骨太方針今月策定 基本計画実現の試金石

 今年度前半の重要な政策決定事項に経済財政運営の基本方針(骨太の方針)がある。新しい食料・農業・農村基本計画に盛り込んだ「産業政策と地域政策の車の両輪」をしっかりと反映させなければならない。最初の試金石だ。

 骨太の方針は、首相の諮問機関・経済財政諮問会議の審議を経て閣議決定される。新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年度は、例年より1カ月遅い7月中に決める。来年度の政府予算案はこの方針に基づき、各省の概算要求、予算編成と進む。今年度はコロナ対策の1、2次補正予算に総額57兆円を投入。財源の大半は赤字国債だけに、財政規律の在り方が争点になりそうだ。そうした中で農業予算に関する記述がどうなるか注目される。通常、各省はこれを終えた後、幹部人事の季節に移る。

 3月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画の特徴は、農業の成長産業化を進める「産業政策」と多面的機能の維持・発揮を進める「地域政策」を「車の両輪」として明確化したことである。しかし、5年前の基本計画にも「車の両輪」の文言はあった。にもかかわらず、その後の農政運営が農協改革をはじめ急進・拙速改革路線に偏したのは記憶に新しい。その二の舞を避けなければならない。

 基本計画は農業者の減少、中山間地域の生産と集落機能の困難さ、貿易自由化の進展、自然災害、家畜疾病などを制約要因に挙げ、「農業・農村の持続性を高め、食と環境を次世代に継承していくこと」を施策展開の目標に据えた。その際、経営規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず生産基盤を強化していくことや、「地域政策の総合化」という従来にない概念で地域活性化に各省連携で当たることを明記した。

 この基本計画への農業関係者の期待が高いのは、近年の農政運営への反省をにじませながら、真に「車の両輪農政」を進める決意がうかがえるからであろう。しかし、問題はその具体化である。政府が先に閣議決定した食料・農業・農村白書は冒頭でこの基本計画を取り上げながらも、踏み込み不足の印象を拭えない。そこにいささかの懸念を感じざるを得ない。

 骨太の方針での農業の記述は、予算編成に向けた橋頭堡(ほ)である。例えば、飼料用米や麦・大豆など水田農業関連予算は「食料安全保障の確立」が根拠だ。しかし、急進改革の最盛期だった2017年度の骨太の方針で削除され、その後、財務省が飼料用米助成の削減を強く迫ったという経緯がある。

 骨太の方針に家族農業や中山間地域で「攻め」の記述を盛り込めるかも焦点である。農産物輸出は日本農業の新機軸として重要だが、これだけでは食傷気味だ。コロナ禍を機に基礎物資の「国内生産回帰」の重要性への国民意識が高まっている。食料安全保障もまた旗を高々と掲げ直すべきだ。
 

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