豚熱 西日本ピリピリ 「ワクチン帯」後退 感染イノシシ相次ぐ
2020年11月15日

豚熱に感染した野生イノシシの発見が西日本で相次いでいる。10月中旬以降、奈良、大阪、和歌山の3府県で感染イノシシが初めて確認された。農水省は封じ込めに向け、いわゆる経口ワクチンベルトを設けて対策を進めてきたが、抑え込めていないのが現状だ。西日本での一層の感染拡大が懸念される中、養豚関係者は警戒感を強めている。
野生イノシシを巡っては2018年9月、岐阜県で初めて豚熱の感染を確認。その後、全国にじわじわと広がっている。同省は感染拡大を食い止めようと、経口ワクチンベルト対策を始動。西日本では当初、三重、福井、滋賀の3県を貫くようにワクチンベルトの構築を進めた。
だが、野生イノシシの感染拡大に歯止めがかからない中、ワクチンベルトの“最終ライン”は徐々に移動。現在では、兵庫と京都・大阪の府県境まで後退している。
10月に入り、感染イノシシの確認が近畿地方で相次ぐ。14日の奈良を皮切りに、29日の大阪、30日の和歌山と、立て続けに3府県で確認された。兵庫を除く近畿の全府県に広がった形で、大阪府の担当者は「ここまで感染が広がったのか」(動物愛護畜産課)と驚きを隠さない。
“最終ライン”が突破される懸念も高まっている。大阪で感染イノシシが見つかった場所は、兵庫との府県境までわずか10キロほどの地点だった。
さらに最終ラインが未完成であることも懸念材料だ。新型コロナウイルスの影響で経口ワクチンの輸入が止まり散布が遅れるなどしたためだ。散布作業は11月中旬までかかり、それまでは感染イノシシが素通りする恐れもある。
兵庫県の担当者は「イノシシの移動距離などを考えると、既に突破されている可能性がある」(畜産課)と危機感をあらわにする。
豚熱の終息に向け、野生イノシシでの早期封じ込めは不可欠だ。現在、農水省は飼養豚へのワクチン接種を進めるが、十分な免疫を獲得できる豚は8割程度にとどまり、感染リスクは完全にはなくならない。ウイルスを持つイノシシがいる限り、生産者は常に侵入リスクを抱えながら養豚を営むことになる。
北海道大学大学院の迫田義博教授は「野生イノシシでの感染が予想以上に早く広がっている。さらに先回りして経口ワクチンを散布するなど、対策の再検討が必要だ」と指摘する。
<ことば> 経口ワクチンベルト
豚熱が発生した地方を取り囲むように、野生イノシシ向け経口ワクチンを帯状に散布する対策。農水省が昨年9月、イノシシ対策の柱として打ち出した。東日本と西日本の2本のベルトで挟み込み、野生イノシシがベルトの外側に豚熱ウイルスを拡散するのを防ぐ。「防疫帯」などとも呼ばれている。
野生イノシシを巡っては2018年9月、岐阜県で初めて豚熱の感染を確認。その後、全国にじわじわと広がっている。同省は感染拡大を食い止めようと、経口ワクチンベルト対策を始動。西日本では当初、三重、福井、滋賀の3県を貫くようにワクチンベルトの構築を進めた。
だが、野生イノシシの感染拡大に歯止めがかからない中、ワクチンベルトの“最終ライン”は徐々に移動。現在では、兵庫と京都・大阪の府県境まで後退している。
10月に入り、感染イノシシの確認が近畿地方で相次ぐ。14日の奈良を皮切りに、29日の大阪、30日の和歌山と、立て続けに3府県で確認された。兵庫を除く近畿の全府県に広がった形で、大阪府の担当者は「ここまで感染が広がったのか」(動物愛護畜産課)と驚きを隠さない。
“最終ライン”が突破される懸念も高まっている。大阪で感染イノシシが見つかった場所は、兵庫との府県境までわずか10キロほどの地点だった。
さらに最終ラインが未完成であることも懸念材料だ。新型コロナウイルスの影響で経口ワクチンの輸入が止まり散布が遅れるなどしたためだ。散布作業は11月中旬までかかり、それまでは感染イノシシが素通りする恐れもある。
兵庫県の担当者は「イノシシの移動距離などを考えると、既に突破されている可能性がある」(畜産課)と危機感をあらわにする。
豚熱の終息に向け、野生イノシシでの早期封じ込めは不可欠だ。現在、農水省は飼養豚へのワクチン接種を進めるが、十分な免疫を獲得できる豚は8割程度にとどまり、感染リスクは完全にはなくならない。ウイルスを持つイノシシがいる限り、生産者は常に侵入リスクを抱えながら養豚を営むことになる。
北海道大学大学院の迫田義博教授は「野生イノシシでの感染が予想以上に早く広がっている。さらに先回りして経口ワクチンを散布するなど、対策の再検討が必要だ」と指摘する。
<ことば> 経口ワクチンベルト
豚熱が発生した地方を取り囲むように、野生イノシシ向け経口ワクチンを帯状に散布する対策。農水省が昨年9月、イノシシ対策の柱として打ち出した。東日本と西日本の2本のベルトで挟み込み、野生イノシシがベルトの外側に豚熱ウイルスを拡散するのを防ぐ。「防疫帯」などとも呼ばれている。
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農家に“ありがとう” みんなで伝えよう 全農 「食の応援団」 虹のコンキスタドール 的場華鈴さん
JA全農の「食の応援団」を務めるアイドルグループ、虹のコンキスタドールのリーダー、的場華鈴さん(20)が、日本農業新聞のインタビューに応じた。応援団の活動で国産農畜産物のおいしさを知る一方、農家が消費者の感謝の気持ちに触れる機会が少ないことに驚いたという。得意なインターネット交流サイト(SNS)を通じ「農家や食への『感謝』を盛り上げたい」と力を込める。
農業の経験はなく、小さい時の帰り道に畑で作業している農家に「こんにちは」と声を掛けたくらい。……
2021年01月15日

施設キュウリで 葉面積指数を活用 収量予測めざす 愛知・JA西三河
施設キュウリを栽培する愛知県のJA西三河きゅうり部会は、40人の全部会員が圃場(ほじょう)に葉面積指数を計測するLAI計測センサーを設置した。施設キュウリの生産者が導入するのは全国でも珍しい。樹勢やかん水の目安に役立て、将来的には収量予測への活用を目指す。
LAI計測センサーは植物群落の上下に照度センサーを設置し、上下の散乱光を採光する装置。葉が繁茂する状態によって上下の散乱光の光量比が変わる原理を活用し、自動で継続的に葉面積指数を計測する。静岡県農林技術研究所のトマトでの研究成果を基に、キュウリの葉面積指数を計測できるようにした。
センサーは昨年12月、開発したIT工房ZやJAあいち経済連、JAの担当者が圃場を巡回して設置作業に当たった。
農水省2019年度スマート農業技術の開発・実証プロジェクトを通じて実用化した装置で、新型コロナウイルスの影響を克服するための「経営継続補助金」を活用して全部会員が導入。産地全体でスマート農業を加速化させる。
JA営農企画課の大島健一課長補佐は「産地全体の栽培技術の高度化を図ることができる。LAI計測データを使って収量を予測し、販売にもつなげていきたい。他品目への応用にも期待している」と話す。一部の部会員は、生育の最適化に向けて排液カウンターや流量センサーの取り付けも行った。
部会は15年から、他産地に先駆けて部会全体で農業用情報通信技術(ICT)ツールを積極的に活用。導入以後、10アール当たりの収量・販売金額は約15%向上した。技術力の高い農家による栽培環境・肥培管理のノウハウを共有し、産地のレベルアップを図っている。
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2021年01月15日

[あんぐる] 今年の顔です 嶺岡牧の白牛(千葉県南房総市)
今年は丑(うし)年。千葉県南房総市は、日本酪農発祥の地として知られる。同地にある県の酪農の歴史を伝える施設「酪農のさと」では、国内で初めて乳製品の加工を目的に飼育されたと伝わるゼブー種の牛「白牛(はくぎゅう)」がのんびりと過ごしている。
白牛は、白い毛と長く垂れた耳の愛らしい見た目。暑さに強く、あごの下の胸垂のたるみや、背中のこぶといった特徴がある。海外では乳肉兼用の牛で、ホルスタインのような大きな乳房はない。
江戸時代の1728年に、将軍の徳川吉宗がインド産の白牛3頭を輸入。軍馬を育成していた同地の「嶺岡牧」で飼い、とれた乳を砂糖と煮詰め薬用の乳製品「白牛酪」を作ったことが記されている文献が残る。その後、白牛は70頭まで増加し、乳製品が献上品から庶民への販売品になった記録もある。しかし、明治期に発生した牛疫で同地から白牛は姿を消した。
施設には乳牛や地域の酪農の歴史を学べる資料館がある
嶺岡牧はその後も、牛の改良や繁殖を研究する場として牛が飼われ続け、現在の酪農の基盤をつくった。県は同地を「日本酪農発祥地」として1963年に史跡に指定。現在も「酪農のさと」の隣に、約30ヘクタールの放牧地と県の嶺岡乳牛研究所があり、乳牛受精卵の供給や放牧技術の研究を進めている。
「酪農のさと」では、95年のオープン以降、同地のシンボルである白牛を国内で唯一、継続的に飼育。現在は、雌3頭が飼われ、そのうち2歳の2頭は、2019年にオーストラリアから導入した“新人”だ。3頭とも性格は穏やかで、日中は屋外で日なたぼっこをしたり、干し草を食べたりして、過ごしている。
同施設の押本敏治所長は「今は冬毛でグレーになっているのが見どころ。インドでは神の使いといわれ、縁起が良い牛です」と話す。(染谷臨太郎)
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2021年01月11日

[未来人材] 39歳。農家に引かれ脱サラSNSで情報発信 消費者との壁を壊す 三重県四日市市 阿部俊樹さん
三重県四日市市の阿部俊樹さん(39)はサラリーマン時代の経験から、食べ物を自分の手で作る農家の魅力に引かれ転身した。就農研修中から積極的にインターネット交流サイト(SNS)で発信。1年目には共感した人々を巻き込みイベントを主催。「生産者と消費者の壁を壊す」を合言葉に奮闘している。
親は休日に米作りをする兼業農家だった。ただ、泥くさい仕事ぶりを見て「絶対に農家にはなりたくないと思っていた」。転機は広告代理店に就職後、そのつながりでエステティックサロンの経営を任されたことだった。美しさを考える中で、食べ物の大切さにたどり着いた。そしてその食べ物を生産する農業について調べれば調べるほど、農家の魅力を感じるようになった。妻と3人の子どもがいて不安はあったが「農家なら人の役に立ち、家族も豊かにできる」と確信。35歳で仕事を辞め、実家のある四日市市に戻った。
品目は「主要な野菜なのに四日市で誰も作っておらず、一番になれる」キュウリを選んだ。知人の仕事を平日に手伝いながら、休日だけ岐阜県のキュウリ農家で研修を受けた。
研修中はその様子や農業を始めた時の思いをSNSのツイッターで発信した。発信して3カ月ほどたつと「阿部さんのキュウリが食べたい」とコメントが何十件も届いた。まだ研修中なことにもどかしさを感じつつ、自分を発信することで販売につながる面白さも感じた。
2017年7月、「しなやかファーム」を立ち上げた。1作目は病害が出るなど苦戦したが、初めて苦労して作ったキュウリを食べた時の味は、今でも忘れられないほどおいしかった。
その感動や生産への思いを伝え、消費者の農作物への捉え方を変えようと、同年10月に食と音楽の収穫祭「しなやかフェス」を開催。全国から70人が集まった。規模を広げその後も3回開き、延べ500人以上が参加した。今後は農家らを主役にした「夏祭り」へ発展させることも構想する。
常識にとらわれず、しなやかな生き方への思いを込めてツイッターでは「しなやん」と名乗る阿部さん。世界一有名なキュウリブランドを目指し、信じた道を突き進んでいる。
農のひととき
2019年から市内のナス農家、会社員の友人と3人で、インターネット上に音声を配信する「ポッドキャスト」を使い「おみそしるラジオ」を配信している。内容は農業に限らず、趣味や経歴、恋愛の話など多岐にわたる。「言葉にすることで頭の中を整理できて、人前に出る練習にもなっている」と言い、ライフワークの一つだ。週1回収録し、20年12月末時点で本編63本を公開している。
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2021年01月10日
チバクロバネキノコバエ イチゴで特殊報福島県内初めて
福島県病害虫防除所は14日、いわき市のイチゴ圃場(ほじょう)でチバクロバネキノコバエの被害を県内で初めて確認し、特殊報第3号を発表した。イチゴへの被害は長野、茨城県などに続き7県目。……
2021年01月15日
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11月 農産物輸出6%増 5カ月連続で回復 家庭需要開拓が鍵
農林水産物・食品の2020年11月の輸出額は889億円で、前年同月から6%増えたことが農水省のまとめで分かった。前年を上回るのは5カ月連続。牛肉が家庭用需要に支えられるなど新型コロナウイルス禍で低迷していた品目が一部回復に向かっている。感染再拡大で外食需要の回復が当面見込めない地域もあり、家庭用需要も含めた開拓が重要になっている。
牛肉は13%増の32億円。国・地域別では米国が2・5倍の5億円。香港、台湾、シンガポールなど主要輸出先で前年を上回った。
JA全農は、米国に現地企業と共同出資し設立した牛肉加工会社で、消費者向けカット商品を販売している。「コロナ禍で和牛の外食需要は減ったが、インターネット販売は好調」という。牛肉の輸出拡大に向けて、ステーキなどで使われる高級部位以外も含めた販路開拓が鍵になっている。
畜産物は鶏卵、豚肉の伸びも大きい。低迷していた日本酒も62%増の31億円と前年を大きく上回った。
一方、援助用を除く米は、1%減の6億円と前年を割った。アジアで業務用需要が回復傾向にあり10月は前年を大きく上回っていたが、11月は苦戦した。リンゴは15億円で34%減となった。青森県によると、最大の輸出先の台湾で南半球産の在庫が多く残っていたことなどが影響したという。
1~11月の累計額は8215億円で前年同期から0・2%減と、前年水準まで回復してきた。ただ、12月は欧州で再び飲食店の営業が規制されるなど新型コロナの影響が再拡大している。政府は30年に5兆円まで増やす目標を掲げるが、20年は1兆円の到達も厳しい情勢だ。
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2021年01月15日

11県合同トマト販促 首都圏100店舗で 鍋料理や機能性宣伝
冬春トマトの主産11県のJAグループが、首都圏のスーパーで合同販促を展開している。11県合同での冬季の店頭販促は初めて。17社と協力し、先週の3連休と今週末に、100を超える店舗で実施する。鍋など体が温まる料理やトマトの機能性を伝えるポスター掲示や推奨販売を通じ、厳寒期の販売を盛り上げる。
参加するのは、茨城、栃木、群馬、千葉、静岡、愛知、岐阜、福岡、佐賀、熊本、宮崎11県のJA全農県本部や経済連。……
2021年01月15日
大雪で物流停滞 ジャガイモ6割高に 貨物列車運休
強い寒波による大雪で物流が乱れ、ジャガイモの供給が全国的に不足している。主産地の北海道産が、積雪の影響で鉄道の運行が止まり、道内に荷物が滞留。本格的な運行再開は週末にずれ込む見込みだ。緊急事態宣言を受けて小売りの仕入れが増える中、需給が逼迫(ひっぱく)し、相場は急騰している。……
2021年01月14日

コロナ禍で業務用卸苦境 家庭向けに販路転換
ドライブスルーネット予約販売
新型コロナウイルスの感染拡大で業務用卸が苦境に立たされている。時短営業や来店客の定員制限などで飲食店向け食材の需要が落ち込んでいるからだ。こうした状況を解決しようと家庭用に販路開拓する動きが進む。
東京都大田区の業務用野菜卸、フードサプライは、4月からキャベツなどの野菜約20種類が入った詰め合わせを1箱3500円からドライブスルー販売する。……
2021年01月12日

国産で輸出加工品を 中国向けに高級ジュース 全農
JA全農はホクレン、サントリーと共同で、輸出向けの高級商品「北海道産プレミアムりんごジュース」を開発し、中国で販売に乗り出した。富裕層がターゲットで、2月に始まる春節での需要を狙う。日本からの農産物加工品は輸入原料が多く、全農は国産を原料にした加工品輸出のモデルとして、新たな需要を開拓したい考えだ。
12月に発売した。原料は北海道産のリンゴで、700ミリリットル瓶2本入りの贈答向けの商品とした。JA全農インターナショナルが開発・輸出し、サントリーの中国法人、三得利が販売する。
新型コロナウイルス禍を踏まえ、eコマース(EC=電子商取引)で販売する。サントリー中国法人のECサイトで、春節向けの贈答品としてPRする。中国で知名度のある、卓球日本代表の石川佳純選手(全農所属)もPRサイトに起用している。また、インターネット交流サイト(SNS)でのPRも予定している。
販売は、価格設定や需要について調べるテスト販売の位置付け。全農は輸出拡大に向けた政府の関係閣僚会議などで、輸出加工品の原料として国産の利用を広げる必要を訴えている。今回の取り組みで、そうしたモデルを率先して探っていく。
全農は「全農グループの素材を生かし、サントリーと共同で新たな輸出の需要を作り出したい」(輸出対策部)と話す。
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2021年01月11日

[新型コロナ] 中華圏向け米輸出拡大 コロナ禍 調理楽しむ若者も増
中華圏(中国、台湾、香港)への日本産米輸出が急増している。高級レストランなどの外食需要に加え、新型コロナ禍による在宅勤務の増加、家庭消費も堅調に伸びている。さらに、巣ごもりで調理を楽しむ若者のニーズもつかんでいる。
人気堅調
北京在住の農産物卸売市場関係者は「調理を楽しむ若者の間で、日本米の人気が高い」と評価する。新型コロナ禍を契機に、自家料理を楽しむ若者が増加。その多くが趣味として新料理に挑戦するが、オンラインで手軽に高級感を味わえる食材が人気を集めており、その一つが日本米という。
日本の財務省貿易統計によると、中華圏向けの2020年1~11月の精米輸出量は、前年比78%増の7523トンと、過去最高だった19年を上回った。そのうち、香港向けが同87%増の4620トンと、6割を占める。台湾、中国向けもそれぞれ、同72%増、59%増となった。
集客要素
岡山県マスコット「ももっち」を活用した日本米祭り(11月、台北SOGO忠孝店で、鼎三国際企業提供)
「外食チェーン店が日本米の取扱量を増やしている」。日本米の大手輸入業者の鼎三国際企業の林定三会長は話す。新型コロナ禍の影響で、外食の回数が減少する中、日本米を取り入れた高級メニューを売りに集客を狙う外食企業が続出しているという。台湾大手食品会社の乾杯集団は、傘下のチェーン店で使用する米全てを日本米にしている。
家庭向けの需要も堅調だ。大手スーパーのSOGOなどは昨年11月20日から10日間、日本米祭りを開いた。新型コロナ禍で来場者は減少したが、期間中、オンライン注文も含め10トンが売れた。1日20袋(5キロ入り)売れた計算だ。
特に、産地キャラクターの登用が成果を上げた。例年、日本の産地から関係者が訪れ会場を盛り上げるが、昨年は新型コロナのため林会長はキャラクターに着目。岡山県の「ももっち」が販促を支援した。林会長は「子連れ家族に人気で販売につながった」と話す。
消費倍増
「米消費が倍に増えたよ」と日本米ファンの50代女性。例年は、共働きで外食が多く、子ども3人も学校で昼食を取っているため、1カ月当たりの消費量は5キロ程度だ。しかし、新型コロナ禍の影響で、在宅勤務が増え、子どもらの休校も重なって「1日3食を家で食べるため、米の減り方が半端じゃない」という。
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2021年01月10日

