九州豪雨1週間 片付け ずしり重く 土付いた家具、家電の山 「終わり見えず」 熊本県芦北町

農家の桑本さん宅では親戚が集まり、室内に流れ込んだ泥や石などを片付けていた(10日、熊本県芦北町で=富永健太郎写す)

 九州豪雨の降り始めから11日で1週間。熊本県を流れる佐敷川が氾濫し、大量の土砂が流れ込んだ芦北町周辺では、現在も住民が住宅や施設の片付けに追われている。大量に出た災害ごみで、受け入れ施設の許容量も超過。茶色い土がこびり付いた行き場のない家具や家電が、道の隅に積み重なる。被災地は10日も雨が降り続き、いつ片付けが終わるのか、先が見えずにいる。(金子祥也)

 「もう固まってきているな」

 荒い息を吐きながら、若い男性が住宅に流れ込んだ泥にスコップを突き入れる。1週間がたち、住宅に入った泥は表面が固まっていた。苦労してすくうと、中にはまだ水分が残っていてずしりと重い。「腰を痛めないように気を付けろよ」。離れた場所から、別の男性が声を掛ける。

 作業現場は芦北町桑原地区の米農家、桑本道子さん(67)の住宅。家の敷地内には泥だらけになった畳やピアノ、肥料袋などがまとめて置かれている。「これでも、1週間作業してきれいになったのよ」。桑本さんは力なく笑う。

 桑本さんの家屋は、1階部分が水没。幸い、2階に避難して家族3人は無事だった。夜は同じ町内にある親戚の家に身を寄せ、朝は自宅に戻る。親戚の手を借りながら片付けを進め、何とか泥にまみれた雑貨を家の外に運び出せた。次は自宅の軒下にたまった泥をかき出す作業をしなければならない。家の周りには流木が何本も残っている。片付けがいつ終わるのか先が見通せない。10日になっても強い雨が断続的に降り、作業を中断せざるを得ない状況だ。

 桑本さんは田植えが終わった水田も被害を受けた。だが、住宅の片付けで手いっぱい。様子を見に行っただけで、そのままにしてあるという。「50年住んだ家と田畑があるけどね。この町にいるのが怖い」。片付けが終わった後に再建をするか、気持ちは揺れている。

 桑本さんの隣の住宅で片付けをしていたのは、1人暮らしの親戚を助けにきた、水俣市に住む木口伊佐雄さん(62)。作業がようやく落ち着き、考えるのは崩れてしまった自分の水田のことだ。「しっかり直せるのか。金はどれぐらいかかるのか」。不安は尽きない。

 稲作をしていたのは50代のいとこだったというが、水田の状態を見て「もうやめる」と口にしているという。木口さんは隣町に住んでいて、自分で米を作るのは難しい。親から引き継いだ大事な農地をどうすれば良いのか。家の泥を丁寧にふき取りながら、水田の行く末を思い悩む。

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