認知症予防 野菜もっと食べよう 医師・作家 鎌田實

鎌田實氏

 新型コロナウイルスが世界中に広がっている。感染しても8割が軽症で済むといわれているが、持病のある人は重症化する危険性が高くなる。全体の致死率は3・8%だが、高血圧の人は8・4%、糖尿病の人は9・2%と世界保健機関(WHO)が発表している。

 なぜ高血圧があると重症化しやすいのか。よく分からない点もあるが、高血圧があると炎症性サイトカインが分泌され、慢性炎症を起こし、動脈硬化が進んでいく。たかが高血圧と思わず、新型コロナが猛威を振るっているこんな時だからこそ、血圧や血糖値を改善しておく必要がある。普段の生活が大切だ。
 

慢性炎症を抑制


 肥満、高血圧、高脂血症、高血糖の四つを併せ持つメタボリック症候群は慢性炎症を進めやすくする。認知症も、脳細胞の慢性炎症がきっかけだといわれている。

 僕はもうすぐ72歳。とっさに人の名前が出てこないなど、物忘れが気になるようになった。年相応の物忘れだが、そろそろ認知症予防を始めようと思う。

 認知症予防というと、脳を活発に働かせるための脳トレなどのイメージがあるかもしれない。もちろん、そうした予防法もあるが、慢性炎症を抑えることも認知症予防にとって重要なポイントとなる。

 慢性炎症を抑えるために僕が薦めているのが、野菜をしっかりと食べることだ。野菜の色素が持つ抗酸化力は、慢性炎症を抑えるとされている。また、野菜に含まれるカリウムは体内のナトリウムを排出し、高血圧を改善する。高血圧を放っておくと慢性炎症を起こし、動脈硬化を進め、脳卒中や心筋梗塞を起こす恐れがある。

 厚生労働省は1日350グラムの野菜を食べるように推奨しているが、都道府県別に見ると、この推奨量に達している地域は長野県だけ。この野菜摂取量の多さが、長野県を平均寿命日本一にした一因ではないかと僕は考えている。

 日本全体が健康長寿になり、認知症を予防するためには、生産者が栄養価の高い、いい野菜を安定的に生産することと同時に、消費者がもっと野菜の価値を見いだせるように、JAなどが知恵を絞っていくことが大切になる。
 

軽度なら回復も


 認知症は現在460万人、予備軍の軽度認知障害(MCI)は400万人いるといわれている。認知症は残念ながら治すことはできないが、軽度認知障害ならば生活習慣の改善によって、約半数が健常な認知機能に戻ることが分かっている。そのためにもまず野菜だ。

 それはどんな生活習慣なのか。僕自身が実践していることを『認知症にならないための29の習慣』(朝日出版社、5月20日発行)という本にまとめた。読んでいただければ幸いである。

 かまた・みのる 1948年東京生まれ。長野県・諏訪中央病院名誉院長。内科医として地域医療に尽力。東北の被災者支援、チェルノブイリやイラク難民キャンプへの医療支援にも取り組む。著書は『がんばらない』『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』他、多数。

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