[スマート解決 地域の課題](3) 震災復興→GPSトラクター 宮城県東松島市・アグリードなるせ

安部さん(右)からドローンの指導を受ける遠藤さん(宮城県東松島市で)

 東日本大震災による津波被害を受けた宮城県東松島市。同市野蒜地区で土地利用型作物を手掛ける農業法人、アグリードなるせで今年から働き始めた遠藤敬宏さん(21)は「最新の機械を使った農作業は楽しいし、やりがいが出てくる」と話す。自動操舵(そうだ)トラクターの操作や、ドローン(小型無人飛行機)を使った薬剤散布の一部を任されている。農家戸数が10分の1以下になった地域に、若者や元住民を呼び込み、震災からの復興を支える道具として、スマート農業に期待が高まっている。
 

若者を魅了 即戦力に


 同地区は仙台湾の沿岸部にある。押し寄せた津波で多くの農機が流された。離農につながり、震災前80戸の農家は5戸に減った。法人は離農する住民の農地を引き受け続け、2019年に経営面積が100ヘクタールを超えた。設立した06年の3・3倍だ。

 地域の農地を守るには労働力が必要だ。「人と機械のマッチングで震災復興につなげたい」と語るのは、法人で社長を務める安部俊郎さん(62)。スマート農業を使った省力的な稲作に挑戦する。

 今春に直進機能付き田植え機や衛星利用測位システム(GPS)アシストトラクター、汎用(はんよう)コンバインを導入した。ドローンを使った稲の生育診断に手応えを感じている。上空から撮影した水稲の葉色を解析し、追肥時期や量、倒伏軽減剤の使用などの判断に役立てる。これまではカラーチャートを片手に水田を一枚ずつ回り、手間が掛かっていた。今年は1日で水田50ヘクタール分の調査が終わった。

 法人は従業員9人で構成し、仙台市など都市部から通う従業員もいる。平均年齢は38歳。安部さんは「スマート農業には人を引き付ける力がある」と若者の就業を促す他、経験が浅い従業員の育成に期待する。「ドローンを操作してデータを解析できれば生育調査は誰でも可能。トラクター操作を補助してくれる。就業したての従業員も、すぐに戦力になる」とみる。年齢が若いほど新しい機械になじみやすい。

 震災から8年が経過しても、県内には被災の爪痕が強く残る。

 県農政部農業振興課普及支援班の木村政浩班長は「高齢化と震災による離農で県内では100ヘクタールを超える経営体が今後も増えるだろう。こうした農地を守る経営体にはスマート農業が必須。アグリードなるせにはモデルになってほしい」と語る。
 

おすすめ記事

営農の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは