内閣支持が急落 コロナ対策で成果必要
2021年01月21日
日本農業新聞の農政モニター調査で菅義偉内閣の支持率が急落し、政権発足から3カ月余りで不支持率が上回った。新型コロナウイルス感染拡大防止対策と農業政策ともに評価が低いことが反映した。支持の回復には、感染防止と、農家を含む事業者の経営支援を最優先し、成果を上げることが不可欠だ。
農政モニター調査は昨年12月中下旬に行った。内閣支持率は44%で、発足直後の9月の前回調査から18ポイント下落し、不支持率は56%で同20ポイント上昇した。不支持は、首相の指導力のなさや信頼できないことなどが理由だ。新型コロナの感染拡大防止に向けた対応を「評価しない」との割合も高まり、7割になった。経済回復を重視し、感染防止対策が後手に回ったと国民から見られているといえそうだ。
農業政策でも「評価しない」(45%)が「評価する」(26%)を上回る。新型コロナ対策の経営支援も「評価しない」が6割で、評価するの2倍近い。
年が明けても感染拡大に歯止めがかからず、政府は11都府県に緊急事態宣言を再発令するに至った。飲食店の営業時間の短縮などで農畜産物の需要減少が心配され、すでに花きや高級果実は値を下げている。政権への信頼の低下が感染防止対策の不徹底につながり、感染者の増加が政権への不信感を生む。
こうした負の連鎖の中で農業経営も打撃を受けている。調査では、農業生産をしている人のうち、感染拡大の影響が続いているとの回答が5割を超えた。
負の連鎖を断ち切るには、時短営業を行う飲食店などへの十分な支援を含め感染防止対策に最優先で取り組み、併せて農畜産物の需要減少などで影響を受けた農家を徹底して支え、目に見える成果を出す必要がある。
首相肝いりの農林水産物・食品の輸出額5兆円目標の達成を巡っては「達成できない」と「過大だ」が4割を超え、やや懐疑的といえる。一方で「対策次第」が3分の1だった。輸出に農家が積極的になれるかどうかは、政策にかかっている。
日米貿易協定や環太平洋連携協定(TPP)、日欧経済連携協定(EPA)といった大型貿易協定については、程度に違いがあっても、9割近くが国内農業に「マイナスの影響がある」と予想する。影響の把握・分析をきめ細かく行い、必要に応じて対策を拡充・強化しなければ農政不信につながりかねない。
また、21年産主食用米の需給対策について「評価する」は1割強にとどまり、「課題があり見直しが必要」が4割近かった。米政策の改善では、転作推進のメリット拡充や生産費を補う所得政策の確立、生産資材の価格引き下げと米の消費喚起を求める声が強い。過去最大規模の6・7万ヘクタールの作付け転換を実現するには、米価下落への危機感の共有と対策の丁寧な説明で農家の理解を得ることが重要だ。併せて、農家視点での現行政策の検証も求められる。
農政モニター調査は昨年12月中下旬に行った。内閣支持率は44%で、発足直後の9月の前回調査から18ポイント下落し、不支持率は56%で同20ポイント上昇した。不支持は、首相の指導力のなさや信頼できないことなどが理由だ。新型コロナの感染拡大防止に向けた対応を「評価しない」との割合も高まり、7割になった。経済回復を重視し、感染防止対策が後手に回ったと国民から見られているといえそうだ。
農業政策でも「評価しない」(45%)が「評価する」(26%)を上回る。新型コロナ対策の経営支援も「評価しない」が6割で、評価するの2倍近い。
年が明けても感染拡大に歯止めがかからず、政府は11都府県に緊急事態宣言を再発令するに至った。飲食店の営業時間の短縮などで農畜産物の需要減少が心配され、すでに花きや高級果実は値を下げている。政権への信頼の低下が感染防止対策の不徹底につながり、感染者の増加が政権への不信感を生む。
こうした負の連鎖の中で農業経営も打撃を受けている。調査では、農業生産をしている人のうち、感染拡大の影響が続いているとの回答が5割を超えた。
負の連鎖を断ち切るには、時短営業を行う飲食店などへの十分な支援を含め感染防止対策に最優先で取り組み、併せて農畜産物の需要減少などで影響を受けた農家を徹底して支え、目に見える成果を出す必要がある。
首相肝いりの農林水産物・食品の輸出額5兆円目標の達成を巡っては「達成できない」と「過大だ」が4割を超え、やや懐疑的といえる。一方で「対策次第」が3分の1だった。輸出に農家が積極的になれるかどうかは、政策にかかっている。
日米貿易協定や環太平洋連携協定(TPP)、日欧経済連携協定(EPA)といった大型貿易協定については、程度に違いがあっても、9割近くが国内農業に「マイナスの影響がある」と予想する。影響の把握・分析をきめ細かく行い、必要に応じて対策を拡充・強化しなければ農政不信につながりかねない。
また、21年産主食用米の需給対策について「評価する」は1割強にとどまり、「課題があり見直しが必要」が4割近かった。米政策の改善では、転作推進のメリット拡充や生産費を補う所得政策の確立、生産資材の価格引き下げと米の消費喚起を求める声が強い。過去最大規模の6・7万ヘクタールの作付け転換を実現するには、米価下落への危機感の共有と対策の丁寧な説明で農家の理解を得ることが重要だ。併せて、農家視点での現行政策の検証も求められる。
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消費拡大へ国民運動 SNSや交流催し 農水省
農水省は2021年度から、農業・農村への理解を広げ、国産農産物の消費拡大につなげる新たな国民運動を官民で始める。昨年改定した食料・農業・農村基本計画を受けた取り組み。地域で頑張る農家の姿や農業の魅力をインターネット交流サイト(SNS)で発信し、消費者との距離を縮める交流イベントも開く。応援団として消費者に国産品を積極的に選んでもらい、食料自給率向上にもつなげたい考えだ。
「国民運動総合推進事業」として、20年度第3次補正予算、21年度当初予算案で計11億1400万円を確保した。基本計画には「農産物・食品の生産に込められた思いや創意工夫などについての理解を深めつつ、食と農とのつながりの深化に着目した新たな国民運動を展開する」と明記。これを具体化する格好だ。
同省はこれまでも、地域の魅力ある農産品の発掘・表彰などを通じ、国産農産物の消費拡大を呼び掛けてきた。新たな国民運動では、消費の呼び掛けよりも、日本の食や環境を支える農業・農村の重要性を理解してもらうことに重点を置く。「生産者の頑張る姿を見てもらうことで、国産農産物を買って農業・農村を支えていこうという機運を高めたい」(政策課)。
同事業では、SNSやテレビなどを通じ、子どもから大人までの幅広い世代に、頑張る農家の取り組みを発信する。具体的には、地域の農産物を使った加工品やメニュー開発、農業現場に障害者や高齢者雇用を受け入れる「農福連携」などを想定する。
地域の農業・農村の価値や農産物の魅力を伝える交流イベントも実施する。オンラインの収穫体験や、農村に滞在して農業体験などを行う農泊、農産物の販売フェアといったイベントを想定。消費者と農家の距離を縮めることを目指す。こうした取り組みは、JAや食品関連企業などとも連携し、官民で進める。
事業では、取り組みの人件費や広告費、イベント開催費など支払う。20年度内に事業実施主体を公募し、採択した民間団体に業務を委託する。
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2021年02月23日
海の向こうではGAFA(ガーファ)が過去最高益を上げ、国内でもソフトバンクがトヨタを利益で上回った
海の向こうではGAFA(ガーファ)が過去最高益を上げ、国内でもソフトバンクがトヨタを利益で上回った▼何事にも光と影は付き物だが、コロナ禍の勝ち組筆頭はIT企業。元々強いがさらに躍進した。この1年に体験したこと。テレワーク、オンラインの会議、セミナー、講演、コンサート、居酒屋。旅行、診療、結婚式もいけそうだが、葬式にはためらいがある。〈新しいつながりの形〉と割り切るべきか。一方でつながらない現実もある▼昨年の自殺者数はリーマン・ショック以降11年ぶりに増えた。女性や10、20代の増加が目立つ。痛ましいことに小中高校生の自殺者は440人に上り、1980年以降で最も多い。若い世代に何が起こっているのか。〈「いいね」より君の味方はそばにいる〉▼よつ葉乳業の牛乳パックに書かれた標語に立ち止まる。北海道教育委員会の「絆づくりメッセージコンクール」の最優秀作品(高校生部門)である。子どもたちの目に留まりやすい牛乳パックで、いい関係づくりを呼び掛ける。筆者の世代は〈遠くの親戚より近くの他人〉と教えられた。SNSの隆盛でこの常識が通じなくなった。近くが遠い▼菅首相が孤独・孤立対策担当に坂本哲志少子化相を任命した。不祥事続きにさぞ孤独が深まっているとお察しする。
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2021年02月20日

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農地所有法人要件 無理筋の緩和を許すな
農地所有適格法人の議決権要件緩和の是非を巡る規制改革推進会議での検討は、期限まで1カ月余りとなった。同会議が意見を聞いた農業関連法人からは、法人買収や農地転用へ懸念が指摘された。同会議には、株式上場の解禁を視野に要件緩和に誘導しようとの思惑が透けて見えるが、無理筋である。
推進会議の検討課題は、農業法人が円滑に資金を調達する方策である。政府が規制改革実施計画に盛り込み、今年度中に検討し結論を出すとした。
同適格法人の要件について推進会議では①2分の1未満としている農業関係者以外の議決権制限の緩和②株式上場の解禁──の是非が焦点化。農外出資を拡大しやすくするのが狙いだ。これらを認めれば一般企業が経営を支配し、農地を事実上取得できるのと同じになる。
農水省の調査では、農業法人の資金調達の主体は融資だった。同省は、出資による資金調達の課題として、農外議決権を2分の1未満まで認めていることと議決権のない株式の活用が知られていないことを挙げる。これは、現行制度の下でも出資を増やせることを示している。
推進会議の農林水産ワーキンググループ(WG)が昨年12月に行った農業関連法人3社からの意見聴取でも、農業は制度資金が充実し、融資で資金を調達しやすいとの見方が強かった。一方、議決権要件などを緩和すると同適格法人が買収され農地が不正転用されるケースが出てくる可能性とその対策の必要性や、外国資本に支配されれば食料安全保障上問題になることなどについて指摘があった。
WGの委員からも質問の形で、敵対的買収で外国企業に買われることや、企業撤退後の農地荒廃への懸念が示された。
しかしWG座長の佐久間総一郎日本製鉄顧問は、意見聴取後に「選択肢として、上場していく道をもう少し整備することが重要」とまとめた。親会議の推進会議でも「(制度資金は)補助金。これは長続きしない、競争力がつかない」と、出資拡大方策へのこだわりを見せた。
国家戦略特区の兵庫県養父市で認めている企業の農地取得特例の全国展開を関係閣僚の慎重論や与党の反対論を無視し、特区諮問会議の民間議員がごり押ししようとしたことと重なる。
われわれは、農家や、農業者主導の同適格法人といった地域に根差した農業経営に農地所有は限るべきだと主張してきた。農地は地域の貴重な資源であり、農地や水の利用調整をはじめ地域と調和し、農業振興や、自らの暮らしの場である農村の維持・活性化への役割発揮が所有者には求められるからだ。
同適格法人の議決権要件などの緩和は、一般企業による経営支配に加え、農地の資産価値に基づく投機の対象化や、実質的経営者が分からなくなることなどにつながる恐れがある。資金調達の方策は、法人の要件とは分けて論議すべきである。
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2021年02月24日
国連食料サミット 国民合意の日本提案に
国連食料システムサミットが9月、米国ニューヨークで開かれる。新型コロナウイルス禍で脆弱(ぜいじゃく)性を露呈した食料の生産供給網の再構築や、気候変動対応などがメインテーマになる。今後の貿易ルールに影響を及ぼすことが考えられる。日本は国民合意の提案を策定し、積極的に関与すべきだ。
同サミットは持続可能な開発目標(SDGs)を2030年までに達成するための「行動の10年」の一環。グテレス国連事務総長が主催する。各国の首脳や閣僚、有識者、科学者、市民代表らが参加する。
SDGsには17の目標があるが、「貧国をなくす」と「飢餓の撲滅」はコロナ禍で達成が危ぶまれる状況だ。飢餓人口は増加に転じた。国連は同サミットを「全てのSDGsを達成するための世界の旅の分岐点になる」と協力を呼び掛ける。
主な課題は①量・質両面からの食料安全保障②食品ロスの削減など食料消費の持続可能性③環境に調和した農業生産の推進④農村地域の収入確保⑤食料供給システムの強靭(きょうじん)化──だ。それぞれでゲームチェンジャー(状況を変える突破口)となる提案を各国に求めている。日本は現在、農水省が「みどりの食料システム戦略」の取りまとめ作業を進める。夏にローマで開かれる準備会合に向け、5月の策定を目指す。
多岐にわたる課題の中で、特に注視すべきなのは環境対応だ。地球温暖化の国際ルール「パリ協定」と連動する形で、農業・食料分野での積極的な貢献を意識した議論になりそうだ。米国の同協定復帰や日米の温室効果ガス「2050年実質ゼロ」表明により弾みがつき、その波は農業にも及ぶとみるべきだ。世界の同ガス排出量の4分の1を農林業関連が占めている。
気候変動対応で世界をリードする欧州連合(EU)の動きが出色だ。昨年5月、「農場から食卓へ(Farm to Fork)」と題した新戦略を打ち出した。肥料農薬の使用抑制や畜産飼料の脱輸入依存、有機農業の拡大などで数値目標を設定、一段と環境重視型農政にかじを切った。「地球の健康を守りながら食の安全を保障する新しいシステム」(欧州保健衛生・食の安全総局)とし、市民の支持を得られると自信を見せる。
EUはこうした規律を2国間貿易協定などに適用する姿勢だ。これに対し米国は「農業生産を低下させ小売価格の上昇をもたらす」(農務省)と批判、さや当てが始まっている。日本も「諸外国が環境や健康に関する戦略を策定し、国際ルールに反映させる動きが見られる」(農水省)と注視。みどりの食料システム戦略づくりを急ぐ。
その際重要なのは、国民の関心の高まりだ。政府は農業者、消費者、企業、市民社会を巻き込んで、望ましい食料生産流通の将来像について合意形成に尽くすべきだ。それでこそ日本の提案に「魂」が入るだろう。
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2021年02月23日
国産麦に過剰感 増産に出口戦略不可欠
食料自給率の向上を目指して政府は、小麦など国産麦類の増産の旗を振る。しかし2年連続の豊作で過剰感があり、価格にも影響が出ている。麦作の安定には、新たな需要を開拓する出口対策が急がれる。
農水省によると4麦(小麦、二条大麦、六条大麦、裸麦)の作付面積はこの数年微減または横ばいだが、2019年産は豊作で、収穫量は小麦が前年産比36%増の103万7000トン、大麦・裸麦が同27%増の22万3000トンだった。20年産も豊作で、例年より国産在庫が多い。
過剰感は価格にも影響。全国米麦改良協会のまとめによると昨年9月の21年産国産小麦の播種(はしゅ)前入札では、平均落札価格が前年産比12・8%安と、上げ基調から一転した。輸入麦の価格低下にも引っ張られた。大麦・裸麦も販売で苦戦。二条大麦も、1月時点で「精麦業者などが19年産の在庫を抱え、20年産の荷がまだ動いていない」(JA関係者)という。
一方、食用麦は小麦で約9割、大麦・裸麦で約8割を輸入している。食料・農業・農村基本計画で政府は、30年度までに小麦を108万トン(18年度76万トン)に、大麦・裸麦を23万トン(同17万トン)に増やすとの生産目標を定めている。しかし、21年産でも過剰感が解消されなければ、今秋播種する22年産の作付けに影響しかねない。官民挙げて、輸入麦から国産への切り替えを強力に進めるべきだ。それには需要と供給のミスマッチの解消が求められる。
例えば小麦。タンパク質含有量の高い順にパン用(強力粉)、中華麺用(準強力粉)、うどんなど日本麺用(中力粉)、菓子用(薄力粉)に分かれる。国産は8割強で中力粉、薄力粉向け品種が栽培され、消費量の多い強力粉、準強力粉向けは少ない。輸入麦との価格勝負は難しく、需要に応えられる生産・供給体制の構築が必要だ。
中華麺用の福岡県の硬質小麦「ラー麦」(品種名=「ちくしW2号」)は、実需と一体で県や産地が栽培技術を確立したことで新たな需要を開拓した。生産が拡大するパン用小麦も同様だ。健康志向の高まりで裸麦やもち性大麦(もち麦)の需要も伸びている。需要を見極めた品種・品目の選定と、それに応じた栽培技術の導入が麦作経営を安定させる常道である。
西日本では、米麦・大豆を柱とする土地利用型農業を集落営農組織が担う地域が多い。21年産米では主食用米からの品目転換に加え、酒造好適米の減産も重くのしかかる。過剰感から麦類の生産意欲も低下することになれば、大規模な不作付けが起こりかねない。
政府は、需要を捉えた生産拡大と安定供給の実現に向けて「麦・大豆増産プロジェクト」を推進。団地化と営農技術の新規導入、備蓄倉庫の整備、産地と実需とのマッチングや新商品開発などを支援する。成果を早期に上げることが重要だ。
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2021年02月22日
地域包括ケア “JA版”の構築急ごう
介護保険制度の2021年度介護報酬改定では、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるように支援する地域包括ケアシステムを推進する。JAには、総合力を生かしてシステムの構築をけん引し、地域の安全と安心を守る役割を果たすことを期待したい。
20年の要介護(要支援を含む)認定者は669万人で、00年の介護保険制度創設時と比べて3倍に増加した。団塊の世代の全てが75歳以上となる“2025年問題”に向けて、制度の強化・充実は待ったなしである。しかし、社会保障財政の逼迫(ひっぱく)や、介護業界の慢性的な人手不足など課題は山積している。
20年は、新型コロナウイルスの流行による利用控えの影響から、介護サービス事業者の倒産件数が118件と過去最多となった。こうした状況を踏まえ、21年度の介護報酬は0・7%引き上げるプラス改定とし、事業者を支援する。
今回の介護報酬改定で力を入れるのが、地域包括ケアシステムの構築である。地域の中、いわゆる日常生活圏域内で、住まい、医療、介護、予防、生活支援を総合的に提供する体制をつくる。
健康なときは体操教室や老人クラブなどに参加して介護予防をし、介護が必要になったらデイサービスなど介護保険事業を利用、病気になったらかかりつけ医へ、そして退院後は訪問診療・看護を自宅で受けられるようにする。高齢者の心身の調子は変化しやすい。いつ、どんな状況になっても、住み慣れた場所で暮らせる仕組みで、安全と安心を守る。
