新基本計画の実践 農業・農村 一体的振興を

 政府は、新たな食料・農業・農村基本計画を閣議決定した。食料自給率向上への本気度が問われる。生産基盤の強化と国産需要の拡大へ、実効ある施策の具体化が必要だ。また、農村は農業の基である。農村振興との三位一体で施策を推進する仕組み作りも求められる。

 食料自給率の引き上げ目標を掲げた初の基本計画策定から20年。自給率は過去最低に落ち込んだ。農業者や農地など生産基盤の弱体化が背景にある。

 農業者を確保するために新基本計画は、経営改善に取り組む認定農業者らを担い手として重点的に支援することを従来と同様に柱に据えた。併せて中小・家族農家など多様な経営の営農継続も重視。産地単位で生産・販売していることを踏まえて生産基盤を強化する。政府が担い手と位置付ける経営と他を分けており、「多様な担い手」という考え方までは踏み込んでいない。しかし両者が連携・協働して地域農業を支える将来像を描いたことは今回の特徴だ。安定供給できる産地づくりは国産需要の拡大にもつながる。

 地域農業の持続性の向上には経営継承と若い新規就農者の増加・定着が必要だ。新基本計画は、就農準備から経営開始後まで一貫して支援する地域の受け入れ体制の充実と政策パッケージの提示を挙げる。同時に、多様な形で農業に携わったり、関心を持ったりする若者の裾野を広げることも重要だ。「田園回帰」の流れを大きくする魅力ある地域づくりが欠かせない。

 農村を支える体制として新基本計画は、集落営農を地域づくりの分野へも多角化する一方で、地域運営組織の活動を農地の利用・管理に広げる方向を示した。JAにも地域づくりを推進するよう求めている。農村での所得と雇用機会の確保でも農業が基軸だ。農業と農村の振興施策は重なる。食料・農業・農村基本法は、農村は「農業の持続的な発展の基盤」とし、新基本計画にも明記した。両施策の一体的推進の必要性を物語る。 それには地域おこし協力隊や移住者を含め、農業と地域づくりに携わる個人や団体などが幅広く参画し、それぞれの将来像や計画の共有と話し合いを通じ農業・農村のビジョンを主体的に描き、実現に向けて連携・協働する地域ぐるみの取り組みが重要だ。新基本計画も集落の将来像の明確化を促し、人・農地プランなど各種の農業振興計画の連携・統合も行うとした。

 農水省が中心になって農村の実態や要望を現場で把握し、課題解決に当たる仕組み作りも盛り込んだ。農業のみならず農村振興でも同省が司令塔役を果たし、府省の連携と施策の総合化で一つの窓口を通じて現場が必要な支援を受けられる体制を構築すべきだ。ビジョンの策定や施策の活用を現場で支えるのは市町村である。しかし職員の減少などで「自治体農政」は弱体化している。施策の推進体制と人材育成へのてこ入れも重要だ。
 

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