米改革2年目 価格安定で経営を守れ

 米政策改革2年目となる2019年産の相場は、前年産並み水準で形成され始めた。だが、作付けが前年と同程度の産地が多く、作柄を含めて供給過剰になる懸念も残る。需要に応じた生産と農家所得の確保へ、改革が円滑に進む総合的な対策を検討すべきだ。

 19年産を巡って、主力の新潟・一般「コシヒカリ」は、JA全農県本部が単位JAに提示する19年産の仮渡金(JA概算金)を60キロ当たり1万4900円と、前年産の追加払い後から100円高の小幅上げで設定した。富山「コシヒカリ」は前年産から横ばいの1万3000円。福井「コシヒカリ」もJAが生産者に支払う内金(生産者概算金)が前年産と同額の1万3200円を中心に設定された。今後、関東や東北など、後続産地の動向に注目が集まる。

 産地や流通業者からは「今年産米の価格の居所を探るのが難しい」との声が上がる。その背景にあるのが供給過剰への懸念だ。農水省がまとめた19年産主食用米の作付け意向(6月末時点)では、作付面積を前年並みと見込むのは全国の7割を占める32都府県。国が示した19年産の適正生産量は前年の生産量を下回り、このままでは需給が緩む恐れがある。

 一方、高齢化や担い手不足による稲作基盤の弱体化が顕在化している。米価の安定は農家所得や担い手確保の絶対条件となる。年間を通じた安定的な販売には、苦戦がちなJAの集荷のてこ入れも重要だ。

 JA全農はこうした状況を踏まえ、JA概算金や相対取引の基準価格を設定。19年産の収穫前契約では、「あきたこまち」や「ひとめぼれ」などの主力銘柄の基準価格を前年産とほぼ横ばいの60キロ当たり1万4000円台中心とした。出来秋に作柄や需給環境を踏まえて上下10%の範囲で調整する。これに対し、値頃な業務用米を求める声もあるが、大手米卸は「横ばいの価格が安定的な取引と農家所得の両面を確保できる落としどころではないか」と分析する。

 米の価格は乱高下を繰り返してきた。農水省の相対取引価格を見ると、10年産から17年産にかけては毎年60キロ当たり1000円以上の大幅な値動きが続いた。価格が下落すると経営悪化や離農が進み、価格が大きく上がると米の消費離れが加速するジレンマが続いてきた。

 米政策を転換した18年産以降、価格は落ち着き、おおむね横ばいとなっている。作柄の影響で辛うじて需給が均衡している面もあるが、価格の安定を実現してきた。とはいえ、米消費量の減少ペースは年10万トンに拡大しており、需要に応じた生産へのハードルが上がる。

 19年産は前年産並み価格で徐行運転が始まったが、課題は山積みだ。米価をどう安定させ、農家経営と稲作基盤を守るのか。米の消費減にも歯止めをかける必要がある。議論と対策を急ぐべきだ。
 

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