山田たかおさん(タレント) 米と塩と水 料理の基本

山田たかおさん

 三種の神器ではありませんが、僕は神様に喜んでもらえる三つの神饌(しんせん)に興味があるんです。お米、塩、お酒の三つを奉納したいと考えました。

 それでまず、秋田県の「あきたこまち」と茨城県の常陸小田米を半々ずつブレンドしたお米を、奉納のために作ってみました。
 

商標は山田小町


 僕はお米が大好き。全国のいろんなお米を食べてきた中で、「あきたこまち」と常陸小田米を選んだのは、小野小町伝説からです。小野小町は今の秋田県で生まれ、お墓は茨城県の筑波山の麓にあると言われています。生まれた場所と亡くなった場所のお米をブレンドしたらと思ったんです。秋田の田と筑波山の山を取って「山田小町」と命名して、商標登録もしました。一応発売もしていますけど、奉納したり、「笑点」メンバーやお世話になった方々へプレゼントして喜んでいただいています。

 今年は、山田の塩というのも作りました。僕が全国の塩をいろいろ味わった中で、おいしいと感じた塩が二つあります。

 一つは鹿児島県甑島(こしきじま)のこしきの塩。もう一つは宮城県塩釜で藻を使ってこして炊いて作られる塩。これは塩の神様・塩土老翁神(しおつちのおじのかみ)が、一番良い塩ができる場所だということで製法を教えたという伝説が残っています。お米と違ってブレンドはしないで、2種類の塩をそれぞれパッケージに入れて出します。

 「山田小町」と山田の塩を使っておにぎりにすると、すごくおいしいんですよ。縁結び、塩結びのおかげです。この二つに、山田錦のお酒を加えて奉納したら、神様に喜んでいただけますよね。
 

神様9人に感謝


 僕が神社仏閣に興味を持つようになったきっかけは、20年ほど前に東京から横浜に引っ越したことです。引っ越し先の近所に山田神社という神社があるんです。横浜市の有形文化財に認定されていて、9人の神様を奉っています。僕は毎日、神社を散歩し、お参りをしています。僕のことをずっと守ってくれている山田神社の神様のため、感謝の気持ちを込めて、お米と塩を作ったわけです。

 自分が子どもの頃のことを思うと、お米と塩がどれだけ重要なものか分かります。

 あの頃の日本は、まだ粗食でした。僕は東京・深川の生まれですから、あさりを使った丼とマグロの赤身をネギと煮込んだねぎま汁がごちそう。お肉といえばクジラ。あとは納豆とおしんこでした。みそ汁は、白みそを使ったあさり汁か赤みそを使ったしじみ汁。シンプルな食事でした。でも今思い返してみると、こういうシンプルな食事が一番良い。おいしいお米とちょっとしょっぱい料理があればいいんです。お米と塩がどれだけ大切か。

 水も大切ですよね。娘は結婚して沖縄の久米島に住んでいます。そこの海洋深層水は、とても軟らかいんです。娘から送ってもらって、飲んだり、お米を炊くのに利用したりしています。これで炊くとお米の甘さが引き立ちますね。

 あと僕がこだわっているのは、しょうゆ。千葉県南房総市に高家(たかべ)神社というしょうゆの神様を奉る神社があり、しょうゆの会社が何社も奉納しているんですよ。うちではそこに奉納されているしょうゆを使っています。さすがに立派なしょうゆで、料理の味がグッと引き立ちます。

 良い素材を使ったシンプルな食事が、一番のごちそうですよね。(聞き手=菊地武顕)

 やまだ・たかお 1956年東京都生まれ。「笑点」の「ちびっこ大喜利」で座布団10枚を獲得したことで、73年に「ずうとるび」メンバーとしてレコードデビュー。84年から「笑点」大喜利の座布団運びを始める。鈴々舎鈴丸の高座名を持つ落語家であり、俳優として映画『太陽の帝国』(スピルバーグ監督)にも出演。
 

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