東京の国技館周辺を何度か歩く

 東京の国技館周辺を何度か歩く。コロナ禍でも新旧大関活躍の7月場所を無事終えて、相撲ファンら江戸下町情緒を楽しむ人出が戻り始めた▼再開した文化施設へ。JR両国駅から徒歩5分の江戸東京博物館。特別展「奇才」で絵師の自由闊達(かったつ)な作品を楽しむ。江戸絵画の“冒険者”の試み。現在、特別展は同館を皮切りに全国巡回中である。斬新で唯一無二の表現に挑んだ北海道から九州までの個性派絵師35人の逸品が集結した▼普段お目にかかれない作品も多い。例えば松前藩・蠣崎波響(かきざきはきょう)による高貴な着物に身を包むアイヌの人物画、山陰で活躍した片山楊谷(ようこく)が描く独特の毛並み輝く虎図。こうした地方の絵師の秀作にも光を当てた。タイトル奇才の〈奇〉は〈思いがけない〉の意で、著名絵師でもアッと思わせるまさかの作品の数々に驚く▼俵屋宗達、尾形光琳(こうりん)をはじめ琳派のスター絵師らも勢ぞろい。今は高い評価を受けるが、当時は異端だった。特別展で見入ったのは江戸琳派を代表する一人、鈴木其一(きいつ)の「紅葉狩図凧(ずだこ)」。初めて見た絵凧は紅葉に染まる色彩豊かな筆致で表す。〈奇才〉の王道を行く葛飾北斎の「弘法大師修法図」はすごい▼空海の祈りが、病魔の化身・鬼の脅しに屈せず厄災を鎮める。北斎なら今のコロナ禍をどう描くだろう。
 

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