[未来人材] 37歳。農業の継承へ就農希望者と高齢生産者結ぶ 若者に模範示したい 中村淳さん 茨城県つくば市

スイスチャードの収穫に励む中村さん(茨城県つくば市で)

 茨城県つくば市の野菜農家、中村淳さん(37)は、農作業を通じて引きこもりの若者の自立支援をしたり、後継者のいない高齢農家と就農希望者をマッチングしたりする活動に奮闘する。

 東京都出身の中村さんは高校を2年で中退し、引きこもりを経験。長野県の農家に住み込みで半年間、レタス栽培のアルバイトをした。朝4時から夕方5時まで農作業に没頭した。「農作業をやり切って初めて目標を達成することを経験した。農業で自分は立ち直ることができた」と振り返る。

 高校に再入学し大学を経て、会社員として5年間勤務。就農への夢を捨て切れず脱サラし、2011年につくば市の農業法人で研修を始めた。1年間研修する予定だったが、同年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故の「風評被害」で、半年で独立を強いられた。

 10アールを開墾しレタスなどを植えたが、思うように売れなかった。スーパーの店先で客に試食を勧め、独自に販路を確保し売り上げを伸ばした。今では3・2ヘクタールにニンジン、西洋野菜のスイスチャードなど年間50種を、農薬を使わず栽培する。

 震災を機に高齢化や担い手問題に関心を持ち、農業の継承を考えるようになった。17年に顧客の紹介で長野県諏訪市の限界集落を訪問。地元農家から、実家が農家の若者が集落を離れる現状を聞き、若者への農業経営の継承に生涯をかけて取り組むことを決意した。

 中村さんは、東京農業大学の実習で学生を受け入れている。だが、就農を希望する学生が農業経営を軌道に乗せるまでのハードルが高く、営農を断念すること多かった。

 そこで諏訪市に農場を構え、技術や経営の指導、販路開拓を行った上で、就農したい若者と担い手を探す高齢農家を仲立ちする活動を始めた。

 諏訪市での経験を経た若者に、各地の限界集落で担い手として活躍してもらう考えだ。

 若者を支援するのは、自身の経験が基にある。社会の厳しさを教え、自らの甘さにも気付いてもらいながら、親身に手を差し伸べる存在が必要だと気付いた。中村さんは「若者のライフスタイルに合った農業の模範例を示したい」と展望する。(木村泰之)
 

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