経済性より安全性 環境改善費国が支援 韓国 

充電式運搬車の導入で箱を小さくした経緯を説明する農村振興庁の金さん(左)(韓国・全州市で)

 韓国農村振興庁は、農作業事故の予防に力を入れている。現場視点で支援事業を進め、農家に好評だ。事業には①農作業安全モデル事業(2006~15年)②農作業環境改善便宜装備支援事業(08~17年)③作物別の適切な安全管理実践事業(15年~)──などがあり、事業費はこれまで1100億ウォン(1ウォン0・1円)を超える。支援を受ける現地の農家を取材した。
 

農作業事故防止 農家意識も向上


 ソウルから南に車で2時間、全羅北道全州市。50アールの連棟ハウスでトマト体験農場を運営する柳奇秀さん(62)は13年、農作業安全モデル事業に参加した。支援金1億ウォンに、自己負担5000万ウォンを加え、トマトの高設栽培を始めた。腰を曲げたり、ひざまずいたりして長時間作業する土耕栽培の課題を解決するためだ。

 高設栽培ベンチは、上下、左右に動く。イチゴを栽培する場合はベンチを高めに、トマトを栽培する場合は低めに設定する。移植や収穫の作業をする際は、通路を広めに調整できて出入りがしやすく、作業効率も高まった。

 同農場は、農作業環境改善便宜装備支援事業にも参加し、良好な作業環境づくりにも取り組む。1輪台車に20キロの箱を積んで運んでいたが、4輪の充電式運搬車で10キロの箱を運ぶように改良。柳さんは「1輪台車のときはよくバランスが崩れた。農作業環境を改善して作業が非常に楽になり、痛かった手首も治った」と笑う。

 同市の金亨宰さん(57)も支援事業で作業環境を改善した。30アールでトマトを栽培し、定植や収穫の際は1輪台車で20キロのものを運んでいた。支援事業で07年、ハウス内の通路にレールを設置し、箱を積んだ荷台を運ぶ。ひざまずく作業では移動椅子を利用した。

 金さんは「安全意識が高まった。昔は経済性を優先し、作業装備を買わなかった。現在は安全を優先し、自費でも農作業装備を購入する農家が増えている」と話す。

 韓国農村振興庁は、農作業事故の予防に向け、さまざまな支援事業を進めている。

 進行中の安全実践事業では、19年には40億ウォン、80カ所で事業を進めている。作物別の成長段階(定植、収穫)における危険要素(作業姿勢、収穫物の重さなど)を分析し、安全装備(レール運搬、運搬車など)を開発、支援する。

 同庁安全保健室の金孝喆研究士は「農家と握手してみると、手にけがを負っている人が少なくない。心が痛む。農作業事故の予防事業を一層強化すべきだ」と強調する。
 

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