地域人材の育成 JA活性化の突破口に

 地方創生で改めて人材がクローズアップされている。暮らしの課題に寄り添い、さまざまな「解法」を考え、地域づくりのプレーヤーたちを支える。仕事を起こす、人を呼び込む。そういう人たちだ。このことはJAにも言える。地域課題に積極的に関わる「地域人材」の育成を強化すべきである。

 本格的な人口減少時代の到来、さらには新型コロナウイルス禍による地方の経済社会の長期的な収縮が懸念される。こうした中で地方、とりわけ農山村地域の持続可能な未来デザインをどう描くかが国家に問われている。田畑を山林に戻すかのような事実上の放置は許されない。同時に、地域に基盤を置くJAとして、地域の活性化にどう関わり貢献するか、戦略を組み立て直すべき時だ。

 国土全体で進む人口低密度化を背景に、近年の地方政策は人口という「量」から人材という「質」の追求にシフトした。今年度スタートの地方創生第2期総合戦略は「多様な人材の活躍推進」を柱に据える。しかも、まち・むらづくりのプレーヤーは地域住民だけではない。都市部からの移住者や、さまざまな形で継続的な関わりを持つ「関係人口」もその一人である。

 こうした人材重視の視点は、農村政策を農政の「車の両輪」に置いた新たな食料・農業・農村基本計画にも脈づいている。「新しい農村政策の在り方」を探る農水省有識者検討会のメインテーマの一つが、自治体の農政部署の弱体化に対応した地域づくり人材の育成である。

 7月末の会合で講演した生源寺眞一・福島大学教授の指摘が興味深い。自身が塾長を務める全国町村会の「地域農政未来塾」(自治体農政職員の育成プログラム)では「解答よりも解法」を探求するとし、いろいろな部署を経験した職員や部門間連携に期待を寄せた。この方が地域農業の難問を突破する「解法」が多いということだろう。

 JA職員が地域づくりに関わる場合も、総合事業のキャリアを積み、豊富な支店勤務で地域に精通した人の方が強い。現役の時以上に、定年退職して地元に戻ってから一層輝きを放つ職員がいる。数字が読める、人への応対が上手で地域に顔が広い、しかも土や植物のことを知っているという人は重宝されるのである。

 「地域になくてはならぬJA」の玄関口は人である。住民との接点の最前線に立つ職員の力量や人柄に負うところが大きい。それがあってこその事業である。JAの戦略的な人づくりが問われている。

 JAは、事業推進のためだけではなく、持続可能な地域社会に向かって活躍する「地域人材」を育てるという旗を掲げるべきだ。そのことが若い人を呼び込み、組織活性化の突破口になるのではないか。悩み事・困り事に向き合い、助け合いで解決するという協同組合の原点回帰でもあろう。

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