農政局2030年予測 中四国8割の地域 農家減少止まらず

ソバ畑で「個人の力で地域の農地を維持するのは難しい」と話す岡本さん(徳島県三好市で)

 中山間地が多い中国四国地方で、農家の減少が止まらない。中国四国農政局が10月にまとめた2030年の予測では、15年に比べ旧市町村単位で8割の地域の基幹的農業従事者が減少。徳島県では市内全域で40%以上の減少が見込まれる自治体もあり農業の存続が危ぶまれる状況だ。食料・農業・農村基本計画の見直しが議論される中、専門家は生産基盤の立て直しに十分な対策を求めている。(丸草慶人)
 

「農業がなくなる」 徳島県三好市


 「このままだったら、10年後は地域の農業がなくなってしまう」と危機感を持つのは、徳島県三好市東祖谷でソバ40アールなどを栽培する岡本文博さん(77)だ。山に囲まれた集落には住居が並び、隣には草を刈った耕作放棄地が点在している。

 山あいの地域では、ソバやジャガイモが伝統的に作られてきた。市は栽培面積を維持するために独自で助成事業を実施。しかし、18年度のソバの申請面積は約7ヘクタールと5年前に比べて4割減。栽培面積の減少に歯止めがかからない。

 岡本さんは「急傾斜地で機械がほとんど使えない。地域全体で高齢化が進んで、手作業を負担に感じて栽培する人が減った」と説明する。

 農政局の予測で徳島県は中国四国9県で唯一、基幹的農業従事者が増加する地域がなかった。特に山間地の同市は、傾斜15度を超える急傾斜地が9割超に上る。基幹的農業従事者も旧市町村単位の市内の地域全てで、「減少率40%以上」の予測となった。

 市によると、中山間地域等直接支払制度の第4期移行時(15年)に61あった集落協定は、現在43に減った。20年度に控える第5期の移行時にも減る見込みで、「高齢化と担い手不足に歯止めがかからない。特に急傾斜地農業では生計が立てにくく、就農につながりにくい」(市担当者)と指摘する。
 

中山間 高齢化響く


 同農政局がまとめたのは「2030年の基幹的農業従事者の増減率」。05~15年の平均増減率を基に、15年の農林業センサスの数値から予測した。その結果、旧市町村単位で中国四国地方の2166地域を見ると、78%の1690地域で基幹的農業従事者の減少が見込まれることが分かった。

 このうち「減少率40%以上」が727地域と全体の34%を占めた。「減少率20~40%」は651地域で同30%、「減少率20%未満」は312地域で同14%となった。増加する地域は16%にとどまり、その他6%は基幹的農業従事者がいないなどの地域。

 農家の減少は高齢化が影響している。15年の農林業センサスによると中国四国地方の基幹的農業従事者は65~69歳が19%、70~79歳が35%、80歳以上が20%と、全国平均を2~4ポイント上回り、高齢化が著しい。同農政局は「高齢農家がリタイアしても若年層が増えず、全国以上に高齢化が進んでいる」と指摘する。

 中山間地が多いため、担い手への農地集積や経営の規模拡大が難しい。18年の農水省の調査によると、耕地面積に占める中山間地域の割合は中国四国地方が61%で、全国を17ポイント上回る。また全耕地面積に占める担い手の利用面積の割合は28%と、全国平均よりも28ポイント低かった。
 

政策支援の拡充を


 中山間地域の厳しい現状に、持続可能な地域社会総合研究所の藤山浩所長は「どれくらい就農すれば地域が存続できるかの具体的なシミュレーションと、呼び込む必要がある人数の設定をした方が良い」と話す。「特に、中山間地域は農業に加えて他産業やツーリズムなどと組み合わせた収入源の確保が必要」と指摘。その上で「中山間地域等直接支払制度の拡充など、政策支援で地域を支えるべきだ」と提言する。

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