イチゴ狩りの時季 安全・安心な「新様式」を

 イチゴ狩りのシーズンを迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、厳しい環境でのスタートである。こうした中、感染防止の基本対策や指針を整備する動きが広がる。生産者で共有・徹底し、安全・安心なイチゴ狩りを提供するコロナ下での「新様式」を確立しよう。

 観光イチゴ園が盛んな千葉県では、年明け~5月の連休がシーズン。コロナ禍で前季は4月半ばに営業自粛を強いられ打撃を受けた。今季に向けて県、生産者組織の県いちご組合連合会、県園芸協会は7月に対策の検討に着手。専門家の助言を受けて9月にまとめ、11月に研修会を開いて生産者に周知した。

 必須事項では、マスク着用、一定の距離の確保、販売時の試食中止といった対策を挙げた。極力取り組んでほしいことでは、摘む場所と食べる場所を分けることを提案。摘み取りの最中にマスクを外し、食べながら話すことが感染リスクを高めるためだ。収穫だけで持ち帰ってもらう方法も示した。研修を受けた生産者の一人はハウスに机を置き、摘み取りと食べる場所を分ける考え。「摘んでから移動して食べてもらう分、制限時間を延長する予定だ」と話す。

 神奈川県のJAはだのは、観光イチゴ園の感染症対策ガイドラインを作った。統一的な指針で農園の対策を支援し、来園者にも安心してもらうのが目的だ。青年部の要望を受け、生産者や県農業技術センターと協議して決めた。農園の取り組みでは、施設内の定期的な消毒や換気、非接触型の支払い方法の導入など12項目を設定。来園者に行ってもらう内容もまとめ、「手に取ったイチゴは必ず収穫する」「食べ終えたイチゴのへたはごみ袋に入れて密封する」といった内容を盛り込んだ。

 生産者や従業員、来園者を守るには、こうした指針の周知と着実な実行が欠かせない。同JAは、農園の対策を記したポスターと来園者に協力を呼び掛けるポスターを作成。農園に掲示してもらい、ウェブサイト用にデータも提供する。「各園が独自の対策を進めているが、統一的な指針で来園者に安心感を持ってもらえれば」とJAは話す。

 イチゴ狩りは、国産果実が少ない冬から春に楽しめる人気観光スポットだ。今季は、新型コロナの第3波で、国の観光支援策「GoToトラベル」も一時停止という厳しい中で始まる。現段階では感染防止対策の徹底が、地道だが着実な方法だ。安全・安心を提供できるよう農園はもとより、来園者にも協力を求め対策を双方で徹底しよう。

 観光農園の統一的なガイドラインを、農のふれあい交流経営者協会が作った。参考にしたい。ワクチン接種が始まってもいつ終息するかは不透明だ。森林開発やグローバル化、都市への人口集中などで感染症が発生、拡大しやすくなっているとされる。ウイルスと共存せざるを得ないことを念頭に置いた対応が観光農園にも求められる。
 

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