東北産の花活用 東京五輪・パラ ビクトリーブーケ決定
2019年11月13日

副賞への採用が決定したビクトリーブーケ(東京都中央区で)
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は12日、メダリストらに贈呈する副賞として、「ビクトリーブーケ」の採用が正式に決まったと発表した。花き業界でつくる日本花き振興協議会がデザインを手掛けて、東日本大震災で被災した東北産の花を中心に構成したオリンピック用、パラリンピック用を合計約5000束用意する。大会理念に「復興五輪」を掲げる中、業界の念願だったブーケの採用で花きによる被災地の復興を世界に発信する。
2種類のブーケは、福島産のトルコギキョウ、岩手産のリンドウを共通の花材として使用する他、オリンピック用には宮城産のヒマワリ、パラリンピック用には宮城産のバラを採用。大会の公式キャラクターの「ミライトワ」「ソメイティ」のマスコットを添えて提供する。
日本花き振興協議会の磯村信夫会長(大田花き社長)は「世界に誇る高い品質の花きをブーケとして届けたい」と熱を込めた。
2種類のブーケは、福島産のトルコギキョウ、岩手産のリンドウを共通の花材として使用する他、オリンピック用には宮城産のヒマワリ、パラリンピック用には宮城産のバラを採用。大会の公式キャラクターの「ミライトワ」「ソメイティ」のマスコットを添えて提供する。
日本花き振興協議会の磯村信夫会長(大田花き社長)は「世界に誇る高い品質の花きをブーケとして届けたい」と熱を込めた。
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良い年純国産で 「大門のしめ縄」最盛 愛知県岡崎市
愛知県岡崎市大門地区で作られる工芸品「大門のしめ縄」の生産が、最盛期を迎えている。鮮やかな青色の稲わらが特徴で、夏に専用品種を青田刈りして年末需要に備えてきた。地域に根差し、需要は堅調。今年は「地域団体商標」の登録も受けて、しめ縄産地のブランド維持に努める。
大門のしめ縄は明治時代に生産が始まった。いまは5戸で構成する大門〆縄(しめなわ)協同組合が、年間30万本を生産する。12月にピークを迎え、近隣のスーパーやホームセンターに並ぶ。
水稲は、しめ縄専用に品種「東海千本」または黒穂(古代米)を作付けし、7、8月に青刈りをする。大小さまざま25種類あるしめ縄に使うため、高さ1メートルほどで刈った後、追肥して再び50センチほどに伸ばして二番刈り、また三番刈りもして、多様な長さの稲わらを用意する。収穫後はすぐに乾燥させて、年末まで保管する。
組合の代表を務める蜂須賀政幸さん(62)は「暑い盛りに収穫するのは大変だが、きれいな青色を維持するために必要な作業だ」と話す。最盛期には約40戸のしめ縄農家がいたが、徐々に減少。それでも需要は堅調で、正月飾りとして、多くの住民が買い求める。
今年5月には、特許庁の地域団体商標に登録された。輸入品に押される中、稲わら生産からしめ縄作りまで一貫して行う“純国産”をアピールする。蜂須賀さんは「近年は需要に生産が追い付かないほどで、地域の正月には欠かせないもの。作り続けたい」と話す。
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2019年12月14日

農水補正予算5849億円 政府・与党 和牛倍増へ奨励金
政府、与党は12日、2019年度農林水産関係補正予算案を固めた。総額は5849億円で、18年度に比べ152億円(2・5%)減。このうち来年1月に発効する日米貿易協定などの国内対策費は3250億円。目玉となる和牛生産の倍増に向けた「増頭奨励金」は、中小規模の農家への支援を手厚くするため、飼養頭数が50頭未満の繁殖農家に1頭当たり24万6000円を交付する方針だ。
増頭奨励金の交付単価は、50頭以上の農家が同17万5000円、都府県の乳用後継牛が同27万5000円とする。
奨励金を含む和牛・乳用牛の増頭・増産対策には243億円を計上。日米協定での牛肉輸出枠の拡大や中国への輸出解禁をにらみ、35年までに和牛生産を30万トンに倍増させる計画だ。
畜産地帯での機械や施設の整備を支援する畜産クラスター事業には409億円を充てる。規模要件を緩和し、中小農家の規模拡大を後押しする。
産地生産基盤パワーアップ事業(旧・産地パワーアップ事業)は348億円。流通拠点やコールドチェーンの整備に加え、中小・家族経営の継承の円滑化や堆肥を使った全国的な土づくりにも支援する。
担い手育成対策などには64億円を計上。40歳前後の就職氷河期世代に就農準備交付金を支給する他、50代の就農研修にも助成する。
棚田地域振興法の制定を受け、棚田・中山間地域対策に282億円を盛り込む。
公共事業費は2991億円。うち農地の大区画化・汎用化に270億円、水田の畑地化などに566億円を計上する。台風19号などの復旧対策は公共、非公共合わせて2144億円。
危害分析重要管理点(HACCP)に対応した輸出施設整備などに108億円、豚コレラ(CSF)やアフリカ豚コレラ(ASF)などの家畜伝染病予防費に57億円、先端技術を活用したスマート農業技術の開発・実証プロジェクトに72億円を計上する。
農林水産関係補正予算案は同日、農水省が自民党農林合同会議に示し、了承された。政府は13日にも補正予算案を閣議決定し、年明けの通常国会に提出する。
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2019年12月13日

農地減少 政府想定上回る 荒廃、転用2倍ペース 対策見直し必須
耕作放棄や農地の転用による農地面積の減少が農水省の想定を上回って進んでいる。2015~19年の5年間に発生した荒廃農地は7万7000ヘクタール、農地転用は7万5000ヘクタールに上った。それぞれ同省が想定した2・5倍、1・5倍のペースで増えた。農地の再生が一定程度進んだものの、新たな荒廃農地の発生や転用に追い付かない状況だ。
農地は1961年をピークに一貫して減少し、2019年は439万7000ヘクタールまで落ち込んだ。政府が15年に策定した食料・農業・農村基本計画に掲げる25年の確保目標440万ヘクタールを既に下回った。
19年までの5年間の減少面積は12万1000ヘクタールに及ぶ。同省が変動要因を分析したところ、5年間で新たに発生した荒廃農地と農地以外に転用された面積は、合計で15万2000ヘクタールに上る。一方、再生された農地面積は3万2000ヘクタールにとどまり、減少要因が増加要因を大きく上回った。
基本計画では、荒廃農地と農地転用を合計で8万1000ヘクタールにとどめつつ、2万7000ヘクタールの農地を再生することで、農地の減少を5万4000ヘクタールに抑える想定だった。
同省は、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払制度を使って農地保全に取り組んだ地域は耕作放棄が抑制され、農地の再生も想定以上に進み、政策が効果を発揮したとみる。一方、「高齢化の進展や担い手不足などで新たな荒廃農地の発生が大きく見通しを上回った」(農村振興局)と認める。
現行の対策だけでは、農地減少が十分に食い止められていないことが明らかになった格好。将来にわたり農地を確保するため、より踏み込んだ対応が求められそうだ。
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2019年12月14日

[活写] 真の白でお正月
静岡県浜松市で正月飾りなどに使われる「ウラジロ」の収穫がピークを迎えている。ウラジロ科のシダ植物で、その名の通り葉の裏が白い。JA遠州中央の「遠州・山の香部会」に所属する農家のうち10戸が出荷に携わり、各自が所有したり借りたりする山の斜面の草を刈り、自然に生えたものを収穫する。
農家は持ち帰った形の良い葉を大きさで4段階に選別。「大」は50枚、他は100枚ずつ箱詰めし、東京・大田市場や豊洲市場に送り出す。
今季は、昨シーズンの731ケースを上回る1000ケースの出荷を目指し、来年1月まで収穫を続ける予定。同部会役員の金指勝郎さん(44)は「最近はプラスチック製の葉を料理に添えることも多いが、お正月には本物で彩ってほしい」と話す。(釜江紗英)
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2019年12月15日

Kura Gelate(クラ ジェラート) 宮城県大崎市
日本酒「宮寒梅」の醸造元である宮城県大崎市古川の合名会社、寒梅酒造が販売するオリジナルアイス。味は「古川いちごジェラート」「大吟醸酒粕(さけかす)ジェラート」「大吟醸酒粕&古川いちごジェラート」の3種類。同酒造の酒粕とJA古川いちご部会が生産した「古川いちご」を使用する。
商品開発をした同酒造の岩崎真奈さんは「古川にもおいしいイチゴがあることを知ってもらい、大人だけでなく、子どもにも喜んでもらえればうれしい」と話す。
1個(90ミリリットル)350円(税別)。同酒造で販売。全国発送もしている。問い合わせは合名会社寒梅酒造、(電)0229(26)2037。
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2019年12月10日
経済の新着記事
WAGYU欧州で急増 日本産の遺伝資源 流通網の追跡を 畜産技術協会調べ
和牛の遺伝子を持ち、海外で飼養された肉用牛「WAGYU」の生産が欧州で急速に増えていることが、畜産技術協会の調査で分かった。米国やオーストラリアから和牛受精卵や精液が欧州に導入され、欧州産まれの和牛の純粋種や交雑種(F1)が、国境を越えて欧州内や中東に輸出されている。輸出を狙う日本産和牛肉との競合が懸念される一方、世界的な視点で和牛遺伝資源の把握が重要と同協会はみる。
和牛の遺伝資源が、国境を越えて頻繁に往来している実態が浮き彫りになった。1976年に米国へ流出したのを契機に、米国やオーストラリアを起点に各国で急速に生産が増えてきた。
ドイツでは2014年に94頭だった繁殖雌牛が17年に282頭と3倍に拡大。英国、スペインでは、2000年代前半に米国やオーストラリアから遺伝資源が導入され、2000年代後半に動きが本格化した。オランダやニュージーランドからも精液や受精卵が輸入され、受精卵移植(ET)を利用し、急速に増えている。受精卵は1個6、7万円ほど。精液はストロー1本が1450~2900円という聞き取り調査の結果も報告する。
購入した受精卵や精液を基に牛群を造り、14頭もの優良種雄牛をそろえた牧場もある。生産したフルブラッド(純粋種)の雄牛をアラブ首長国連邦(UAE)に売る予定があるという話や、ルーマニアやポルトガルに販売したとの聞き取り調査結果も紹介する。
純粋種、F1の取り組みは多様。出荷月齢は、14カ月齢の子牛で出荷する経営体がある一方、2歳を過ぎてから1年間の肥育期間を設ける経営体もあった。
英国の生産者は、系列レストランや直売所でWAGYU肉を販売し、香港への輸出経験もあった。ロンドン市内では、スペイン産や南米産のWAGYU肉が販売されている。和牛の遺伝資源も牛肉も国を越えて動いている。調査報告では生産・改良・流通を世界規模で「把握することが重要」としている。
調査は「Wagyu肉生産・流通等実態調査事業」。日本中央競馬会の助成を受けて昨年から始まり、英国やスペイン、ドイツで現地調査した。
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2019年12月15日

傷あっても味は抜群 イオン300店応援セール
イオンリテールは13日から、全国の「イオン」「イオンリテール」約300店舗で、今秋の台風で被災した地域の農産物を販売する応援セールを始めた。15日までの3日間、台風被害のあった長野産、岩手産リンゴを中心に、各地の特産品を販売する。「傷など外観はわけありでも、味は抜群」とPRし、消費拡大につなげる。
消費者が買って応援できる「がんばろう 生産地応援セール」と題し、被災地などの農産物を販売。イオン新浦安店(千葉県浦安市)では、傷などがある各地の「理由(わけ)ありリンゴ」が並んだ。
長野産サンふじ1袋(1・2キロ)537円、「ぐんま名月」同645円、岩手産サンふじ(4個入り)429円で販売している。千葉産のレモンやキャベツなども扱う。リンゴを試食した60代女性は「傷はあるが、実際に食べてみるとおいしかった」と購入していた。
リンゴ産地のJA全農長野生産販売部の長谷川孝治専任部長は「傷みがあり市場では売れない商品を提供できる。生産者にとってありがたい」と話す。イベントを主催するイオンリテール農産商品部の石井友和統括マネジャーは「生産地応援として、多くの農産物を販売していきたい」と意気込む。
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2019年12月14日

花の水揚げ正確に 絵文字17種配送ラベルに印字 オークネット・アグリビジネスが開発
インターネットによる花き取引事業を展開するオークネット・アグリビジネスは、切り花の特性に適した水揚げ方法を示すピクトグラム(絵文字)を開発した。同社によると、花き業界では初の試み。商品の配送ラベルに印字し、ひと目で理解できるようにする。知識や経験を問わず、小売店の従業員が誰でも正しい水揚げができるようにし、消費者への長持ちする花の提供につなげる。
切り花に水を吸わせる水揚げは、品質維持に欠かせない工程。水や湯を使う、茎を割る・たたく・焼くなど、さまざまな方法がある。品目や品種、スプレイ咲きかスタンダード咲きかなど、商品ごとに方法も異なる。
同社は、衣服の洗濯表示マークに着想を得て、絵文字開発に着手。尾崎進社長は「正しい方法を分かりやすく伝えれば、誤った方法による商品ロスや、店員の教育負担も減る」と、ニーズを語る。
ひと目で方法を連想できる絵文字を、17種類作った。同社が扱う約140商品を対象とし、商品配送ラベルに印字する。同じく印字した2次元コード(QRコード)を読み取れば、湯揚げにかける時間、水揚げ後の水管理など、より詳しい情報を得られる。
千葉県の生花店「U・BIG花倶楽部(くらぶ)」は、絵文字を参考にブバルディアで水揚げを実験。従来は空切りしていたが、茎を焼いた上で湯に漬ける方法に変えた。「水の含み具合に差が出たためか、葉に張りが出た」と効果を実感する。
開発に当たり、札幌市で生花店「フルーロン花佳」を経営し、各地で品質管理の講習を開く薄木建友氏が監修を務めた。薄木氏は「農家も小売り側の水揚げの仕方が分かれば、出荷時の管理の参考になる」と、産地にも有益な情報となることを期待する。
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2019年12月13日

無洗米「SAKURA RICE」世界に 業務向けで高評価 全農子会社
農畜産物を輸出するJA全農の子会社、JA全農インターナショナルは、業務需要に開発したブレンドの無洗米「SAKURA RICE」(サクラライス)の輸出に乗り出した。世界で日本食の注目が高まる中、業務用を開拓、輸出拡大を狙う。日本産や無洗米による調理作業の効率化が売り。日本食店が多くあるシンガポールで今年から、複数のチェーン店が同ブランドの扱いを始め、手応えを得ている。
これまで同社の輸出米は家庭用主体だったが、業務需要に応えるブランドとして「サクラライス」を企画した。同社によると①国産のブランド価値②品質③無洗米による作業性の効率化──を売りに営業している。品質が一定化し、多くの用途に使えるようにブレンド米とした。東南アジア数カ国で販売している。
シンガポールの海鮮丼チェーン店「哲平食堂」では、現地法人の全農インターナショナルアジアの提案を受け、全7店舗で10月からサクラライスを使う。量は毎月約1トン。山下哲平オーナーシェフは「粒がしっかりして時間がたっても冷えてもおいしい」と強調する。山下シェフが展開するうなぎの専門店など、他店舗でも今後使っていく予定だ。
哲平食堂のフランチャイズを手掛けるYCPダイニングシンガポールのショーン・タン代表は「在住日本人も当地の客も満足している。無洗米は店員の作業が楽で、現地で手に入れにくいので助かる」と評価する。
シンガポールでは哲平食堂の他、日本式の焼き肉レストラン「牛角」9店舗でも、サクラライスの使用が始まった。
全農インターナショナルは「米の輸出を増やすには業務需要を取り込むことが有効。全農のルートを生かし、青果など他品目とセットで販売拡大も期待できる」とサクラライスを起爆剤に、輸出拡大につなげる考えだ。
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2019年12月12日

[活写] こんがりきつね色
北海道滝上町の農家6戸がつくる「滝上町七面鳥生産組合」で、クリスマス向けの薫製作りが最盛期を迎えている。
各農家が7カ月ほど育てた七面鳥の半身を、ハーブや塩などが入った調味液に約2週間漬けて、蒸した後に桜のチップで約3時間いぶす。作業場には、きつね色に仕上がった七面鳥が並ぶ。
同組合の農家は畑作や酪農が経営の中心で、約30年前に冬の仕事として七面鳥の薫製を作り始めた。今では町の名物になり、全国から注文が入る。今年は今月6日に作り始め、18日までに約1800個を仕上げる予定。
組合長の畑作農家、佐々木渉さん(54)は「脂がのっておいしく仕上がった。クリスマスに家族で楽しんで」と勧める。値段は1キロ3000円。(富永健太郎)
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2019年12月12日

新米販売が苦戦 10月支出額前年割れ 消費増税影響か
新米の販売が苦戦している。消費動向が分かる総務省の10月の家計調査で、米の1世帯当たりの支出額が3年ぶりに前年を下回った。米離れに加えて、消費税増税による節約志向が影響したためとみられる。現状の小売価格は前年並みだが、米卸やスーパーは売れ行きの動向を見極めながら、価格の居所を探っている。
小売 動向探る
10月の家計調査では1世帯(2人以上)当たりの米の支出額は2944円と、前年同月を3・9%(実質)下回った。米の支出が年間で最も多くなる時期に販売が鈍化した。
消費税増税前の駆け込み需要の反動によって、消費支出全体が同5・1%減と11カ月ぶりに前年割れする中、軽減税率が適用される米でも減少が見られ、増税による節約志向が影響したもようだ。
米穀機構の11月調査でも、前年と比べた現状の販売数量の指数は、小売りや中食・外食業者が42で基準点の50を下回った。「減った」と回答する業者が多かった。
現在、スーパーなどの小売価格は前年からほぼ横ばいの展開となっている。全国のスーパー約1000店の販売データに基づく農水省公表の精米5キロの小売平均価格(10月)は、前年同月比0・5%安の2031円。秋田「あきたこまち」は1・8%安の1987円、新潟・一般「コシヒカリ」は1・4%高の2202円など小幅な上げ下げはあるが、前年並みの水準が中心だ。
米卸やスーパーの対応はまちまちだ。「購入数が増えにくいので、単価を上げて売り上げ増を目指す」(東京都内の中堅スーパー)との声がある一方「これ以上の価格上昇は消費を低迷させる」と特売で集客を狙う動きがある。「安くしても、大幅には販売が伸びない」(大手卸)との見方もある。
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2019年12月11日

機能性食品 有機JAS… 日本規格を世界へ新たに推進プラン GFVC官民協
農水省やJA全農、食品関連企業で構成するグローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会は、食品産業の海外展開を加速させる新たな推進プランを策定した。2020年度から5年間の計画で、機能性食品や有機JASなど日本独自の食品認証の仕組みを海外に普及させることが柱。日本の食品企業が現地で販売しやすくし、日本産の食品や農林水産物の輸出拡大につなげる。
14~19年度の推進プランでは、海外市場の調査などを盛り込んでいた。今回の新プランでは、9の国・地域別に実践する具体的な取り組みを示した。協議会に参画する企業の海外進出数を現状の1・6倍(200社)に拡大する目標も掲げた。
新プランによると、企業進出数が多いタイやフィリピンなどでは、現地で高まる消費者の健康志向への対応を強める。現地に進出した日本企業が、日本と同基準の機能性食品を流通しやすくするため、輸出先国へ、日本に準ずる基準の整備などを働き掛ける。ベトナムなどでは、農業生産工程管理(GAP)や有機JASなど日本型の規格や制度を普及して、日本食品の高付加価値化を進める。
オーストラリアでは、日本と季節が逆転する地理的条件を生かし、日本で栽培されているアスパラガスやメロンなど青果物の生産を拡大。アジア圏など第三国への農産物の通年供給を推進する。
このほか、①複数企業が連携した海外進出計画の策定②日本食材の現地での加工や料理として提供③スマート農業技術の海外展開──で取り組みを支援する。
同省は「日本企業の海外進出支援は、農産物自体の輸出拡大にとって重要」(国際部)と説明。同省では来年4月、政府の農林水産物輸出の司令塔組織となる輸出部が設置されるなど、農産物輸出拡大に向けた動きが加速化している。
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2019年12月11日

機能性に魅力 実需が国産要望 もち麦1年で3・5倍
もち性大麦の2019年産生産量が8000トンを超え、前年産に比べ3・5倍と急増した。健康食品としての認知度が高く、国産志向もあり市場が拡大。機能性成分が多く、各地の気候に適した新品種の導入が進み、実需の要望で産地が形成されつつある。急増してもなお需要が供給を上回っている状況で、国産の増産への期待が高まっている。
19年8000トン超 需要伸び品種充実 産地追い風
農水省がまとめた大麦の農産物検査結果(10月末時点)によると、もち麦の検査数量は8581トン、18年産実績を6000トン上回った。
県別で最も多いのは福井県の2357トン。機能性成分が多い新品種「はねうまもち」を導入し、約800ヘクタールを作付けた。4JAが取り組み、大手精麦メーカーに仕向ける。「メーカーの強い要望に応じ、従来の大麦品種を転換した」とJA福井県経済連。交雑や異品種の混入を防ぐため、産地を限定する。
次いで増やしたのが福岡県。九州が栽培適地の「くすもち二条」を前年の4倍、1243トン生産する。うち、JA全農ふくれんは県内の精麦メーカーの求めで試験的に約70ヘクタール栽培した。20年産はこれを上回る注文があるが、「他の麦類の要望もあり、そうは広げられない」(全農ふくれん)と悩ましい現実もある。
宮城県はもち麦「ホワイトファイバー」を前年の11トンから764トンに拡大。実需の関心が高く、県は種子の生産体制を整え一般栽培に踏み切った。今後も増やす計画だ。
もち麦の普及は、県が奨励品種にして、産地品種銘柄として流通させることが欠かせない。産地品種銘柄の採用は、この3年間で6県から18道県に拡大した。大半が、健康機能性が多い品種への転換だ。ビール麦産地の栃木県は、ビール麦から県育成品種「もち絹香」に替えた。「健康志向で今後の需要が見込まれるため」(生産振興課)だ。
もち麦品種は、3年前の5品種から8品種に増えた。国内最大面積となった「はねうまもち」は農研機構が開発、17年に品種登録を出願した。寒冷地向きで、新潟県、北海道でも展開中。暖地向けは「くすもち二条」「ダイシモチ」がある。各地の気候に適した品種開発も、産地化を後押ししている。
農林水産政策研究所企画広報室の吉田行郷室長は「需要に対応するには産地がまとまって品種を統一したり、十分な生産量を確保したりする必要がある」と指摘する。
もち麦は食物繊維の一種、βグルカンを豊富に含む。腸内環境改善や血中コレステロール低減に効果があるとされる。国内流通量に占める国産の割合は1割に満たない。
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2019年12月08日
輸出3カ月前年割れ 10月農林水産物 目標達成遠く
10月の農林水産物・食品の輸出額は751億円で、前年同月比で5・9%減った。前年同月を下回るのは3カ月連続。2019年の累計(1~10月)は前年同期比0・8%増の7396億円。水産物が落ち込み、緑茶やリンゴなど主要果実も振るわず、伸びが鈍化している。「19年に1兆円」という政府目標の達成は厳しい。
財務省が発表した貿易統計を基に日本農業新聞が調べた。
農林水産物の輸出は例年、収穫期の秋以降、年末にかけて増える傾向にある。しかし、政府目標1兆円達成には残る2カ月で合計2600億円以上の実績が必要。単月で1000億円を超えたことは近年なく、このままのペースでは達成は難しい状況だ。
輸出額の1~10月の累計を品目別に見ると、水産物は、6%減の2313億円と落ち込んだ。輸出先で他国産と競合したり、サバなどで相場が良い国内向けに販売を振り向ける動きがあった。
日本食の人気を背景に、牛肉は25%増の235億円と好調が続いている。日本酒も8%増の192億円、サツマイモは23%増の13億円と伸び幅は大きい。リンゴは8%減の82億円、ブドウは4%減の28億円と落ち込んだ。緑茶も2%減の119億円となった。
輸出額が伸び悩む背景には、最大の輸出先・香港の政情不安定化や、韓国との関係悪化などもあるとみられる。
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2019年12月08日
担い手サミット開幕 きょうまで静岡
第22回全国農業担い手サミットinしずおかが5日、静岡市で始まった。認定農業者ら2000人が参加し、先端技術の導入や、食料自給率の向上、農業の持続的発展などに取り組むとしたサミット宣言を採択した。6日まで。
県、JA静岡中央会などで組織する実行委員会と全国農業会議所が主催。寛仁親王妃信子さまが「農業に携われる方々が絆を深め、活力ある農業の実現に向けて力強く発展することを願います」とあいさつされた。
大会会長を務める静岡県の川勝平太知事は「農業を担う人材不足は全国的な課題になっている」と述べ、スマート農業の開発や普及を進めていくことを伝えた。
県内の担い手4人がメッセージを発表。直接販売に取り組み、経営改善したり、豚の人工授精液生産を続けたりする今後の経営や農業振興への思いを訴えた。事例発表では担い手らが、6次産業化や農産物の海外輸出について議論を交わした。
全国優良経営体の表彰があり、加藤寛治農水副大臣が農林水産大臣賞を受賞した12経営体に賞状を贈った。
6日は、県内7地域の38会場で現地視察と情報交換会を開く。次回の開催は茨城県。
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2019年12月06日