農業分野の技能実習生 1~3月2000人予定 人手不足を懸念 入国停止で農相
2021年01月16日
野上浩太郎農相は15日の閣議後記者会見で、1~3月に来日を予定していた農業分野の外国人技能実習生らが約2000人に上ると明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、技能実習生を含む外国人の新規入国は停止中で、生産現場の人手不足が問題となる可能性がある。野上農相は影響を注視しつつ、代替人材の確保を後押しする考えを示した。
昨年12月末時点で今年1~3月に来日予定だった技能実習生らの数を、都道府県やJAなどに聞き取ってまとめた。昨年もコロナ禍による入国制限で3~9月に技能実習生ら約2900人が来日できず、人手不足となる農業経営が出ている。
野上農相は会見で「今後、日本にいる技能実習生らの在留延長や他産業からの雇用などによる代替人材の確保が必要になっていく」と指摘。代わりの人材の確保に必要な経費を支援する「農業労働力確保緊急支援事業」を通じて、生産現場を支える考えを示した。
政府は14日から緊急事態宣言の解除まで、例外的に認めていた技能実習生らビジネス関係者も含めて外国人の新規入国を一時停止している。
昨年12月末時点で今年1~3月に来日予定だった技能実習生らの数を、都道府県やJAなどに聞き取ってまとめた。昨年もコロナ禍による入国制限で3~9月に技能実習生ら約2900人が来日できず、人手不足となる農業経営が出ている。
野上農相は会見で「今後、日本にいる技能実習生らの在留延長や他産業からの雇用などによる代替人材の確保が必要になっていく」と指摘。代わりの人材の確保に必要な経費を支援する「農業労働力確保緊急支援事業」を通じて、生産現場を支える考えを示した。
政府は14日から緊急事態宣言の解除まで、例外的に認めていた技能実習生らビジネス関係者も含めて外国人の新規入国を一時停止している。
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榎本牧場チーズ 山口県岩国市
山口県岩国市の榎本牧場のチーズ工房の自家製チーズ。新鮮な生乳と塩だけを原料に粘りと滑らかさにこだわり「モッツァレラ」、サクランボ大に成型して小分けした「チェリー」、裂けるチーズの「ストリング」の3種類がある。循環型酪農で飼養する牛の搾りたての牛乳から作るチーズは味わい深く、癖がないので食べやすい。お勧めの食べ方は、「モッツァレラ」にトマトを合わせてオリーブオイルを掛けたカプレーゼ。
100グラム入り540円(チェリーは572円)。JA山口県の直売所FAM’Sキッチンいわくにで販売する。問い合わせは榎本牧場、(電)0827(74)0955。
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2021年02月25日
農地所有法人要件 無理筋の緩和を許すな
農地所有適格法人の議決権要件緩和の是非を巡る規制改革推進会議での検討は、期限まで1カ月余りとなった。同会議が意見を聞いた農業関連法人からは、法人買収や農地転用へ懸念が指摘された。同会議には、株式上場の解禁を視野に要件緩和に誘導しようとの思惑が透けて見えるが、無理筋である。
推進会議の検討課題は、農業法人が円滑に資金を調達する方策である。政府が規制改革実施計画に盛り込み、今年度中に検討し結論を出すとした。
同適格法人の要件について推進会議では①2分の1未満としている農業関係者以外の議決権制限の緩和②株式上場の解禁──の是非が焦点化。農外出資を拡大しやすくするのが狙いだ。これらを認めれば一般企業が経営を支配し、農地を事実上取得できるのと同じになる。
農水省の調査では、農業法人の資金調達の主体は融資だった。同省は、出資による資金調達の課題として、農外議決権を2分の1未満まで認めていることと議決権のない株式の活用が知られていないことを挙げる。これは、現行制度の下でも出資を増やせることを示している。
推進会議の農林水産ワーキンググループ(WG)が昨年12月に行った農業関連法人3社からの意見聴取でも、農業は制度資金が充実し、融資で資金を調達しやすいとの見方が強かった。一方、議決権要件などを緩和すると同適格法人が買収され農地が不正転用されるケースが出てくる可能性とその対策の必要性や、外国資本に支配されれば食料安全保障上問題になることなどについて指摘があった。
WGの委員からも質問の形で、敵対的買収で外国企業に買われることや、企業撤退後の農地荒廃への懸念が示された。
しかしWG座長の佐久間総一郎日本製鉄顧問は、意見聴取後に「選択肢として、上場していく道をもう少し整備することが重要」とまとめた。親会議の推進会議でも「(制度資金は)補助金。これは長続きしない、競争力がつかない」と、出資拡大方策へのこだわりを見せた。
国家戦略特区の兵庫県養父市で認めている企業の農地取得特例の全国展開を関係閣僚の慎重論や与党の反対論を無視し、特区諮問会議の民間議員がごり押ししようとしたことと重なる。
われわれは、農家や、農業者主導の同適格法人といった地域に根差した農業経営に農地所有は限るべきだと主張してきた。農地は地域の貴重な資源であり、農地や水の利用調整をはじめ地域と調和し、農業振興や、自らの暮らしの場である農村の維持・活性化への役割発揮が所有者には求められるからだ。
同適格法人の議決権要件などの緩和は、一般企業による経営支配に加え、農地の資産価値に基づく投機の対象化や、実質的経営者が分からなくなることなどにつながる恐れがある。資金調達の方策は、法人の要件とは分けて論議すべきである。
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2021年02月24日

古里の食知って 6校に広島菜漬 JA広島市
JA広島市は、広島菜の主要産地である安佐南区川内地区近郊の6小・中学校に広島菜漬約1・5トンの提供を始めた。初日は職員や生産者を代表してJA YOUTH広島市佐東支部の倉本守支部長、広島菜委員会の溝口憲幸会長らが市立川内小学校を訪問。広島菜本漬2500袋(1袋180グラム入り)を贈った。
JAは例年、食農教育の一環として近隣の学校に、広島菜漬センターで工場見学や住民を中心に収穫を祝う広島菜まつりを開く。だが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となった。
小・中学校への提供は、郷土愛を育んでもらおうとJA共済連広島と初めて企画した。本漬とは一般的な浅漬けと異なり、半年以上漬け込んだ独自の製法で調味した広島菜漬で常温保存が可能だ。JAは、2月末までに6校へ8520袋を届ける予定だ。
営農経済部の橋岡由夫副部長は「家庭で広島菜漬のおいしさを知り、広島菜を後世につなげてほしい」と話す。
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2021年02月27日

「南農ナシ6号」育成 病害に強く高糖度 長野県
長野県は、中生品種の梨「南農ナシ6号」を育成した。黒斑病や黒星病といった病害に強い。高糖度で果汁が多く、すっきりとした甘味としゃきしゃきした食感が特徴。県では県オリジナル品種「南水」につなぐリレー品種として期待を寄せる。
県南信農業試験場が育成した。……
2021年02月24日

豪にイチゴ初輸出 施設条件クリア 岐阜県・全農
【ギフ】岐阜県、JA全農岐阜、JAぎふは25日、国内トップを切って県産イチゴをオーストラリアへ輸出を始めた。昨年に同国が日本産イチゴの輸入を解禁したのを受け、進めてきた生産や選果梱包(こんぽう)施設の登録などがこのほど完了。同日、岐阜市内の県JA会館前で出発式を開いた。
輸出されるのは(株)本丸いちご本圃(本巣市)が生産した……
2021年02月26日
新型コロナの新着記事

コロナ禍で需要減 豚レバーで薫製 消費拡大へ 家庭向け人気 千葉県食肉公社
新型コロナウイルス禍による需要減少で廃棄処分されていた豚レバーが、薫製加工をした商品として人気を集めている。食肉出荷・加工を手掛ける千葉県食肉公社(千葉県旭市)が、独自の熟成法と薫製で味を改良した「豚レバースモーク」を道の駅などで販売。緊急事態宣言の解除を見据え飲食店ではメニュー開発も進んでおり、地域を挙げて消費拡大に向けて動き始めた。
豚レバーは串焼きやレバニラ炒めの材料として、居酒屋やレストランを中心とした外食産業に需要があった。しかしコロナ禍で外食需要が低迷。同公社では最大約9割が廃棄処分になったという。
「一般家庭向けに豚レバーを使えないか」。同公社の若松重伸取締役営業部長らは、昨年7月ごろから新商品の開発に着手。独自の調味液に漬けて零下2~0度前後で氷温熟成し、桜チップでいぶして香り付けをした「豚レバースモーク」(約100グラム330円)を作った。若松部長は「ねっとりとした食感を味わってもらいたかった。豚レバースモークを通じて消費を拡大したい」と期待する。
千葉県は豚の飼養頭数が全国5位の60万3800頭(2019年2月1日時点)と豚は身近な存在だが、若松部長によると「豚レバーのスモークはなじみがない」という。昨年11月、千葉市の商業施設でテスト販売をしたところ、見込みの20個を大幅に上回る約100個を売り上げた。
今年1月に旭市の道の駅季楽里あさひや旭食肉協同組合本店の他、県内の道の駅や直売所で販売を始めたところ、評判を聞き付けた客が相次ぎ、売り切れの店も出た。季楽里あさひの江本伸二駅長は「これまで聞いたことのない商品だったが、いまではスモーク目当てで来店する人もいるほどの人気だ」と驚く。
メニュー開発 飲食店も意欲
市内では新たな豚レバーメニューの開発も進む。ハンバーグとケーキの専門店「キッチンツナグ」は、ハンバーガーに豚レバースモークを加えるなどメニュー開発に余念がない。2月からメニューで目立つように「旭市豚さんのレバーパテ」「スモークレバー」と記載したところ、店内や持ち帰りで注文する客が増えたという。豊田維代表は「コロナ禍で来店客は減っているが、豚レバーのメニューは反応が良い。今後も新たなメニューを出して千葉から豚レバーを広めたい」と意気込む。
同公社では学校給食への提供を目指し、ソーセージなども開発中だ。
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2021年02月27日

緊急事態延長で飲食限界 倒産増加 止まらず
新型コロナウイルス感染症対策で政府が10都府県の緊急事態宣言を3月7日まで延長したことで、飲食店などの外食業界にとどまらず、食材の卸業者や生産農家への一層の打撃は避けられない。2020年の企業の休廃業と飲食業の倒産は2000年以降最多に上り、緊急事態宣言延長で外食業界は限界が迫っている。
東京商工リサーチによると、20年に休廃業・解散した企業は、2000年の調査開始以来最多の4万9698件だった。……
2021年02月05日
花ある暮らし推進 需要喚起へ発信強化 コロナで農水省
緊急事態宣言の再発令で販売が低迷する花きの需要喚起に向け、農水省は29日、花を飾ったり、贈ったりして楽しむことを呼び掛ける「花いっぱいプロジェクト2021」を始めると発表した。昨年行った取り組みをリニューアル。消費者向けに花きの情報を集めた特設サイトを同省ホームページに新設し、花飾りや花贈りの機運を高める国民運動も新たに行う。
同プロジェクトは、新型コロナウイルス禍を受けて昨年3月に開始。自治体や企業に花の活用を提案し、消費者に花の購入を呼び掛けてきた。同省は取り組みにより、「(花き業界から)通販などで家庭での需要が伸びたとの声が聞かれた」(園芸作物課)とする。
緊急事態宣言の再発令で、業務用を中心に販売が再び低迷する中、同省はプロジェクトをリニューアル。新設したサイトでは、身近にある花屋などを紹介した「応援ショップリスト」、飾り方や長持ちさせる方法などを伝える「花飾りお役立ち情報」などを掲載。企業や団体によるキャンペーン情報なども発信する。
国民運動は、同省が消費者や企業などから募り、「花いっぱいプロジェクト応援隊」をつくる。応援隊がインターネット交流サイト(SNS)を通じて活動を紹介し、花飾りや花贈りの機運を高める。取り組みの課題などを話し合うオンライン意見交換会も実施。活動の質が高まるようにすることを見込む。
野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で、「国民の皆さまには、家庭で花を飾ったり、大切な人に花を贈っていただければ」と述べた。
同省でも正面玄関や記者会見場を花で飾ることや、バレンタインデーやホワイトデーに合わせた職員による花の購入などを予定している。
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2021年01月30日

クラスター発生2カ月 北海道・旭川厚生病院 地域医療の要 再開へ 組合員、住民ら安堵
新型コロナウイルスで全国最大規模の311人の感染クラスターが発生した北海道旭川市のJA旭川厚生病院が、診療を再開した。国立感染症研究所や保健所などの指導で徹底した感染対策を講じ、終息したと判断された。外来は予約制で対応し、2月から施設内健診も再開する。道北地帯の地域医療の要だっただけに、JA組合員や地域住民は安堵(あんど)している。(尾原浩子)
ホテル通勤、「風評」耐える
同病院は旭川市だけでなく、道北各地の自治体から住民らが頼りにする地域の基幹病院だ。医師や看護師らおよそ1000人の医療スタッフが働く。市内の他病院で感染が広がり、転院患者を受け入れるなど、コロナ禍の地域医療を守るために対応してきた。
専門家が「最高レベルの感染対策」をしてきたと評価する同病院だったが、昨年11月20日に陽性者を確認した。その後感染に歯止めがかからず、外来を停止するなど診療制限をせざるを得ない異例の事態となった。中でも、道北各地から多くの人が頼りにしていた産婦人科の外来診療と、年間800件を担ってきた分娩(ぶんべん)の休止は地域医療に深刻な影響を与えた。
同病院は対策本部を立ち上げ、国や北海道のクラスター対策班、保健所、近隣病院やJA北海道厚生連の他の病院の協力を得て、事態の収束を目指した。
その間、病院の職員は苦しい生活を強いられた。一部の職員は感染拡大を防ぐため自宅に帰らず、同厚生連が契約したホテルから通った。家族に会えない中でも使命感で医療に従事し、涙を流しながら働く職員もいた。職員自身が陽性者でないにもかかわらず、家族や子どもが職場や保育園に通えなくなるなど、厳しい状況が続いたという。
12月下旬には感染拡大の歯止めにめどが付いた。同月22日には旭川医大との連携で救急母体搬送、新生児救急搬送の一部再開に踏み切った。同月30日以降は陽性者の発生はなく、1月26日、森達也院長が記者会見で終息を宣言した。
北海道厚生連 中瀬省会長に聞く 懸命の対策効かず ウイルスと壮絶な闘い
JA北海道厚生連の中瀬省会長に28日、終息までの経緯や受け止めを聞いた。
JA北海道厚生連の中瀬省会長
──クラスターが発生した理由は。
発生した理由はまだ分かっていない。しかし、感染者を最初に確認した時はほぼ満床状態で、市内の他の医療機関でもクラスターが発生していた。転院も難しく、陽性患者と感染していない患者を分けるのが困難だった。
目に見えないウイルスの感染防止は非常に難しく、国立感染症研究所や保健所の指導を受けながら対応したが、感染者数が多いこともあり、感染に歯止めがかからなかった。クラスターが発生した時点で一部の診療を残し、診療を休止した。北海道厚生連のネットワークで他の厚生病院、本部からも応援スタッフが対応に当たった。
感染拡大は医師や看護師が悪いわけでは決してない。森院長が会見や会議で「申し訳ない」と謝罪する姿を見て、とてもつらかった。ある職員が泣きながら感染症の専門家である恩師に「どこが悪かったのか」と訴えていたと聞いて、自分も涙が出た。一生懸命やっているのに、それでも抑えきれない。ウイルスとの闘いは壮絶だった。
──診療再開をどう受け止めますか。
診療制限で地域住民ら多くの人に迷惑をかけ、本当に申し訳なかった。ゾーニング対策や検査の拡充など徹底し終息に至り、ここまで来られた。
私はもち米を作る農家で、病院に精通しているわけではない。今回、命を預かる病院職員の使命感と存在の大きさを、改めて知った。毎日の朝夕のウェブ会議で、森院長、看護部長、事務部長らがどうやって終息させるかを真剣議論しているのを聞き、心が震えた。病院は単なる建物ではなく、たくさんの立場の人が集まって地域医療を守っていることを痛感した。
地元(JA北はるか)から病院までは車で2時間かかるが、診療再開で地元の組合員から「ほっとした」「待ち望んでいた」と聞き、本当にこの病院は道北の地域を守っているのだと痛感した。まだ受け入れの制限はしているが、再開を伝えられてよかった。
上川地区13JAの組合長会をはじめとする全道各地のJA、組合員、子どもたち、地域住民、職員OB、厚生連にお世話になったという患者、関係者ほか、多くの人から支援を頂いた。物資や寄せ書きなど、温かい支援に心から感謝している。
──改めて国や組合員に伝えたいことは。
厳しい状況だが、国や道、自治体からの支援のおかげで経営が成り立っている。長期戦なので、息の長い支援を国や道などにお願いしたい。