この仕組みづくりではJAが核となり、“JA版地域包括ケアシステム”の実現を急いでほしい。厚生連から、女性部や助け合い組織を中心としたボランティア活動まで、JAはシステムを構築できる体制と人材を持っているからだ。
同システムを既に実践しているJAもある。JA山口県グループ会社のJA協同サポート山口は、訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを提供するのと併せて、JAの支所を拠点とした体操教室などで地域住民の交流の場をつくる。各施設の整備には、統合で廃止となった支店を活用することでコストを抑える。また、介護保険事業で少しでも収益を出し、収益の出ない活動を支えている。JAならではの総合力を柔軟に発揮することで、運営を維持する好例といえる。
介護保険事業だけを受け皿にするのではなく、地域を挙げて包括的なケアシステムをつくるには、組合員や地域住民とつながりが深いJAが先頭に立つことが求められよう。地元の高齢者を守るJAは、その家族である次世代にとっても魅力的に受け止められるだろう。超高齢化が進む農村にとってなくてはならない存在になるには、介護分野の強化が鍵を握る。
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2021年02月21日
命守る経営 安全は全てに優先する
春の農作業安全運動が始まる。毎日平均1人が農作業で命を落とす状況が半世紀も続く。異常事態だ。農水省は、高齢者の農機事故に焦点を当て、業界ぐるみで事故撲滅を目指す。あなたと家族のために、命を守る経営を全てに優先しよう。
同省は3月からの農作業安全確認運動を前に、今年初めて「農林水産業・食品産業 作業安全推進Week」(16~26日)を開催。分野を横断し、作業安全の優良事例や新技術を業界ぐるみで発信する。背景には他業種に比べ安全対策が遅れている農業界の実態がある。
それを裏付けるように、農作業での犠牲者が後を絶たない。2019年の死者は281人で前年より7人増えた。65歳以上の高齢者が9割近くを占め、調査開始以来最大となった。乗用型トラクターの転落・転倒などの農機事故死が184人と最も多い。同省は、農機事故による死者を17年比で22年に半減させ105人とする目標を掲げているが、このままでは達成は厳しい状況だ。
深刻なのは、高齢化、人手不足など農業の構造問題も相まって、10万人当たりの死亡者が16・7人と調査開始以降最も高くなったことだ。建設業の実に3倍、全産業平均の1・3人と比べいかに異常かが分かる。
人為的なミスをゼロにすることはできない。事故を減らすには、事前に危険箇所や手順を洗い出し、原因を取り除くリスク管理の徹底しかない。事故情報の収集・一元化と現場へのフィードバックが基本となる。
同省の働き掛けもあり、都道府県や農機メーカーからの20年分の事故報告件数は326件と前年から倍増した。情報は農研機構革新工学センターで分析し、現場での注意喚起に役立てられる。また官民一体で普及啓発を進める農作業安全推進協議会の設置は9割の県に及ぶが、全県普及を急ぐべきだ。安全指導員の育成にも期待したい。
今年の運動方針の特徴は、交通事故分析などを基に、シートベルトやヘルメットの着用徹底、作業機を付け公道走行する際の灯火器設置を集中的に働き掛けることだ。安全フレームやシートベルトが装備されていないトラクターへの追加取り付けも引き続き強化する。農機メーカーも格安で安全フレームの後付けを行っており、所有者自身も身を守るために追加装備や買い替えを急いでほしい。労災保険特別加入も待ったなしだ。
安全管理は、農業者や経営者が「自分ごと」として取り組んでこそ意味がある。同省が農業者や農業団体などに向け策定した作業安全のための規範が役立つ。安全管理の基本原則を定めた共通規範、分野ごとの具体例を示した個別規範、生産現場で使うチェックシートなどが用意されるので、それぞれの経営や生産実態に合わせ活用してほしい。「いのちを守る作業安全は全てに優先する」。規範の大原則をいま一度肝に銘じたい。
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2021年02月20日
ジャンボタニシ 被害削減へ対策徹底を
2021年産の米作りに向けて、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)対策が大きな課題となっている。地球温暖化が進む中で近年被害が拡大、20年産米では30を超える府県で確認された。寒い時期に水田を耕うんするなど今から対策を徹底し、被害を抑え込みたい。
ジャンボタニシは長い触覚とピンクの卵塊が特徴の巻き貝。田植え後3週間までの軟らかい稲を食害する。寿命は2、3年。南米原産で、食用として日本に持ち込まれ、野生化した。
被害は近年、深刻の度を増している。農水省によると、面積は分かっていないが、20年産では31府県で被害を確認した。温暖化で越冬しやすくなったことが影響しているとみている。
以前から被害があった九州や四国では対策を講じている産地も少なくない。だが、被害が少なかった地域では、まだ対策を取っていない産地もあり、被害が広がったという。
被害を減らすには何をすべきか。やはり基本的な対策の徹底が一番である。
同省が昨年10月に発表した防除対策マニュアルによると、特に重要なのが1、2月の水田の耕うんだ。ジャンボタニシは寒さに弱く、土に潜って越冬する。耕うんすることで貝を壊したり、寒風にさらして殺したりすることが有効だ。また、田植え前には貝の水田への侵入を防ぐために取水口・排水溝に網を設置し、田植え後には貝の動きを鈍くするために浅水管理(水深4センチ以下)をすることなども重要である。被害を抑え込むためにしっかり取り組みたい。
ただこうした対策には一定の手間やコストがかかる。そもそも基本的な対策に必ずしも取り組めない産地もある。例えば、滋賀県認証ブランド米「魚のゆりかご水田米」を生産する野洲市などだ。生態系との共生を目指し、琵琶湖の魚が遡上(そじょう)して水田で産卵できるようにするのが特徴で、浅水管理は難しい。取水口・排水溝への網設置も、魚が入って来られなくなるため使えない。
自分たちができる対策を組み合わせ、いかに効果の高い防除体系を構築するか。被害に悩む近畿地方の各産地は相次いで試験に乗り出している。前述の野洲市では23の実証圃(ほ)を設け、冬の低速耕うんと田植え期の農薬散布を組み合わせた防除の試験を進めている。こうした産地の取り組みを政府は、被害削減の成果が上がるまで息長く支援すべきだ。
政府は20年度第3次補正予算と21年度当初予算案に、ジャンボタニシなどの病害虫対策費を計上。各地域に適した防除体系の実証に取り組む自治体やJA、農家グループなどに対し、農薬代や作業員の人件費などを半額補助する。積極的に産地に周知し、活用を促してほしい。
防除の機運を高めるには、面積をはじめ詳しい被害状況の把握が必要だ。政府には本腰を入れて調べてもらいたい。
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2021年02月19日
WTO新事務局長 貿易ルールの改善望む
世界貿易機関(WTO)の新事務局長にナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相が決まった。通商交渉などでWTOは機能不全に陥っており、立て直しが課題。地球温暖化の防止や貧困と飢餓の撲滅など、持続可能な経済・社会の構築に貢献する貿易ルールづくりを望む。
WTOは貿易ルールを制定・運用する国際機関で、1995年に発足した。新ルールの策定を目指したドーハラウンド(多角的貿易交渉)が行き詰まり、各国は2国間や地域の貿易協定重視にかじを切った。また紛争処理を担う上級委員会は委員を補充できず、機能が停止。存在意義を示せなくなった。
こうした中で、要となる事務局長は約半年にわたり不在だった。米国と中国の貿易紛争が激化する恐れがあり、加えて新型コロナウイルス禍で貿易が混乱している。選出を歓迎したい。
しかし前途は多難だ。まずは紛争処理機能の回復を急ぐべきだ。上級委員の補充に米国が反対してきたが、紛争処理の長期化や委員が協定を勝手に解釈する越権行為などへの不満が理由だ。加盟国・地域と課題を共有し、紛争処理制度を改革する必要がある。米中貿易紛争の解決にも影響力を発揮してほしい。
貿易ルールの見直しも求める。WTO協定は関税など貿易の障害の軽減、つまり貿易自由化の促進を目指す内容だ。しかしWTO発足から四半世紀がたち、地球温暖化をはじめとした環境悪化、食料生産の不安定化、経済格差の拡大などが深刻化した。世界が直面するこうした課題を解決し、誰一人取り残さない、より良い社会を実現しようと国連は2015年、「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択した。気候変動対策や貧困と飢餓の撲滅、国内と国家間の不平等の是正など17の目標の達成を目指す。貿易ルールを通じWTOも貢献すべきだ。
飢餓撲滅のためにSDGsは、食料安全保障と栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進するよう求めている。食料安保を巡って日本は、WTO農業交渉の提案で、食料需給の不安定性や飢餓・栄養不足問題を考慮すれば「国内生産が基本であることに十分な配慮がなされること」を提起した。貿易ルールに反映させるべきである。
日本では、米のミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)などに不満が高まっている。コロナ禍で需要が減っているのに「義務輸入は実行しなければならない」(農水省)からだ。飢餓撲滅の面からも、国内で余っているものを輸入せざるを得ないのは硬直的と言える。
農産物貿易での長距離輸送による二酸化炭素(CO2)の排出や環境破壊を伴う生産、農場での低賃金労働や児童労働などをどう抑制するかも課題だ。
日本は貿易総額が世界4位で、農産物では世界有数の純輸入国である。持続可能性を理念とした貿易ルールへの転換に、率先して取り組むべきだ。
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2021年02月18日
JA全国青年大会 困難ばねに活動強化を
第67回JA全国青年大会が16日、初のオンラインで開かれた。新型コロナウイルスの流行で制約が多い中でも、農業経営や地域の課題に向き合い、創意工夫し活動を続けた部員の熱い思いが伝わった。発表した青年組織の情熱と経験を、全国各地で活動を強化する糧にしよう。
今大会のスローガンは「Let’s think!大地とともに未来をひらけ~今こそ絆が試される~」。コロナ禍で青年組織の活動が制限され、経営も大きな影響を受ける苦しい状況が続いているからこそ、未来を見据え、協同の力が必要だという思いを込めた。主催する全国農協青年組織協議会(JA全青協)の田中圭介会長は「現実を見つめ直し、10年後の未来に描く農業を考えるきっかけにして、新たな挑戦への足掛かりにしてほしい」と訴えた。
JA青年の主張とJA青年組織活動実績発表の全国大会は感染防止のために、発表者の地元で事前に収録した動画を配信する形で実施。多くの発表者が、新型コロナの影響と、それをどう乗り越えたかに触れた。
活動実績発表で関東・甲信越代表、JA東京むさし国分寺地区青壮年部の内藤宏和さんは、学校給食向けの野菜の納品がキャンセルになった際、JAに相談して市民向けの即売会を開くなどして約2トンの野菜を販売したことを報告した。
コロナ禍の下での活動を主題に据えたのが中国・四国代表、JA晴れの国岡山つやま青壮年部東部支部の仁木紹祐さんだ。集まるのが難しい中、LINEで仕事や補助金、中古農機具などの情報交換を継続し、栽培の悩みなどの解決にも役立った。
また学童農園を中止する一方で、田んぼの様子や、地元農産物を使った料理レシピをフェイスブックなどを通じて発信した。仁木さんは、食育や、消費者への情報発信で地元農産物を選ぶ人が増えると国産の需要が高まり、担い手の確保や生産能力の維持につながると指摘。「青壮年部の活動は立ち止まってはいけない。この苦しい現状の中でも、きっと活路は見い出せるはずだ」と呼び掛けた。
9人の発表者に共通するのは、仲間と力を合わせることで経営や地域の課題を一つ一つ解決してきた経験と自信だ。
全青協加盟の青年組織の部員は2020年4月現在で5万5613人。前年より約1000人減った。足元の地域でも高齢化や担い手・労働力不足など生産基盤が弱体化、人口減や過疎化も進んでいる。こうした課題が山積しているからこそ「挑戦し、進み続ける」とのメッセージが発表に通底していた。それは、モニターで配信映像を見ていた全国の部員にも共通する思いだったのではないか。
大会で共有した各地の事例から、それぞれの青年組織で何が生かせるか話し合おう。そこから活動のアイデアも生まれる。その成果を、都道府県から始まる次の発表大会に持ち寄ろう。
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2021年02月17日
准組との関係強化 ピンチを再生の好機に
JA組合員の6割を占める准組合員との関係強化は、JAの発展にとっても、農業振興や地域再生のためにも待ったなしだ。新型コロナウイルス禍の中、各地で創意工夫を凝らしたJAの攻めの試みが見られる。情報を共有し大きな流れにしたい。
農協改革の積み残し課題である准組合員の事業利用規制の在り方については、「5年後条項」に基づき2021年度に結論が出ると想定される。一方で624万人(18年度農水省総合農協一斉調査)に上る准組合員の分厚い層は、持続可能な農業振興や地域づくりに大きな力となり得る人的資源である。これを生かす攻めの発想が望まれる。
参考になるのが地方創生の「関係人口」だ。その地域に定住しないが、何らかの形で継続的に関わる人たちをいう。国土交通省は1828万人と推計するが、その関係性は均一ではない。地域おこし活動に関わる「直接寄与型」、イベントに参加する「交流型」、飲食や趣味を通じて関わる「趣味・消費型」といったタイプがある。それぞれのニーズに合う関わり方を地域の側から提案し、活性化につなげるのが基本戦略だ。
