その男性は41歳の時に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した

 その男性は41歳の時に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した▼全身の筋肉が衰え動けなくなる病気で、有効な治療法はまだない。自力では呼吸もできなくなり、人工呼吸器を付けるかどうか選択を迫られる。〈子を見れば生きたくなるが 介護苦は与えられじと 迷い振りきる〉〈死を望む我に生きよと告ぐる声 廊下に響く呼吸器の音〉。彼も選択の時を迎え、生と死の間で揺れる心情を詠んだ▼彼は、後の参院議員・舩後靖彦さん(62)。同じ境遇の人が支え合うピアサポートが生きがいとなり“生”を選ぶ。障害者用の意思伝達装置を使って他の患者に自分の経験などを伝える。医師の依頼で始めた。『しあわせの王様』(舩後靖彦・寮美千子著、ロクリン社)で知る▼ALSの女性患者が亡くなり、嘱託殺人の疑いで2人の医師が逮捕された。舩後さんは見解を発表。安楽死に肯定的な意見について、難病患者らが「生きたい」と言いにくくなるとし、「どんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会をつくることが(略)私の使命」と記す。その社会は健常者も生きやすく、皆の使命であろう▼安楽死とは分けて考えたいことがある。依頼を受け、金をもらって人を殺したのが事実なら、殺し屋の所業ではないか。
 

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは