発酵学者の小泉武夫さんは、旅にはいつも納豆を持ち歩いた

 発酵学者の小泉武夫さんは、旅にはいつも納豆を持ち歩いた。おかげで食中毒になることはなかった▼納豆は、納豆菌で発酵しているため、下痢や吐き気の予防効果がある。暴飲暴食で体調を崩した時にも、納豆を食べて見事に回復したことも。「納豆信仰の教祖様のように、旅に出るごとに納豆を持って行くようになった」と、『納豆の快楽』(講談社)で書いている▼信仰とまではいかないまでも、健康に気を配って、食べる人が増えてきた。猛威を振るう新型コロナウイルスへの抵抗力を付けようと、“コロナ特需”がブームに拍車を掛ける。国産大豆を使った逸品を買っては、「かき混ぜるほどうまい」と家人に聞いて、朝な夕なに練り回す▼ちょっと昔なら、たいていの農家は自宅で作った。いろりで煮た大豆をわらの苞(つと)に入れて、むしろに包んで数日寝かす。そうすると糸を引く香ばしい納豆になっていた。わらに納豆菌がいるからだが、子どもの頃は不思議でならなかった。アジアの国々でも古くから食べられていたという。「西南シルクロード自体が『納豆地帯』なのである」と高野秀行著『謎のアジア納豆』(新潮社)に教わった。納豆の糸がつなぐ食のロードであろうか▼伝統の発酵食には、効能と庶民のいろんな知恵が詰まっている。
 

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