[未来人材] 30歳。フランス料理にジビエ、食育授業も 魅力浸透 地元から 更井亮介さん 和歌山県田辺市

ジビエ料理を披露する更井さん(和歌山県田辺市で)

 田舎でもおいしいジビエ(野生鳥獣の肉)料理が食べられる環境をつくりたい――。鳥獣被害が大きい和歌山県田辺市の上芳養地区にUターンした更井亮介さん(30)。地元食材の魅力に導かれた。ジビエ料理を提供するフランス料理店を運営する。ジビエを学ぶ講習会や食育の授業も地域で実施。ジビエの身近さやおいしさを伝えることで、利用拡大を目指す。

 信号もなければコンビニもない。そんな地域で、本格的なジビエ料理を振る舞う「Caravansarai(キャラバンサライ)」を今年開いた。実家は1・5ヘクタールの梅農家で、祖父が梅を漬けていた蔵を改装。実家で取れた梅も同店で生かす。

 料理が好きで、地元の高校を卒業後、大阪の調理師専門学校に通った。田舎にはない華やかな世界に憧れ、大阪の老舗ホテルに就職。同ホテルでは、食材は厨房(ちゅうぼう)に直接届けられる仕組み。食材を自分の目で見て仕入れる環境に引かれ、長野県のフランス料理店に転職した。

 同店の料理長は日本ジビエ振興協議会の発起人。猟師と一緒に山へ入り狩猟もしていた。初めて狩猟に同行した時は、鹿をと畜するのも肉を食べるのも初めて。「やわらかくておいしい。こんな高級な味わいになるのかと驚いた」。ジビエを見る目が一気に変わった。ジビエ普及を目指す料理長と共に、ジビエ料理のセミナーを開く他、調理方法や解体処理施設などに関するルール作りなどを進める活動もした。

 4年ほどジビエに関わり、独立を考えた。実家から送られてくる梅やかんきつ、帰省時に自ら買った食材などを見ていると、料理のアイデアが次々と浮かんでいた。「地元の食材を使った店を出したい」。地域のほとんどが農家で狩猟もする上芳養では、同時期にジビエの処理加工施設の誘致も進んでいた。施設が完成した18年にUターンした。

 地域でジビエの料理講習会にも取り組む。食育として、学校で鳥獣被害を説明したり、狩猟の動画を見せたりもしている。「地域でジビエは身近でおいしい食材だということを伝えていきたい」。ジビエの活用拡大を目指し、今日も腕を振るう。(本田恵梨)

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