20年農業センサス 多様な担い手確保急げ

 農水省が公表した2020年農林業センサスの結果から、農業生産基盤の弱体化と農村の集落機能の低下が並行して進んでいることがうかがえる。地域農業と集落活動の多様な担い手の確保が急務である。そのことを改めて示している。

 主な仕事が農業である基幹的農業従事者は、20年までの5年間に約40万人(22・5%)減った。農業経営体数も同期間に約30万(21・9%)少なくなった。減少率は、比較可能な05年センサス以降でいずれも最大である。主な要因は高齢化だ。基幹的農業従事者のうち65歳以上の割合が約7割になった。

 一方で規模拡大は進んだ。北海道では100ヘクタール以上の経営体が、都府県では10ヘクタール以上の経営体がそれぞれ増えた。しかし、リタイアしたり規模を縮小したりした農業者の農地が、順調に引き継がれたというわけではない。別の統計では、この1年だけでも耕地面積が2万5000ヘクタール減り、荒廃した農地は1万5100ヘクタールに上った。農業者の減少を、規模拡大では依然カバーしきれていないといえる。

 農業者の減少と高齢化が、地域住民の結び付きを弱めている可能性もある。センサスでは、農業集落での寄り合いの回数が全体的に減少。議題として、介護やごみ処理といった集落内の福祉・厚生、生産調整や共同防除、鳥獣害対策、労働力調整など農業生産に関わる事項、農道・農業用の用排水路・ため池の管理を取り上げる集落も減った。

 ただ農地や森林、ため池などの地域資源の保全活動を行う集落の割合は増大。都市住民やNPO、学校、企業と連携している集落も、少ないものの増えた。日本型直接支払制度の効果といえるかもしれない。

 これは多様な人材や組織が農業・農村振興の担い手になり得る可能性を示唆する。食料・農業・農村基本計画は①農業と他の仕事を組み合わせた働き方(半農半Ⅹ)の実践者らを増やす方策や、農への多様な関わりを支援する体制の在り方を示す②地域住民に加え関係人口を含む幅広い参画の下で農村振興施策を推進する──方針を打ち出した。早期の具体化が必要だ。

 気掛かりなのは、センサスの調査区分から、世帯で農業を営む家族経営体を外したことだ。家族経営体のうちの法人を切り離し組織経営体の法人と統合、法人以外の家族経営体を個人経営体とした。法人経営を一体的に捉えるのが目的だという。同省が、法人化重視の姿勢を反映させたとみることもできる。

 しかし食料・農業・農村基本法は家族経営の活性化と法人化の推進の両方を掲げる。また基本計画は、中小・家族経営など多様な経営体は持続的な生産を行っており、地域社会の維持でも重要な役割を果たしているとして支援すると表明した。家族経営体数が把握できなければ支援対象としてあいまいになる懸念がある。家族経営体の区分を復活し再集計するよう求める。
 

おすすめ記事

論説の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは