米粉新商品投入 製法や配合工夫 製粉大手や小売り
2021年03月03日

お米のシフォンケーキ プレーン(エムアイフードスタイル提供)
製粉会社や小売りが米粉の新商品を投入している。各社、国産米を使い独自のブレンドや製法にこだわり、米の味を引き立たせ小麦粉と差別化する。調理用米粉やスイーツを用意して米粉ならではのもっちりとした食感が楽しめるとアピールする。……
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米トランプ政権時に輸入 トウモロコシどこに? 275万トン→実は6万8000トン
あのトウモロコシはどこに──。
14日の衆院農林水産委員会で、2019年8月に安倍晋三首相がトランプ米大統領(ともに当時)に輸入の意向を伝えた米国産トウモロコシの行方を巡るやりとりがあった。
質問者は立憲民主党の亀井亜紀子氏。「前から疑問だが」と前置きすると、「トランプ政権の時にトウモロコシを緊急輸入したかと思うが、どこに行ったのか」と尋ねた。
これに対し葉梨康弘農水副大臣は、19年7月に国内で害虫のツマジロクサヨトウを確認し、食害による飼料不足の懸念が生じたと説明。そこで、農畜産業振興機構の「飼料穀物備蓄緊急対策事業」で米国産を手当てしたと改めて答弁した。
当該トウモロコシの行方について、葉梨副大臣は当初、「国内で保管されて、使用されたということだ」と答弁。だが、直後に「国内で保管されたということだ」と言い直し、輸入後に使われたかどうかは言葉を濁した。
本紙の取材に対し、農水省は「同事業では報告を求めているわけではないが、順次使用されたと考えている」(飼料課)と説明する。輸入量は当初、最大275万トンと想定したが、結果的に害虫の被害が懸念ほど拡大せず、約6万8000トンに収まったという。
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2021年04月15日
生乳増産2年連続 都府県も8年ぶり 指定団体20年度
中央酪農会議(中酪)によると、2020年度の指定生乳生産者団体(指定団体)の受託乳量(生産量)は2年連続で前年を上回り、700万トン台に回復した。北海道がけん引し、都府県でも増頭対策の効果が現れ、8年ぶりに前年を上回った。今後、増産を軌道に乗せるには都府県の酪農基盤強化や、指定団体による需給調整機能の発揮が引き続き求められる。
指定団体の受託乳量は国内生乳生産量の9割強を占める。20年度の受託乳量(うるう年修正後)は前年比1・4%増の707万トンとなり、4年ぶりに700万トンを超えた。北海道は2・3%増の401万トンで、初めて400万トンを突破した。乳用雌牛が増加し、粗飼料も良く、1頭当たり乳量も安定していた。
都府県は0・3%増の306万トン。中国地方が6%増と最も拡大し、近畿や九州も1、2%増産した。最大の関東は0・6%減だったが、2月以降に生産が伸び、当初の見通しから上振れした。
生乳生産量が上向く中で課題もある。全国的にメガファームが増産をけん引するものの、小規模・家族酪農の離農が進み、空き牛舎も目立つ。都府県酪農の基盤を強化するため、関東生乳販連は「第三者継承など担い手確保に向け、実態に即した支援が必要」(迫田孝常務)と指摘する。
新型コロナウイルス下の生乳流通では、指定団体が全国連や乳業メーカーと緊密に連携し、生乳廃棄を回避したことに成果があった。その結果、20年度の脱脂粉乳・バター向けは増加し、年度計では6・6%増の169万トンに拡大。家庭需要が伸びた飲用向けは1・4%増の325万トン、業務需要の低迷で生クリーム等向けは4・8%減の125万トンと縮小した。
コロナ禍の生乳需給への影響は長期化する見込み。業務需要の回復はいまだ不十分で、バターなど乳製品在庫が積み上がる課題も残る。不透明な消費環境の下で増産を軌道に乗せるには、「需給調整の要である指定団体の機能発揮が重要」との声が強い。
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2021年04月19日

米「星空舞」 安定供給へ 原種の生産拠点が竣工 鳥取
鳥取県は、鳥取市の県農業試験場内で、県ブランド米「星空舞」の原種生産合理化施設の竣工(しゅんこう)式を開いた。生産者へ供給する種もみの原種を生産する拠点。扱う品種を限定し、病原菌や異型などの混入を防ぐ管理の徹底で、高品質な原種を生産する。JAグループ鳥取と連携し、「星空舞」の栽培面積拡大に対応していく。
県内では、同試験場が3ヘクタールの圃場(ほじょう)から原種を採取し、これまでは2カ所の生産施設で個体を選抜していた。ただ、扱う品種数が増え、コンタミ(異品種混入)リスクが高まっていた。
新施設で扱う品種は主に「星空舞」に限定する。総事業費は7357万円で国の交付金も利用した。約200平方メートルの施設内に、縦型遠赤外線乾燥機や保管用冷蔵庫、加温式育苗器などを設置。「星空舞」専用のコンバインも新たに導入した。原種は国府町種子生産組合などへ供給する。
2019年に本格デビューした「星空舞」の栽培面積は21年産で19年産比3倍の1150ヘクタールを計画。JA鳥取県中央会の栗原隆政会長は「生産者と消費者から喜ばれる『星空舞』の早期のブランド化へ、施設を有効活用したい」と意気込んだ。
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2021年04月19日
野菜の需給調整 価格安定へ産地連携を
農水省は、主要野菜の緊急需給調整事業を大幅に見直した。価格低落時の生産者への補填(ほてん)水準を引き上げ、資金の生産者負担割合は軽減した。需給安定には多くの産地の事業参加が不可欠である。全国の産地が協調・連携して取り組むよう、同省は内容を周知徹底すべきだ。
同事業は、天候の影響を受けやすく、作柄・価格の変動も大きく、消費量が多いダイコン、ニンジン、キャベツ、レタス、ハクサイ、タマネギの6品目を対象に実施している。市場価格が、過去の市場平均価格の80%以下に低落した場合、または50%以上に高騰した場合が発動の目安だ。
価格低落時の対策としてこれまでは、出荷の後送りには過去の平均市場価格の3割、加工用への切り替えや土壌還元には4割を補填していた。しかし補填水準が低く生産者のメリットが小さいとして、事業の活用を巡る合意形成が難しいとの指摘があった。実際、過去10年間で最も野菜価格が低迷した2019年(日農平均価格で1キロ130円)も活用はなく、低調だった。
そこで同省は21年度から、価格低落時対策の全メニューの補填水準を平均市場価格の7割に引き上げた。また国と生産者が1対1で造成してきた資金の負担割合を4対1とし、生産者負担を20%に引き下げた。
同事業の実効性が課題となる中で生産者のメリットが高まり、市場価格が大幅に下落する前の事業活用が促されるとみられる。野菜相場の安定につながる見直しとして評価したい。
また、社会的要請が高まる食品ロスの削減に向けて事業のメニューも再編。加工、飼料化、フードバンクへの提供など、有効利用を促す性格が強まった。しかし、有効利用には受け入れ先の手配などの仕組みが必要となるため、産地が取り組みやすい実効性のある体制の充実が重要だ。
同事業とともに生産基盤を支えてきたのが、価格低落時の収入減少を補う野菜価格安定制度だ。しかし、政府内には、青色申告を行う農家が対象の収入保険制度への一本化を検討すべきだとの意見があり、21年度に論議が予定されている。野菜価格安定制度と同事業は、野菜の産地づくりや安定供給に貢献しているとの評価が高い。多くの農家が加入できるセーフティーネット(安全網)は必要である。
食料・農業・農村基本計画では、野菜の生産量を18年度比で、30年度までに15%増やす目標を設定。「豊作時の価格低落や不作時の価格高騰を防止・緩和する具体策を検討する」と明記した。消費者への安定供給が目的だ。今回の見直しを機に同省には、多くの産地が需給安定に取り組む態勢づくりが求められる。
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2021年04月15日
なんという精神力だろう