新潟の日本酒 アマビエお酌 大阪で県がPR
新潟県は6日、ボトルに日本酒を注いでテークアウトできる蛇口を大阪・梅田のアンテナショップ「新潟をこめ」に設置した。少量から気軽に日本酒を楽しめ、タブレット端末を通して蔵人(くろうど)に質問もできる。新型コロナウイルス禍で売り上げが落ち込む日本酒の消費拡大につなげる狙い。20日まで。
感染防止のため、ペダルを踏むと注がれる仕組み。蛇口には疫病を退散させるといわれる妖怪「アマビエ」をかたどった。県の担当者は「試飲感覚で新潟の銘柄を知ってもらい、リピーターを獲得したい」と話す。
日本酒は1日1銘柄を提供し、県内六つの蔵が順番に登場。各銘柄1回ずつ、最大6回利用できるサブスクリプション(定額課金)プランも用意した。
ボトル1本(170ミリリットル)600円(税別)。サブスクプランは最大2000円(同、開始日で異なる)。1時間半ずつの3部制(午前11時、午後2時、5時半)。各回先着40人。
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2021年01月07日
21年農畜産物トレンド 1位は「コロナ対応」 「ネット取引」も急上昇
日本農業新聞がまとめた農畜産物トレンド調査で2021年の販売キーワードを流通業者に聞いたところ、「新型コロナ(ウイルス下の)対応」が1位となった。「ネット取引・宅配」も急上昇して存在感を示す。堅調な家庭消費は続く見通しで、輸入から国産へ回帰する動きも見られた。
21年のキーワード(複数回答)は今回新たに加えた「新型コロナ対応」が48%で最多だった。……
2021年01月05日

活況願って 宝船“出航” 東京で生花初市
東京都中央卸売市場の各市場で4日、切り花の初市が開催された。大田市場の花き卸・大田花きでは、首都圏の農家が切り花や枝物で制作した宝船2艘(そう)がせりにかけられ、いずれも15万円で落札された。
大田市場の切り花取引本数は239万本で前年比8%減。新型コロナウイルス禍で年始に休業する小売店が多く、荷動きは平年より鈍かった。
せり前に大田花きの磯村信夫社長は「昨年は家で花を楽しむ需要が高まった。今年も頑張って花を各家庭に届けていきたい」とあいさつした。
宝船は、同社に出荷する首都圏の農家でつくる「親和会」が制作。菊やランなど季節の花材や枝物で作る「大黒丸」を落札した仲卸の大森花卉は、「今年は新型コロナ禍で宝船を集客に使うことはできないため、ばらしてから花束にして販売する予定だ」と話す。
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2021年01月05日

[震災10年 復興の先へ] トウガラシ 新たな特産に 栽培仲間集め一味を商品化 福島県南相馬市 小高工房・廣畑さん
東京電力福島第1原子力発電所から20キロ圏内にある福島県南相馬市小高地区。2016年に避難指示が解除されたものの、住民の居住率はいまだ53%と低い。そんな中、1人の女性が新たな特産づくりで町おこしをしようと「小高トウガラシプロジェクト」を発足させた。地域住民と手を取り合い、かつてのにぎわいを取り戻すため奮闘する。(高内杏奈)
大好きな町 取りたい戻し
呼び掛け人は、トウガラシの加工を手掛ける小高工房の廣畑裕子さん(62)。……
2020年12月29日