イタリア北部 キウイ産地非常事態 衰弱症候群まん延 原因不明、温暖化関連か

 イタリア北部のキウイフルーツ産地では、現地農家が「死」と呼ぶ原因不明の衰弱症候群が広がっている。世界第2の生産量を誇る同国産キウイフルーツの1割以上が伐採処分された。政府は非常事態とみて対策を急ぐ。研究者らは地球温暖化で土壌中の温度が上昇し、湿害が長期化することが症候群と関連しているとみている。(特別編集委員・山田優)

 同国北部で被害が表面化したのは、今から8年ほど前。生育良好に見えた木の葉が突然しおれ、10日もすると全ての葉と果実が落ちる。症状が出ると、大半の木は1、2年で枯れてしまい、例外なく根の部分が腐るのが特徴だ。現在、原因も分からず治療の方法はない。

 被害を受けた産地には8割の木で症候群が発生したところもあるという。同国政府の農業研究機関CREAによると、総額で7億5000万ユーロ(約900億円)もの被害が生じ、放置すれば事態がさらに悪化するという。政府は、対策チームをつくって原因究明に乗り出した。

 研究者らは症候群発症の正確なメカニズムを確定できていない。これまで病原体が特定されず、土壌中の酸素欠乏などの障害がきっかけではないかとみられている。

 CREAのローラ・バルディ博士は、メールによる記者の質問に対して「地球温暖化で夏場に土中の温度が上昇し、長雨による過湿状態の酸欠と重なることで引き起こされると考えている」と答えた。博士らは夏場のかんがいを控えたり、土壌の改良や生物多様性を豊かにしたりすることを農家に呼び掛けているが、「原因を究明して完全な対策を明らかにするのは年単位の時間が必要だ」と説明する。

 国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、最近のイタリアのキウイフルーツ栽培面積は約2万5000ヘクタールで、56万トンを生産。中国の200万トンに次ぐ世界第2の生産国で、ニュージーランドの41万トンを上回る。

 農研機構の果樹茶業研究部門でリンゴの病害虫を担当する須崎浩一ユニット長は「現時点で日本国内の産地からはこうした急性枯死や衰弱の事例は聞いていない。国内のリンゴや桃の若木で降雨の多い夏季に枯死障害が発生している。湿害をきっかけに土壌中の病原菌が感染することが一因でもある」と話している。イタリアのキウイの症候群との関係については不明だとしている。農水省によると、日本はイタリア産キウイフルーツの輸入を認めていない。
 

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