なんという精神力だろう。世界が見詰めるひのき舞台での堂々たる姿が、誇らしい▼米ジョージア州オーガスタで開かれた、男子ゴルフのマスターズ・トーナメントで優勝した松山英樹選手である。日本男子のメジャー大会優勝は初めての偉業。優勝者のみに与えられるグリーンジャケットに袖を通した時の顔には、大仕事をやり遂げた満足感が満ちていた▼最終日首位でのスタートだったが、決して楽なゲームではなかった。勝負どころの15番ホール。当たりが良過ぎた1打は、無情にもグリーンを越えて池に。並の選手であれば、ずるずると後退する場面である。気持ちを切らさず踏ん張り、栄冠を手繰り寄せた。ハラハラドキドキの連続は、テレビ観戦しているこちらの眠気をも奪った▼松山市生まれの29歳。アマチュアだった東北福祉大学(仙台市)の学生の時に、初めて出場権を得たが、大会目前で東日本大震災が発生。迷った末に、被災者の声に押されて出場した。苦節10年。あの時背中を押してくれた、東北への感謝は忘れない▼コロナ感染が広まる中、高齢者へのワクチン接種が始まった。そんな初日の朗報は、沈みがちな心に勇気と感動をもたらす。おめでとう、そして、ありがとう。
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2021年04月13日
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生乳増産2年連続 都府県も8年ぶり 指定団体20年度
中央酪農会議(中酪)によると、2020年度の指定生乳生産者団体(指定団体)の受託乳量(生産量)は2年連続で前年を上回り、700万トン台に回復した。北海道がけん引し、都府県でも増頭対策の効果が現れ、8年ぶりに前年を上回った。今後、増産を軌道に乗せるには都府県の酪農基盤強化や、指定団体による需給調整機能の発揮が引き続き求められる。
指定団体の受託乳量は国内生乳生産量の9割強を占める。20年度の受託乳量(うるう年修正後)は前年比1・4%増の707万トンとなり、4年ぶりに700万トンを超えた。北海道は2・3%増の401万トンで、初めて400万トンを突破した。乳用雌牛が増加し、粗飼料も良く、1頭当たり乳量も安定していた。
都府県は0・3%増の306万トン。中国地方が6%増と最も拡大し、近畿や九州も1、2%増産した。最大の関東は0・6%減だったが、2月以降に生産が伸び、当初の見通しから上振れした。
生乳生産量が上向く中で課題もある。全国的にメガファームが増産をけん引するものの、小規模・家族酪農の離農が進み、空き牛舎も目立つ。都府県酪農の基盤を強化するため、関東生乳販連は「第三者継承など担い手確保に向け、実態に即した支援が必要」(迫田孝常務)と指摘する。
新型コロナウイルス下の生乳流通では、指定団体が全国連や乳業メーカーと緊密に連携し、生乳廃棄を回避したことに成果があった。その結果、20年度の脱脂粉乳・バター向けは増加し、年度計では6・6%増の169万トンに拡大。家庭需要が伸びた飲用向けは1・4%増の325万トン、業務需要の低迷で生クリーム等向けは4・8%減の125万トンと縮小した。
コロナ禍の生乳需給への影響は長期化する見込み。業務需要の回復はいまだ不十分で、バターなど乳製品在庫が積み上がる課題も残る。不透明な消費環境の下で増産を軌道に乗せるには、「需給調整の要である指定団体の機能発揮が重要」との声が強い。
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2021年04月19日
コロナ下 消費行動変化 「食品保存増」2割 自宅で料理増3割 JCA調査
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、米や肉、野菜など食品の各品目で、保存量が増えた消費者が2割に上ったことが、日本協同組合連携機構(JCA)の2020年度の調査で分かった。自宅での料理回数が増えた人は3割いた。外出自粛や在宅勤務の増加が背景にある。食品の販売は、消費者の生活様式変化に対応した戦略が鍵になる。
JCAの「農畜産物等の消費行動に関する調査」で、毎年実施する。20年度は20年8~9月にインターネットで全国の2159人が回答した。
自宅での食品(冷凍を含む)の保存量が増えたと……
2021年04月18日
ペルーで新パナマ病 バナナの大敵、まん延防止へ
ペルー政府は、バナナの大敵である新パナマ病(TR4)が、最北部に位置するスヤナ州のバナナ農園で確認されたと発表した。ペルー全土を対象に植物防疫対策の緊急事態宣言を発令し、隔離の徹底などまん延防止に取り組む方針だ。
南米ではコロンビアで2年前にTR4の侵入が確認され、今回ペルーに広がった。世界最大のバナナ輸出国であるエクアドルが両国に挟まれる所に位置し、南米バナナ業界では大きな衝撃が走っている。
