農地バンクを活用 集落丸ごと担い手へ 兵庫

今後の農地管理計画について話し合う橿林自治会長(右から2人目)ら(兵庫県上郡町で)

 兵庫県で、集落の農地を丸ごと農地中間管理機構(農地集積バンク)に預け、地域内外の担い手農家に集積・集約する新たな取り組みが動きだした。地域の合意形成を土台に、農地をまとまった形で貸し出すことで、担い手が敬遠しがちな中山間地などの農地の付加価値を高める。水路や畦畔(けいはん)などの管理を集落が担い、担い手が農業生産に集中できる体制も整備。両者が連携して農地を守る仕組み作りを目指す。地域での話し合いを重視したことが取り組みを後押しした。(斯波希)
 

合意形成丁寧に 水路・畦畔は地域で管理


 「集落の半数が65歳以上。このままでは農地の管理ができなくなるという危機感があった」

 同県上郡町奥集落で自治会長を務める橿林喜代和さん(69)は、傾斜が急な畦畔が目立つ農地を前に、厳しい表情を浮かべる。農地を維持できなくなれば、集落の衰退につながりかねない。危機感が、集落全体での話し合いにつながった。

 解決策を探る中、県の農地バンクを担う兵庫みどり公社からの提案で、2017年から自治会や農会の役員、地権者らによる話し合いを開始。2年かけ集落の農地を丸ごと農地バンクに預ける合意形成を図った。

 今年3月には、集落と担い手が農地管理に関する申し合わせを締結。集落の守るべき農地138筆、約23ヘクタールの9割に当たる約21ヘクタールを、バンクを通じて担い手農家3者に集積した。

 管理作業全てを担い手に任せず、水路やため池の維持管理、獣害対策を集落で担うなど役割分担を明確化。米の直接支払交付金の廃止などで厳しさが増す担い手の経営環境を踏まえ、協力して農地を守る体制を整えた。水路などの管理費用は、中山間地域等直接支払制度を活用する予定だ。

 19ヘクタールを借り受けた担い手農家の大長利英さん(47)は「共用部分の管理や獣害対策などは、個人同士で話し合うのではなく、集落とやりとりした方がスムーズにまとまる。特に条件が厳しい中山間地では、集落がまとまり、担い手が効率的に農地を引き受けられる環境を整えることが重要」と強調する。バンクを介すことで、地権者との契約に関する事務作業なども軽減できた。

 兵庫みどり公社では、「人・農地プラン」の具体化など、地域の話し合いを土台に、集落の農地を丸ごと担い手に集積・集約する取り組みを「いきいき農地バンク方式」として、今年度からのバンク活用促進の柱に位置付ける。

 同公社の山内博司副理事長は「話し合いは時間がかかるが、将来を見据えて集落の農地をどう守るのかについて合意形成することが大事」と強調。「バンクの活用には、農地を集積することによる生産性向上という目的だけでなく、農村の持続的な発展を目指すという視点も欠かせない」と指摘する。

 農地集積バンクを巡っては、関連改正法が5月に成立。地域の徹底した話し合い促進などへ向け、見直しをしている。 
 

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