岡部磨知さん(バイオリニスト) 美しい音色 良い食事から

岡部磨知さん

 音大の付属高校に通うため上京するまでは、茨城県日立市に住んでいました。専業主婦だった母はもの作りが大好きな上、食品添加物が嫌い。そのため料理は手作りにこだわっていました。
 

無農薬を先取り


 当時は無農薬での農業はそれほど普及していなかったと思いますが、近くの農家さんでやっている方がいて、大きな車に野菜を積んで売りに来ていました。母はその野菜を買った上、農家さんと仲良くなって、畑に遊びに行かせてもらったりしてました。

 キャベツを洗っている時に、生きた毛虫が出てくるのは当たり前。母は「虫がいない野菜はいけない」と教えてくれました。

 無農薬野菜を買うだけでなく、庭を畑にしていろいろと作って食べていましたね。キュウリ、ナス、カボチャ、スイカ、ジャガイモ、サツマイモ……。自分たちで育てたものを収穫して食べるのは、ごく自然のことでした。

 母は梅、ラズベリー、ブルーベリーも育てていて、梅干しやジャムを大量に作っていました。家族6人の誕生日には、母の手作りケーキでお祝いです。ラズベリーとブルーベリー、2色のジャムが彩ったケーキで。

 日常のお菓子も、母の手作り。そのため市販のガムにすごい憧れがありました。

 母は発酵食品がいいと言って、みそもヨーグルトも手作り。朝食には必ずおみそ汁と納豆とヨーグルトが並んでいました。善玉菌いっぱいの朝ご飯ですよね。

 時代を先取りした超絶オーガニックな生活。30年前に、今の最先端の生活をしていたわけです。
 

母から離れて…


 高校で自炊を始めると、母は毎月大きな段ボールに保存の利く食料を詰めて送ってくれました。

 でも練習で忙しかったので、料理を作るのがだんだん面倒くさくなってきて。近くにドーナツやとんかつなどのチェーン店がたくさんあったので、そちらを利用することが増えました。

 ある日、気付いたんです。1年ほどで、身長は変わらないのに体重が10キロほど増えたことに。これはやばい! カロリー計算をして、野菜中心の料理を作って食べるように変えました。母は、ヘルシーな野菜スープのレシピを送ってくれました。大学でも同じような食生活をし、社会人になりました。

 演奏などで地方に行くことが多くなり、次々においしいものと出合いました。特に北海道。何を食べてもおいしい。ジャガイモに塩辛を載せて食べるとおいしいだなんてこと、初めて知りました。ジンギスカン、ラーメン、もちろん魚介類も。ずっと住み続けたら、無限に太ってしまいそうです。全国各地、その土地ならではのおいしい料理を食べる楽しさを知った。そんな20代でした。

 去年の秋から、ジムに通いトレーニングを始めました。演奏する時に、だんだんと体力が落ちてきてるかなと感じたので。また、筋肉がないと、体のシルエットがきれいではないことに気付きました。若い頃は体重にばかり目がいきがちでしたが、筋肉が落ちると、体重が減ってもきれいとはいえず貧相に見えてしまいます。

 トレーニングに加えて、食生活も変えました。肉、魚、大豆でタンパク質を取ることに重きを置きだしたら、お尻と背筋がキュッとしてきて、演奏中も楽になったんです。バイオリンの演奏には強いフィジカルが必要。長く活動を続けていくためにも、筋トレと食は大事だと感じています。(聞き手・写真=菊地武顕)

 おかべ・まち 1984年茨城県生まれ。桐朋学園大学大学院研究課修了。さまざまなアーティストのライブやレコーディング、イベントに参加。ラジオ「楽器学園~ガキパラ」での司会などメディアでも活躍。3月23日、東京・日比谷ビルボードカフェ&ダイニングで「岡部磨知BIRTHDAY LIVE2020」開催。
 

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