組合員や住民には、ちょっと油断すれば感染が広まることを知ってほしい。多人数の会食を控え、マスクや手洗いは徹底し、みんながちょっとずつ辛抱する。流行させないという努力をみんなですることが、コロナ対策の一歩になる。
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2021年01月29日

コロナ下節分に葉物や実 魔よけ飾り試験販売 大田花き
花き卸の大田花きは、2月2日の節分に向けて葉物や実を使った魔よけ飾りを初めて開発した。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、「疫病退散」の意図を込めた。首都圏のスーパー限定で試験販売する。店頭価格は500~600円を想定し、来年以降の本格販売を視野に入れる。
縁起物の植物を束ねて壁に飾るタイプで、大きさはA4サイズ。厄よけに用いられるヒイラギに加え、古来、神聖なものとされるヒカゲノカズラ、一部地域で豆まきに使われるラッカセイ、「難を転じて福となす」ナンテンの実などを合わせた。
大田花きと買参人の加工業者とで、計400個を手作りした。首都圏に展開するスーパーのサミットとヤオコーで限定販売する。今後は業者の加工ラインで効率よく生産できるよう、花材や組み方などを工夫していく。
同社は「花業界の物日ではなかった節分に、新しい需要をつくる」と今後を見据える。
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2021年01月29日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(下) 引きこもり生活一変 新たな居場所 たくましく歩む
「自信はまだないけれど、怖いほど迷いがない。きっと僕は農業が好きなんだと思う」。新型コロナウイルス禍の2020年度に日本農業実践学園に入校した18人の中で最年少、28歳の雙田貴晃さんが、ナスを促成栽培する温床を作ろうと土壌を掘り返しながら、白い歯を見せた。
挫折からしばらく引きこもりの生活が続いた。外の世界に連れ出してくれたのが農業だった。
諦めた司法試験
「理系一家」の末っ子だ。……
2021年01月21日

メロン・大葉 相場低迷 再発令 時短営業響く
緊急事態宣言の再発令に伴う飲食店の時短営業や休業を受け、一部青果物の相場低迷が加速している。メロン「アールス」の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は平年の3割安を付け、前回発令された4月上旬と同水準に落ち込む。刺し身のつま物に欠かせない大葉も、業務需要が減って平年の3割安に低迷。小売りでの販売にも勢いがなく、相場を下支えできていない。
小売りも勢い欠く
メロン「アールス」は12月、「GoToキャンペーン」の活況により、上位等級を中心に引き合いが強まり、歳暮需要も加わり高値で推移。だが、年が明けて環境は一変した。中旬(19日まで)の日農平均価格は1キロ799円と平年の32%安で、同4割安を付けた日もある。東京都中央卸売市場大田市場では、初市以降、静岡産の高値が1キロ4320円と止め市の半値に急落し、一時は同3240円まで下げた。
卸売会社は「正月に百貨店や果実専門店に客足が向かず弱含みとなる中、再発令が重なった。ホテルやレストランが営業縮小し、売り先がない。低価格帯を中心にスーパーに売り込むが、上位等級と下位等級の価格差が縮まっていく」と厳しい展開を見通す。
加温にコストがかさむ厳寒期の軟調相場に、産地からは嘆息が漏れる。主産地の静岡県温室農業協同組合によると、交配から収穫までは、 50日程度。収穫時期をずらすことができず、供給の調整は難しい。「コストをかけ、丹精したものに値段が付かないのはつらい。スーパーなどへの販売を通し、家庭での消費拡大に期待したい」と話す。
小物商材も厳しい販売を強いられている。大葉は、1月中旬の日農平均価格が1キロ1690円。元々需要が減る時期ではあるものの、平年の28%安と低迷が顕著だ。
産地は前回の宣言時、巣ごもり需要で好調だったスーパーに販路を切り替えた。ただ、「今回はスーパーからの注文は勢いを欠き、相場を下支えし切れない」(卸売会社)情勢だ。
主産地を抱えるJAあいち経済連は「業務筋が大半を占める契約取引分の販路を新たに確保しないといけない」と説明。春の需要期の販売も見据え、コロナの早期収束を望んでいる。
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2021年01月20日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(中) 国際協力から転身 「まず農家に」 地に足着け精進
吹き抜ける風が肌寒さを増した2020年11月下旬、水戸市にある日本農業実践学園の講義用あずまやで、多品目の野菜農家を目指す吉田誠也さん(30)が、パソコンに野菜の生育データを打ち込んでいた。背後には自身で種から育てた10品目の畑が広がる。
東京大学大学院で植物のバイオテクノロジーや分子生物学を修め、昨春から海外で農業の国際協力に携わるつもりだった。「半年前まではここにいるとは想像できなかった。でも、本当はこれが本来の順序。急がば回れで、新型コロナウイルス禍で僕は農家への道に踏み出す決断ができた」
入校者数が右肩下がりを続けていた実践学園は、研修生がゼロとなった19年度と打って変わり、20年度は18人が入校した。
2021年01月20日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(上) コロナで体感「農業っていい」 多業種から入校生 日本農業実践学園
0度近くまで冷え込んだ晩秋、丘陵地のビニールハウスの中は春のような暖かさで、イチゴの白い花の周りには蜜蜂の羽音が響いていた。「蜂が近くに来ても払わないで。攻撃されるかもしれないから」。水戸市の郊外、新規就農者の専門学校「日本農業実践学園」の研修施設。2カ月前に入校し、1年後にイチゴ農家として独立を目指す小林克彰さん(39)が、実習作業の手伝いに来た妻の瞳さん(37)に語り掛けた。
克彰さんは、芸能人のホームページやコンサート情報を制作していた自営のウェブデザイナーだった。会社員だった30歳の頃、副業として会社が認めていた個人受注が増え、独立を決意した。2年前に工業デザイナーの瞳さんと結婚し、埼玉県三郷市に居を構えた。克彰さんが自宅で仕事、瞳さんが会社勤め、2人の生活は順風だった。
2021年01月19日

緊急事態下、切り花低迷 葬儀縮小し輪菊平年の半値
政府の緊急事態宣言再発令を受け、業務や仏花で使う切り花の相場が大きく下落している。主力の輪菊は平年の半値近くで、カーネーションやスターチスなど他の仏花商材も低迷する。都内卸は「葬儀の縮小が加速して業者からの引き合いが弱く、小売店の荷動きも鈍い」とし、販売苦戦の長期化を警戒する。
日農平均価格(全国大手7卸のデータを集計)を見ると、年明けから軟調だった輪菊の相場は、東京など4都県で緊急事態宣言が発令された後の11日以降、一段と下げが進んだ。11都府県への拡大が決まった13日には1本当たり28円と、昨年4月の宣言発令時以来、9カ月ぶりに30円を割った。15日は35円とやや戻したが、平年(過去5年平均)比28円(45%)安と振るわない。
15日の市場ごとの相場も、前市から小幅に反発した東京こそ39円だったが、大阪と名古屋で27円となるなど、大消費地を抱える宣言発令地域での低迷が目立つ。
輪菊の主産地のJA愛知みなみは「上位等級の値が付かず、平均すると平年より1本当たり30~40円安い。需要の落ち込んだ状況が続けば、来年度は定期契約で販売できる量が減り、作型の変更も検討しなければならない」と訴える。
黄菊の主産県のJAおきなわも「直近まで冷え込みが強く、例年より出荷量が少ないのに相場は上向かない」と、白菊の低迷が黄菊にも影響していると実感する。
スーパーの加工束向けも低調だ。「花持ちする時季で、店の仕入れも進まない」(都内卸)。スターチスは平年比3割安、カーネーションやLAユリは同2割安など、仏花の相場低迷が深刻だ。切り花全体の平均価格も56円と過去5年で最安水準で推移。入荷量は平年以下だが、行事の中止や縮小で需要が減少し供給過多となっている。
別の都内卸は「輪菊は供給量が落ち着けば相場をやや戻す。しかし需要は当面戻らないので、安値の展開は避けられない」と、苦しい販売環境を見通す。
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2021年01月16日