[未来人材] 33歳。地域おこし協力隊員 援農しながら就農めざす 地域に愛着定住決意 北海道ニセコ町 中村大佑さん

収穫したサツマイモを持つ中村さん(北海道ニセコ町で)

 北海道ニセコ町の中村大佑さん(33)は、援農をしながら新規就農を目指す、地域おこし協力隊員だ。首都圏で電機メーカーに勤務していたが、同町の美しい風景や農業を中心とした暮らしに魅せられて移住。地域の農業者や消費者と関わることで、就農への思いを強めている。

 中村さんは札幌市に隣接する石狩市の出身。小樽市の大学を卒業後、機械いじりが好きだったこともあり、神奈川県の半導体メーカーに就職。ほこりを入れない「クリーンルーム」と呼ばれる部屋で、半導体を作る機械の点検作業をした。窓もない環境で作業を続けるうちに、働く場として違和感を抱いた。

 5年ほど勤務した後、ワーキングホリデーでオーストラリアに渡航。バナナ農園で働き、自然の中での作業にやりがいを感じた。

 世界一周旅行を経て帰国した後、移住先を探そうと全国をヒッチハイクで回った。ニセコ町は最初に立ち寄った場所だが、羊蹄山と美しい自然が決め手となり移住を決断。「海外で広大な自然を見てきたが、ニセコ町はそれに負けない風景だ」と感じた。

 2017年に同町に近い真狩村の畑作農家で働いた後、18年度から同町の地域おこし協力隊員を務める。共進会や町営牧場を手伝う他、町内の畑作農家の援農が仕事だ。そのうちの1戸の農地を使わせてもらい、19年から野菜などを栽培する。今年はビニールハウス(330平方メートル)でトマト、もう1棟でオクラ、クウシンサイなどの葉物を作る他、トウモロコシ30アール、サツマイモ10アール、エダマメ20アールを育てる。

 サツマイモを水はけの悪い畑に植えた結果、雨で泥になって収穫に苦労するなど失敗もあったという。ただ、自分の判断と責任の裁量が大きい農業に愛着を持っている。

 地域の農家に用事がなくても寄ったり、直売所で会ったら話し掛けたりして地域に溶け込む中村さんは、定住することを決意。現在働いている農家からの信頼も厚く、来年以降、経営を引き継いで就農する予定だ。

 中村さんは「いろいろなことに挑戦する農家でありたい。収穫体験ができる観光農園や葉物野菜の水耕栽培などに挑戦したい」と夢を描く。
 

農のひととき


 天気の良い時に畑作業をしていると、「蝦夷(えぞ)富士」と呼ばれる羊蹄山が美しく見える。近くの直売所でさまざまな種類の農産物を見て、多様な品目が栽培される地域であることを実感する。農業を通じて「ニセコ町での暮らしを、ますます好きになっている」。

 新型コロナウイルスの感染拡大で観光客は減っているが「きっと戻ってくる。新鮮な農産物を多くの人に味わってほしい」と前向きだ。
 

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