これは准組合員にも通じるのではないか。准組合員の実態について日本協同組合連携機構(JCA)の西井賢悟主任研究員は①以前事業を利用したが今は関わりがない②一つの事業・活動に関わっている③複数の事業・活動に関わっている──の三つに分類する。関わり度合いを深めるにはJAの働きかけ以外にない。またJA運営への意思反映という点では、関わりの濃い人が望ましい。准組合員のタイプ分けやニーズの把握を行う仕組みの構築を急ぐべきだ。
コロナ禍の中でも、准組合員との関わりを深める取り組みが各地のJAで行われている。例えば、神奈川県のJAさがみは「あつまれ准組合員!農業応援プロジェクト」と称する活動に力を入れる。動画配信の講座を見てつくった花の寄せ植え作品のウェブ展覧会、「ブロッコリーツリー」コンテストなど、リモートイベントで准組合員が参加できるよう工夫した。
JA静岡市や長野県のJA上伊那は、准組合員が収穫体験や産地巡りをするマイカーツアーを企画。JA広島市は食品ロス削減と地産地消を兼ね、農家組合員が家庭で食べきれない野菜などを集めて購買店舗に販売コーナーを設けた。地元産が欲しいという准組合員の声に応えた。福岡県のJA糸島は准組合員限定で地場産農産物を特別販売、800セットを用意し1000人超から応募があった。
農業に関わりたいという准組合員の意識は多様化している。食の安全に関心がある、地元の農家を応援したい、食品ロス削減や環境保全、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献したいなどさまざまだ。農業の持つ深い懐を使い、ピンチをチャンスに転換する企画と実践をもっと広げたい。
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2021年02月16日
バレンタインデー 花贈りを根付かせよう
きょうはバレンタインデー。花き業界は10年前からフラワーバレンタインを提唱し、気軽な花贈りを勧める。ホワイトデーまでを通して新型コロナウイルス禍で低迷する花き需要の増加につなげ、改めて花を贈る習慣を根付かせる契機にしたい。
世界では多くの国で、バレンタインデーに花を贈る習慣があるという。日本でも、花きの生産者や流通、小売りなどでつくる花の国日本協議会が、フラワーバレンタインのキャンペーンを担っている。1月31日の「愛妻の日」から3月14日の「ホワイトデー」まで、主に男性から女性に花を贈ることを提案。花きはイベントや冠婚葬祭の業務用需要が多い中、個人消費を掘り起こしてきた。
効果は徐々に表れている。協議会が全国の20~40代の男女1036人に聞いた調査で、バレンタインデーに花を購入する男性の割合は2020年が7・5%で、過去最高を記録。最低だった13年の1・3%の6倍以上に広がった。特に20代男性の花購入率は11・6%と比較的高く、2年連続で1割を超えている。
今年は、個人消費が花農家や業界にとって特に大事になっている。新型コロナの感染拡大で緊急事態宣言が再発令され、業務用需要が縮小。1月には切り花相場が、過去5年平均比で3割安に落ち込んだ。販売環境は厳しく、多くの人が花を贈ったり、家庭に飾ったりする機会をさらに増やす必要がある。
協議会は21年のフラワーバレンタインから、ターゲットを若年層(22~35歳)に設定し直した。11年の活動開始から10年がたち「次の10年も見据えて新たな人に花を贈る習慣を伝えていきたい」(同協議会)と考えたためだ。気軽に花を贈っていることが若者の特徴で、これが花贈りを広める新たなスタイルになり得るともみている。
具体的には、男性から女性にだけではなく性別を問わず花を贈ることや、贈る相手と一緒に花を選ぶことなどを提案。「一本だっていい」「ワンコインで」など、家族や友人の間で気軽に贈ることを勧める。これらは、生花店に貼るポスターやインターネット交流サイト(SNS)などで広く呼び掛けている。
コロナ禍で、家で過ごす時間が増え、業務用需要の落ち込みを家庭消費の増加が補っている農畜産物もある。だが花きはそれが十分ではない。花を贈ることは身近な人に思いを伝えるだけではなく、離れてく暮らす家族などと疎遠になりがちな中、コミュニケーションをとるきっかけになる。部屋に飾れば癒やしの効果も期待できる。併せて花の消費拡大は、苦境にある花農家の応援になる。
3月中旬まで続くフラワーバレンタインなどの活動は、これまで花を贈ることのなかった人が生花店に足を運ぶきっかけになる。コロナ禍で、花の個人消費を増やしていけるよう業界を挙げて花を選ぶ楽しさや贈る喜びを、さらに伝えてほしい。
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2021年02月14日