コロナ農業対策 迅速に柔軟に機動的に

 政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言を発令した。農産物需要の一層の減少が懸念される。生産基盤が維持されるよう、農家の経営安定のための対策を迅速・柔軟・機動的に実施すべきだ。新たな食料・農業・農村基本計画は十分なコロナ対策を行う方針を掲げた。実効性が問われる。

 食料安全保障の確立へ新基本計画は、国内外の需要に対応できるよう生産基盤を強化するとした。しかし新型コロナの感染拡大で牛肉や花きなどの消費は減少し、価格も低迷、輸出も減った。東京など7都府県への宣言発令で外出自粛が浸透し、飲食店・小売店の休業拡大や休校の延長もみられ、国産需要や価格への不透明感が増している。

 新基本計画は、新型コロナで農業・食品産業は深刻な需要減少や人手不足に直面しており、「内需・外需の喚起と生産基盤の安定化に向けた対策を十分に講ずる」ことを表明した。

 消費者や実需者の購買力の維持が需要喚起の前提だ。企業・事業者の倒産や廃業、家計の所得減少、失業者や貧困層の拡大などを防ぐことが重要である。

 政府は緊急経済対策を盛り込んだ本年度の補正予算案で、収入が減った低所得世帯などへの30万円の現金給付や、売り上げが半減した中小企業に200万円、個人事業者らに100万円を支給することなどを打ち出した。安倍晋三首相は、日本経済は「戦後最大の危機」との認識を示した。問われるのは、克服に十分な対策かだ。野党は国民一律の現金給付や中小事業者への減収補償などを主張。与党からも、現金給付の対象を絞り込むことに異論が出ていた。

 ただ、企業の倒産や解雇、賃金カットなどが既に発生し、対策が遅過ぎるとの批判がある。スピード感が求められる。その上で、補正予算案の国会審議や暮らしと経済の実態を踏まえて追加対策に取り組むべきだ。

 農業では、販売促進対策と併せて①実質無利子・無担保の金融支援②コスト低減などに取り組む肉用牛肥育生産への支援③野菜・花き・茶などの次期作支援──など事業継続対策を行う。要件は最小限にし、支援を求める全ての農家が早期に受けられるようにすべきだ。要件の見直しや柔軟な対応も必要だ。

 江藤拓農相は国会で「営農規模が縮小しないように果敢にトライする」と言明した。新基本計画は、現場の課題やニーズを把握しながら施策を展開するとしており、現場主義で積極的に追加・見直してもらいたい。

 窓口の一本化も大切だ。農水省は地方農政局などに相談窓口を設けたが、他府省の事業の利用も想定され連携を求める。

 この1カ月は爆発的感染拡大を防げるかの正念場で、コロナ禍の収束へは長い闘いとなる可能性がある。農業経営の維持には不安を払拭(ふっしょく)し、ここを乗り切れば「Ⅴ字回復できる」(安倍首相)との希望を持てる政策支援が鍵となる。
 

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