歌山県でも相当進んできた。トップの意識が変わり、環境もできてきた。次に大事なのは女性の意識変革だ。役を断る人がいるが、経験者に感想を聞くと、100人のうち99人はやってよかったと言う。人脈ができ、いろいろな経験ができるからだ。
女性組織には絶大なる期待をしている。女性が元気なところは、JAも地域も元気。ぜひ頑張ってほしいし、遠慮せず主体的に参画してほしい。(聞き手・柳沼志帆)
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2021年01月20日

事業総利益3・2%減 信用、共済依然厳しく 20年度上半期JA経営
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雪害復旧へ援農隊 イチゴハウスの撤去支援 JA鳥取いなば
昨年12月中旬からの大雪で管内のハウスや農業施設が被災したJA鳥取いなばは19日、鳥取農業改良普及所と協力して倒壊したパイプハウスの撤去など早期復旧に向けた援農隊の派遣を始めた。この日は、JAと普及所の職員の他、市とボランティアの農家など約30人が参加し、鳥取市青谷町でイチゴを栽培する井上智朗さん(38)のパイプハウス2棟の撤去を支援した。……
2021年01月20日

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