[2019参院選] あす投開票 1票に農村の未来託す

 参院選はあす投票日を迎える。憲法改正、年金や社会保障、消費税増税、地方創生、そして農政。何で判断し、どの政党、候補者に託すか。未来を見据えた意思表示をすることが大切だ。

 憲法改正など多くの争点は今後の国の在り方や暮らしに直結する。だが、選挙戦では争点隠しや、批判などに終始し、論争が深まっていない。具体性のない楽観論を振りまいたりする場面も目立つ。主要野党は32ある1人区で候補者を一本化したが、各党で主張に温度差がある。これが与野党の対立軸を見えにくくしている。

 今回の参院選は、環太平洋連携協定(TPP)、日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)発効後初の大型の国政選挙となる。選挙後には米国との貿易協定交渉が正念場を迎える。米の生産調整見直しなどの一連の農政改革は軌道に乗っているのか。生産基盤の弱体化

をどう克服していくのか。農政でも重大な案件が山積みだが、論戦はかみ合わないままだ。

 日本農業新聞は各党首の地方での演説内容を調べた。安倍晋三首相は山形県酒田市で約18分の演説をしたが、農政への言及は約1分半だった。その中で強調したのは農業所得増や農林水産物の輸出拡大の成果だった。公明党の山口那津男代表が福岡県北九州市で行った演説では、農政には触れなかった。立憲民主党の枝野幸男代表が新潟県長岡市の約9分の演説で農政について語ったのは38秒だった。

 安倍政権は成長戦略の柱に農林水産業を据え、規制緩和や改革を推進してきた。野党は国会論戦で農政の軌道修正を求めてきた。その割には与野党ともに言及が少なく、内容も表層的なものにとどまっている。

 安倍首相は、農業所得増、若い新規就農者の増加、農林水産物輸出の拡大などの成果を強調する。だがこれらの成果が、農村地域の活性化につながっているのか。生産基盤の弱体化が農産物価格を上げ、所得を押し上げている側面はないのか。輸出増は農家の所得の向上につながっているのか。総合的な検証が必要だ。

 選挙では、1人区が勝敗の鍵を握る。1人区は東北、北信越など農業県が多くを占める。3年前の参院選では、自民・公明の与党が東北を中心に11選挙区で敗北した。米の生産調整見直しなど農政への不信感や不満が根強いことが大きな要因とみられる。

 このため与野党は連日のように、代表や幹部が1人区に入り、支援を呼び掛けている。だが、農家が知りたい農業・農政の話題はわずかで、アピールに終始している。各党の代表や候補者らは、もっと丁寧に農政について語り、十分な判断材料を示すべきだ。農業や農村、子どもたちの未来を選択する1票となる。各党の主張や公約を見極め、農村の意思をしっかりと国政に届けよう。
 

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