[あんぐる] この表情(フェイス)作り物(フェイク)なの!? 宮地岳かかしまつり(熊本県天草市)

万国旗が飾られた「宮地岳かかしまつり」の会場。陸上競技の選手などを模したかかしに見物客も混じる(熊本県天草市で)

かかしのポーズを調整する碓井さん。趣味の能面作りの技術を生かしている

 熊本県天草市宮地岳町の田んぼに毎年春、変わった“住民”が大勢現れる。正体は農家らが作ったかかしだ。1カ月半の「宮地岳かかしまつり」の間、人口518人の町に420体のかかしが立ち並び、2万人以上の見物客が押し寄せる。来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックより一足先に、アスリートを模したかかしが熱戦を繰り広げている。

 かかしは、地元農家ら約60人が昨年10月から半年間かけて準備した。針金や木の骨組みを、稲わらや農業用のシートで肉付けし、古着を着せている。

 特徴は顔だ。発泡スチロールの塊から削り出した頭部に和紙を貼り、絵の具で丁寧に表情を描いている。制作者の一人で、農家の西口イツエさん(76)は「どんな表情で何色の服を着せようかと、わくわくしながら作る」と楽しさを語る。

 「盆踊り」や「授業風景」といったテーマを毎年設けており、今年は五輪を取り上げた。熱戦を繰り広げる陸上競技や重量挙げなどの選手を制作。昨年までに作ったかかしもポーズを変え、応援団として設置した。

 見物客は会場を自由に歩き、間近で“観戦”できる。熊本市から友人と訪れた会社員、池田暖菜さん(24)は「視線を感じて振り返ったら、かかしだった」と面白がっていた。

 かかしの制作は2009年の春、地域の老人会が始めた。初めの年は6体だったが、年を追うごとに増え、14年に地域を挙げてのまつりに成長。その後は毎年、新作を約50体作り足している。

 会場には農作業や地域の風習を再現したかかしも飾り、地域の魅力をアピールしている。今年は5月6日ごろまで飾る。

 かかしまつりの発起人で、元教師の碓井弘幸さん(80)は「再来年には、かかしの数が町の人口を超える。にぎやかだった頃の地域の活気を、かかしで取り戻したい」と語った。(富永健太郎)
 

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは