シャイン初の王座 広がる需要に対応必要

 ブドウ「シャインマスカット」の人気の勢いが止まらない。東京など4大市場で取引された2020年産ブドウ(10月中旬まで)の中で、流通量が「巨峰」を抜きトップになった。シャイン人気を定着させるためにも、品質重視の栽培に励むと同時に、多様化する販売先のニーズに合わせた供給が必要だ。

 日本園芸農業協同組合連合会(日園連)によると、20年産シャインの10月中旬までの流通量は8901トンで、流通量全体の31%を占めた。一方、巨峰は25%(7363トン)で、シャインが初めて首位になった。

 シャインは、農水省が所管する農研機構・果樹研究所が開発し、06年に品種登録された。種無しで皮ごと食べられる手軽さや、食味の良さから人気に火が付いた。

 政府関係の研究機関が育成した品種のため、県育成品種などと比べて種苗の入手は容易で、産地は導入しやすい。最新の統計である17年には41都府県、1378ヘクタールまで拡大した。今なお多くの地域が産地化に取り組み、成木化も進んでおり、今後も供給増が見込まれている。

 シャインの魅力は取引価格からも分かる。出回りが本格化した11年の4大市場の流通量は420トンで、1キロ価格は1574円だった。その後、流通量は毎年増え、10倍以上になった18年以降も、同2000円前後で推移している。手軽さや食味の良さだけでなく、棚持ちが良く、スーパーを中心とした流通業者の評価も高い。外食業者も注目するようになった。大手外食チェーンで、パフェの食材に活用するケースも見られる。

 流通量が漸増傾向の中、市場関係者の「今年は販売に苦戦して価格は低迷するだろう」との見方を、毎年のように覆し続けてきた。今シーズンも、新型コロナウイルス禍で単価の高い農産物の苦戦が予想され、シャインにも同様の見方があったが、「巣ごもり需要」が旺盛で、好調な販売となった。

 しかし、市場関係者の中には「シャインだから売れる時代ではなくなった」との声は少なくない。生産拡大に伴って品質のばらつきが生じているためだ。増産が今後も見込まれる中、一過性のブームで終わった場合、多くの産地が価格低迷に苦しむことになる。そうしないためにも個選、共選にかかわらず、生産者一人一人が、食味など品質重視の栽培に励むべきだ。

 また、販売先のニーズへの対応も重要だ。これまで販売の中心だった果実専門店や百貨店などは、従来通りの大房で粒の整ったものへのニーズが高い。一方、流通量の6割を占めるとされるスーパーでは、パック売りに対応した小房を求める声が増えている。

 ブドウの主力品種として、需要の多様化に合わせ、目指す販売先を産地ごとに設定し、そのニーズに応え、消費の定着とブランド化につなげよう。
 

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