世界のバナナは、1950年代にフザリウム菌によるパナマ病によって主流品種の「グロスミシェル」が一掃された。現在は抵抗品種の「キャベンディッシュ」がほとんどを占める。ところが、フザリウム菌の別の系統TR4による新パナマ病が80年代になってアジアから猛威を振るい始め、アフリカなどに広がり、南米に侵入した。
栄養繁殖の商業用バナナは世界中でTR4に弱い「キャベンディッシュ」一色のため、感染の広がりを防ぎにくい。日本が多くを輸入するフィリピンでもTR4は深刻な打撃を与え、園地の改廃などが進んでいるという。
南米の研究者らとTR4の研究をしている東京農工大学の有江力教授は、人や車の往来で汚染された土壌を通じて感染が広がり「バナナの生果実から病気がうつる心配はないだろう」と指摘する。
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2021年04月18日

走る、つなぐ 地域の食 [コロナが変えた日常]
新型コロナウイルスの感染拡大で、外出自粛や飲食店の営業短縮が長期化する中、東京都三鷹市では、地域密着の宅配サービス「チリンチリン三鷹」が1周年を迎える。
JA東京むさしの直売所「三鷹緑化センター」を拠点とし、農家が生産する野菜などの生鮮食品と、地元の飲食店が作った弁当などを自転車で宅配。コロナ禍で休業を余儀なくされた人らが配達員となり、市内全域に届けている。
この仕組みに、農産物の新たな販路を探していた農家が加わることで、消費者は新鮮で安心な野菜や肉、卵などを在宅のまま買えるようになった。購入者は配達員に1回500円の支援金を支払う。
参加農家は1年で2戸から20戸に広がった。直売所にない物は配達員が協力店に立ち寄って調達。注文を受ける電話の応対は、地元の葬儀社が担当するなど、地域挙げての協力体制だ。多品目の供給ができるようになり、地元産の食材にこだわる飲食店も増えた。
市内在住の発起人、濱絵里子さん(38)は「みんなの『困った』を結び付けたら面白い展開になった。今後は野菜ごみを再び農地に返すなど、地元で活動の輪を広げていきたい」と話す。(仙波理)
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2021年04月17日
切り花 品目間で明暗 洋花好調、菊は葬儀用が苦戦
春の需要期が過ぎ、切り花相場は品目で明暗が分かれている。家庭用など用途の広いカーネーションやバラといった洋花は平年と比べ1~3割高で推移。一方、葬儀や供え花に使う輪菊や小菊は1~3割安と低迷する。業務用の仕向けが多い産地は、新型コロナウイルス禍の需要不振から販売が減少する中、新たな販路を模索している。(柴田真希都)
直近の取引があった14日の日農平均価格(全国大手7卸のデータを集計)は、カーネーションやバラ、ガーベラが平年比2、3割高。いずれも小幅だが3営業日連続の上昇で、この時期には異例の高値基調だった。「家庭での普段使いの他、開店の祝い花や装飾など用途が広く、売れ行きが良い」(大田花き)。
今年の切り花全体の相場を見ると、1、2月は大きく下落した。大都市圏の緊急事態宣言再発令と低温が直撃し、月別の日農平均価格は平年比2割安の1本当たり53円と低迷。一方、3月は送別会や彼岸向けの仕入れが進んだことから70円と高水準で、販売量も過去2年を上回り、活発な取引となった。
しかし、彼岸が明け通常期に戻ると、菊類などが再び平年を下回る展開に。輪菊は彼岸後から11営業日連続で平年比1、2割安で推移し、14日は39円と2カ月ぶりに40円を割った。小菊も8営業日連続で平年を1~3割下回る。「量販店の仏花束の動きが鈍い。新型コロナの感染再拡大によって、主要な購入層の高齢者が店に行く頻度が減っている」(同)。
通常であれば、小売りや加工業者が前もって多めに仕入れるケースも多いが、コロナ下では消費の先行きが不透明なため、仕入れを必要最小減に抑える傾向だ。物日向けは間際に足りない分をせりで買う業者が増え、せりよりも高く売れるはずの注文販売分があおりを受け、苦戦している。
輪菊の主産地、JA愛知みなみ(田原市)では、今年度の注文の年間契約分が大きく減った。「コロナ禍による葬儀縮小で上位等級の減少が大きい」(同JA)。減少分を補うため、従来輸入品を使っていた業者に置き換えを提案したり、5月の「母の日」に向けた墓参り需要(母の日参り)を当て込み、積極的に注文を取るなど、新たな販路の開拓に努めている。
