[あんぐる] 作る・自然の恵み 創る・自分の芸術 高須ハウス(茨城県取手市)

元JA支所の建物を改装した「高須ハウス」のアトリエで作品の構想を練る現代芸術家の秋良さん。床の段差は受付カウンターの跡だ(茨城県取手市で)

 茨城県取手市に、芸術家が創作活動と農作業に取り組むアトリエ「高須ハウス」がある。かつてJAだった建物で作品制作、農家から借りた畑で作物と“半農半芸”の姿勢で活動に励み、住民が集まる芸術を生かした町づくりの拠点にもなっている。

 この施設は、1999年までJA茨城みなみ高須支所だった2階建ての建物を改修して2013年2月にオープンした。広さ約120平方メートルの1階をアトリエなどに使っている。受付カウンターがあった一角など、あちこちにJAだったことが分かる跡があり、敷地にはブルーベリーの木も植えられている。

 主な農作業の場は、近くにある広さがテニスコートほどの畑だ。素材として和綿を作ろうと考えた芸術家が15年に耕作放棄地を借り、その後も、同施設を使う芸術家が耕作を続けている。現在はシソやネギなどを植え、芸術家が自分で食べる他、市内にある東京芸術大学取手キャンパスの食堂にも提供している。

 今までに壁画家や映像作家ら、11人と2組が、1、2カ月間利用した。芸術家は作り上げた作品を地域住民らに披露する展覧会を開いた後、当地を離れるのが恒例になっている。

 この施設は1999年に発足した市と同大学、市民で展開する「取手アートプロジェクト(TAP)」の取り組みの一つ。NPO法人取手アートプロジェクトオフィスが運営し、芸術家が先生役となった糸紡ぎ体験など、市民が芸術に触れる機会を増やす場にもなっている。
 
畑で野菜の手入れをする秋良さん。農作業から作品に生かすアイデアを得たという(写真左)。高須ハウスの外観。窓が多く開放的で、制作の様子を見に来る地域住民も多い
 
 鑑賞者を巻き込む劇場型の作品で知られる現代芸術家の秋良美有さん(25)は今年10月、台風19号で壊れた藤棚の木材を舞台芸術に活用する構想をここで練り、畑仕事にも打ち込んだ。

 秋良さんは「畑は心に余裕がないと雑草だらけになるなど、自分の今を映す鏡のようで面白い。創作と私流の農業を両立させたい」と話す。(釜江紗英)  

「あんぐる」の写真(全5枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます

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