ミカン、デコポン園地に土砂 復旧 ままならず 豪雨被害の熊本県

山崩れで木や土砂が流れ込んだミカン畑(9日、熊本県芦北町で=富永健太郎写す)

 九州豪雨で被災した熊本県芦北町や津奈木町で、複数の樹園地が土砂の被害を受けていることが分かってきた。ミカンや中晩かん「デコポン」などの園地が、土砂崩れで流出。土砂で木が8割ほど埋まってしまった場所もある。地盤が不安定なまま、今も断続的に強い雨が降る。「片付けどころか近づくこともできない」。豪雨の脅威はいまだ農家を悩ませている。

 芦北町の海沿いを通る広域農道「七浦オレンジロード」。名前の由来になった道沿いのミカン山は豪雨で崩れ、ところどころ赤茶色の山肌がむき出しになっている。中でも土砂崩れがひどかったのが同町の女島地区。山肌が崩れてミカン園地を削り、七浦オレンジロードにまで流れ込んだ。土砂の量は道沿いにとめてあった軽トラックが荷台部分まで土砂に埋もれるほど。今も車は通行できない状況だ。

 同地区に住む50代の野菜農家は、土砂崩れが起きた4日の午前3時ごろ、作業のため、崩れた園地に近い小屋にいた。「ゴゴゴ」という異音と振動を感じた次の瞬間、ごう音と共に小屋の前まで土砂がなだれ込んできたという。「暗闇の中、懐中電灯で様子を見ると、隣の小屋に流木が突き刺さっていた。ぞっとした」と振り返る。

 雨が上がった午前中に現場を見に来ていた近くの米農家、釜重一さん(64)によると、崩れたのは「デコポン」を作る農家の園地。住宅も被害に遭い、今は親戚の家に避難しているという。釜さんは「この辺りは高台で、水かさが増えたときに避難してくる場所だった。まさかここで被害があるとは思わなった」とショックを隠せない。

 他にも七浦オレンジロード沿いで複数の樹園地が被害を受けている。だが、降り続く雨で樹園地の被害調査はほとんど進んでいない。同県の取りまとめによると、9日午後3時現在、樹園地の浸水や崩落などの被害で判明しているのは3件にとどまる。

 地元のJAあしきたも調査ができずに歯がゆい思いを抱えている。悪天候の影響に加え、本店やグリーンセンターなどの施設が冠水被害を受けたことで、農家を支援する体制がまだ整わない。JAの千々岩巧組合長は「何とか体制を整えて、復旧支援を始めたい」と自身も片付けに汗を流す。

 雨で農地に近づけないのは農家も同様だ。地盤が緩んでいるため、さらに崩れる危険性もある。「片付けだけでも進めたい。雨、やんでくれ」。雨雲を見ながら農家がこぼす。

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