日米貿易協定で調整 牛肉SGまず24万トン 発動基準毎年上げ TPP修正を要望 

米国 日本産に低関税枠


 9月下旬の署名を目指す日米貿易協定で、日本が設ける米国産牛肉の緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)案が分かった。発効直後の4月から1年間の発動基準数量を、環太平洋連携協定(TPP)の4割の約24万トンに設定。オーストラリアなどTPP参加国にはSGの修正協議を求め、全体としてTPP水準に抑える方向で調整する。一方、米国は既存の仕組みを活用し、実質的に日本産牛肉に適用できる低関税輸入枠を拡大する。

 SGは輸入量が一定量を超えた場合、関税を引き上げ急増を食い止める。TPPでも参加国全体に設定され、19年度は60万トンとなっている。

 日米協定ではTPPとは別に、米国産の発動基準数量を独自に設ける。仮に19年度内に発効した場合、20年度の発動基準数量を24万トンに設定。その後はTPPと同様に27年度までは毎年2%、32年度までは同1%ずつ増え、33年度には29万トンまで増えることになる。

 18年度の米国産牛肉輸入量は25万5000トン。米国向けSGの発動基準数量は、現行の輸入量以下に抑えるが、米国は初年度からその95%をTPP参加国と同じ低関税で輸出できることになる。

 オーストラリアなどとの修正協議が必要となるのは、TPPのSG発動基準数量が米国離脱後も米国を含む数量のまま変更されていないためだ。日本は協定署名後、早期の修正協議を求める。

 米国との間では3年以内に協議し、TPPが修正されていれば、TPPの発動基準数量を米国にも適用することをサイドレターなどで約束する方向で調整。ただ、米国と競合するオーストラリアなどが修正に応じるかは不透明。協議が不調に終われば、TPPで想定した以上の量の牛肉が低関税で流入する恐れがある。

 米国は日本産牛肉を輸入しやすくするため、世界貿易機関(WTO)協定に基づく既存の関税割り当て(枠内税率1キロ4・4セント)を活用する。

 国を特定しないその他の国向けの約6万5000トンの枠を、日本も使えるようにする。今は中米ニカラグアなどがこの枠を利用しているが、「日本が率先して枠を使えば有利に輸出できる」(交渉関係者)とみられる。

 元のTPPでは、米国は既存のWTO枠とは別に日本向けの3000トン(1年目)の無税枠を設けることになっていた。
 

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