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2021年04月16日

米の新顔 期待と不安 福島「福、笑い」 秋田「サキホコレ」 需給緩和、コロナ…
米どころの東北地方で、今年から来年にかけて福島県と秋田県のオリジナル品種が相次いでデビューする。県はブランド化に力を入れるが、米の需給緩和や新型コロナウイルス禍が影響し、販売環境は決して良くない。他県の銘柄米も数多くある中、幸先の良いスタートが切れるのか──。生産者は気をもんでいる。(音道洋範)
福島県からは2021年秋に「福、笑い」がデビュー。秋田県では22年秋のデビューを前に、今年から「サキホコレ」の販促を本格化させる。両品種とも、県は“最上位品種”と位置付けている。
「福、笑い」は21年に25ヘクタール、130トンの生産を計画。県やJAなどでつくる協議会が、毎年需給を見極めて生産量を調節することで希少価値を高め、高価格の維持とブランド確立を進める。
「『福、笑い』の存在感を高めていきたいい」と話すのは福島県農産物流通課だ。パッケージは青色を基調にして人々の顔を描いたものを採用。農業生産工程管理(GAP)認証の生産者だけが栽培できるなど、独自性を打ち出す。
福島県白河市で、新品種を栽培する入方ファーム代表の薄井惣吉さん(67)は、福島県産米は原発事故の「風評被害」が残ることを挙げ、「福島の生産者が、希望やプライドを取り戻すきっかけになれば」と思いを込める。
薄井さんによると昨年、「福、笑い」の生産者買い取り価格は1俵(60キロ)1万8000円前後と、同県産「コシヒカリ」を6000円ほど上回った。香りが立ち、強い甘味があると評価され、生産者の期待は大きい。
一方、販売環境は悪化している。農水省によると2月の福島中通り「コシヒカリ」の相対価格は前年比12%値下がりした。今秋以降も米価下落への懸念は根強く、薄井さんは「『福、笑い』がデビュー後にどれだけ市場に受け入れられ、価格を維持できるかが鍵だ」と語る。
秋田県産の「サキホコレ」も、21年秋にプレデビューする。味にこだわりを持つ消費者や飲食店などを主な顧客と想定し、今年は80ヘクタール、約400トンを生産する予定だ。
県は知名度の高い「あきたこまち」で培った販路や米どころのイメージを活用し、販路拡大につなげる考え。首都圏と県内の米穀店や百貨店を中心に売り場を広げていく計画で、「価格以上に価値のある米だと消費者に感じてもらいたい」(秋田米ブランド推進室)と期待する。
ただ、秋田米もコロナ禍や近年の豊作傾向で在庫が増加。県農業再生協議会が20年に行った試算では、21年6月末時点の推定在庫量は15万5733トンと、過去5年で最大となる見込みだ。県の担当者は「『サキホコレ』は販売サイドの関心が高く、数量も少ないため影響はない」とみるが、秋田米を扱うある米穀業者は新品種に期待しているとした上で「メイン品種の値下がりが止まらない中、ブランド米への下押し圧力も相当なものになるだろう」と不安を抱える。
明確な印象 打ち出せるか
農産物のブランドづくりに詳しい静岡県立大学の岩崎邦彦教授
米は毎年さまざまな銘柄米が出ているが、消費者が明確なイメージを持っている銘柄米は極めて少なく、ブランドではなく商標にとどまっているのも多い。
農産物のブランドを確立させるためには、産地が明確なイメージと特徴を持ち、それを消費者に共有してもらうことが大切だ。
味や食感などはもとより、形状、栽培方法など何らかの形で日本一と打ち出せるほどの個性を持つことが必要ではないか。
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2021年04月13日

イチゴ輸出に勢い 2カ月で前年の8割 アジア圏中心
イチゴの輸出に勢いがある。財務省貿易統計によると2月のイチゴ輸出量が493トンとなり、単月では初めて10億円を突破。輸出量も、1月から2カ月連続で前例のない400トン超えとなった。日本産の品質面への評価に加え、新型コロナウイルス下の巣ごもり需要を海外でも獲得している。(高梨森香)
大粒・食味に定評 コロナ下の巣ごもり需要つかむ
日本産イチゴは香港、シンガポール、タイ、台湾、米国などに輸出。2014年から輸出量が伸び、18年には過去最高の1237トンを記録した。19年は不作で1000トンを割り込んだが、コロナ下で物流が停滞した20年も1179トンと18年に次ぐ輸出量を維持。10年と比べて11・5倍になったが、21年はその20年の年間量の8割に当たる913トンを2カ月間で輸出している。
日本産イチゴは海外市場では国内価格の3~6倍で流通するが、大粒の見た目や食味の良さから現地の富裕層を中心に人気が高い。福岡県のJA全農ふくれんの担当者は「コロナ下で輸送用の航空便が減便となる課題があった一方、訪日できない外国人の現地での家庭消費が旺盛だった」と指摘する。
イチゴは輸出の有力品目で、「今後、さらに需要は拡大する」(全農インターナショナル担当者)との見方は多い。越境のインターネット通販サイトを活用した輸出を進める主産地の栃木県は、シンガポールやマレーシアなどで県産イチゴを使った料理教室をコロナ下も開催。海外市場への売り込みを強める姿勢だ。
政府は農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略で25年にイチゴの輸出額86億円を目標に掲げ、全国12産地を「輸出産地」に指定。国内需要を満たした上で輸出向けも確保できるよう生産基盤の強化を急ぐ。農水省は「基盤強化を軸に、流通段階での品質保持、相手国の防除基準やニーズに合わせた生産で輸出量を伸ばしていく」(園芸作物課)と話す。
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2021年04月11日
台湾、56年ぶり干ばつ 農産物被害 日本産に期待高まる
台湾で昨年、1964年以来初めて台風が上陸せず、降雨量は、地域によっては例年の2~6割に減少した。その影響で、タマネギなどの農産物に被害が生じている。今後も干ばつ傾向が続くことが見込まれることから、有力な輸入国である日本に期待する見方も出ている。
日本の農水省に当たる農業委員会(農委会)によると、昨年、台風が上陸しなかったため降雨量は例年の2~6割に減り、56年間で最も少ない年となった。&
干ばつの影響で、8日現在、3715ヘクタールの農産物に被害が生じている。品目別では、マンゴーへの被害が2162ヘクタールと最も多く、次に茶、梅、タマネギの順となった。
今年1期作としてかんがいが必要な面積は、23万6000ヘクタール。しかし、75%に当たる17万8000ヘクタールで水不足が深刻になる恐れがある。農委会は、今後も干ばつ傾向が続くとみて、関連病害虫の防除を進め、農業被害を最小限に抑えるように呼び掛けている一方、干ばつによるタマネギなど野菜生産量の減少で日本産の需要が高まるとみられている。台湾は昨年、日本から前年の4・3倍に当たる3万7624トンのタマネギを輸入した。日本は、米国や韓国を抜いて初めて輸入量が1位となった。今年1~2月の輸入量も、前年同期の2・8倍の5269トンと1位を維持している。
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2021年04月11日

和子牛せり 名簿にゲノム育種価 能力判断の新指標 群馬・渋川市場
和牛子牛を取引する群馬県の渋川家畜市場で9日、せり名簿への「ゲノミック育種価」の表記が始まった。血統や体格などに加え、子牛の能力を判断する新たな指標として提示し、評価向上や取引の活性化につなげる。分析を担う家畜改良事業団によると、ゲノミック育種価をせり名簿に記載するのは全国初の試み。(斯波希)
ゲノミック育種価は、和牛の能力をゲノム(遺伝子)の違いで評価する。
2021年04月10日

ダイダイ地域の顔に 「サワー」PR実行委も発足 静岡県熱海市
ダイダイで熱海を元気に――。全国有数のダイダイ産地・静岡県熱海市では生産者と食品卸、飲食店などが一体となって、地域活性化とダイダイのブランド化に注力する。その一環として熱海市の飲食店関連団体は9日、「熱海だいだい実行委員会」を発足した。ダイダイの活用によって地域経済を循環させ、縮小するダイダイの生産基盤維持にもつなげたい考えだ。
委員会は熱海料飲連合会、熱海社交業組合、県飲食業生活衛生同業組合熱海支部の3団体が立ち上げた。……
2021年04月10日