果実ドロ絶対許さん 警察と「守り隊」 福岡・JA筑前あさくら柿部会
2020年11月25日

柿部会と朝倉警察署の合同夜間パトロールの出発式(福岡県朝倉市で)
家畜や果実などの盗難が全国的な問題となる中、JA筑前あさくら柿部会は11月から、地元の朝倉警察署と合同で果樹園の夜間パトロールを始めた。生産者、警察署がそれぞれに巡回するケースはあるが、連携して収穫前の果実の盗難防止対策に取り組む事例は珍しい。
JA管内は全国有数の甘柿の産地。同部会では現在、生産者376人が約227ヘクタールで「富有」などを栽培。年間約3000トンを出荷している。
JA管内では2年前、朝倉市黒川地区で収穫前の梨4500個(45万円相当)など盗難が相次いだことから「高木フルーツパトロール隊」を結成。梨生産者と同警察署の高木駐在所が連携して梨園の夜間パトロールを行ってきた。
柿も2年ほど前から、管内の宮野地区、杷木志波地区などで収穫前の果実の盗難が相次いでおり、生産者からの要請で比良松駐在所や杷木交番が果樹園の巡回を実施。JA果樹課によると、今季は果実が例年よりも高単価で推移していることから、盗難防止対策が急務となっていた。
柿部会との取り組みを地域全体に広げようと、朝倉警察署9カ所の駐在署員が8月に「果樹園守り隊」を結成。JAに呼び掛けて合同パトロールが実現した。現場や園内の情報に詳しい生産者と防犯のプロである警察署がタッグを組むことで、地域全体で防犯強化につなげる。
駐在所の署員と一緒に巡回することで、不審者への対応など危機管理対策としても、高齢者が多い生産者側の大きなメリットとなる。
5日には初パトロールに向け、JA柿部会と朝倉警察署の出発式をJA中央選果場(朝倉市)で開催。管内の果樹園を地図にして情報を共有し、「特別警戒中」のポスターを生産者に配る取り組みも展開中だ。
合同パトロールは「富有」の収穫が終わる12月上旬まで続く予定。JA果樹課の後藤憲一課長と同警察署地域課の内田久武課長は「生産者が心を込めて育てた大切な果物を守るため、今後も警察とJAが一体となって夜間パトロールを行い、盗難防止に努めたい」と意気込む。
JA管内は全国有数の甘柿の産地。同部会では現在、生産者376人が約227ヘクタールで「富有」などを栽培。年間約3000トンを出荷している。
JA管内では2年前、朝倉市黒川地区で収穫前の梨4500個(45万円相当)など盗難が相次いだことから「高木フルーツパトロール隊」を結成。梨生産者と同警察署の高木駐在所が連携して梨園の夜間パトロールを行ってきた。
柿も2年ほど前から、管内の宮野地区、杷木志波地区などで収穫前の果実の盗難が相次いでおり、生産者からの要請で比良松駐在所や杷木交番が果樹園の巡回を実施。JA果樹課によると、今季は果実が例年よりも高単価で推移していることから、盗難防止対策が急務となっていた。
柿部会との取り組みを地域全体に広げようと、朝倉警察署9カ所の駐在署員が8月に「果樹園守り隊」を結成。JAに呼び掛けて合同パトロールが実現した。現場や園内の情報に詳しい生産者と防犯のプロである警察署がタッグを組むことで、地域全体で防犯強化につなげる。
駐在所の署員と一緒に巡回することで、不審者への対応など危機管理対策としても、高齢者が多い生産者側の大きなメリットとなる。
5日には初パトロールに向け、JA柿部会と朝倉警察署の出発式をJA中央選果場(朝倉市)で開催。管内の果樹園を地図にして情報を共有し、「特別警戒中」のポスターを生産者に配る取り組みも展開中だ。
合同パトロールは「富有」の収穫が終わる12月上旬まで続く予定。JA果樹課の後藤憲一課長と同警察署地域課の内田久武課長は「生産者が心を込めて育てた大切な果物を守るため、今後も警察とJAが一体となって夜間パトロールを行い、盗難防止に努めたい」と意気込む。
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種子繁殖イチゴ 民間企業で初開発 育苗期間を半減 ミヨシグループ
種苗会社のミヨシグループは15日、日本の民間企業では初となるF1種子イチゴを開発したと発表した。国内向けに2品種を展開する。種子系品種はランナーで増殖する品種と比べて育苗期間が半減でき、省力化や病害虫リスクの軽減、コスト削減などが見込める。農家が果実の品質を見るための試作用苗を今秋に販売する。同日から予約受け付けを始めた。
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2021年01月16日

5G 地方展開いつ? 中山間地こそ「スマート」必要
中山間地の農家が、スマート農業を使いこなすのに必要な第5世代移動通信システム(5G)を利用できないのではないかと、不安視している。人口が少ない地域は通信会社の実入りが少なく、電波網の整備が後手に回りがちだ。自治体主導で必要な基地局を建てる手もあるが、1基数千万円かかるなど負担が重い。「条件不利地こそ先進技術が必要だ」──農家らはスマート農業推進を叫ぶ国の姿勢をいぶかる。(木村隼人)
技術導入したいが 環境整わず 佐賀県嬉野市
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スマート農業で多用されるドローン(小型無人飛行機)には1~4レベルの設備環境がある。数字が大きいほど通信速度が速く安定しており、補助者がいなくても事前のプログラム通りに自律飛行できる。高解像度の画像を収集でき、利便性が高まる。
高レベルの活用には最先端の5Gが必要だが、普及は始まったばかり。正確なカバー率はつかめないが、大手通信会社は5G展開の指針に、人口を基準にした目標に掲げる。そのため、大都市圏を優先した整備になり、地方は置き去りにされやすい。
現在の携帯電話さえつながらない「不感地域」は全国に残っており、約1万3000人(総務省調べ、2018年度末)が不便を強いられている。総務省東北総合通信局によると、東北地方が最も不感地域が多いという。
工事期間、費用基地局開設に壁
嬉野市は総務省の「携帯電波等エリア整備事業」などを使いながら改善を進めるが「基地局を一つ開設するのに8000万円近くかかる」(市担当者)こともあり、早急な解決は難しい。
農水省九州農政局のスマート農業担当者は「効果的に普及させるためにも高速通信は不可欠。山間部などの通信環境を整えることは必要だ」と指摘するが、通信網整備の所管は総務省となるためか、具体的な改善策については口をつぐむ。
整備の遅れについて、ある通信大手は「5Gネットワークの全国整備には膨大な数の基地局が必要で、長期工事と多額の投資を伴う」とコメント。別の企業も「山間部では基地局整備に必要な光ファイバーなど伝送路の確保が難しい」とする。
だが嬉野市の田中さんは「中山間農業の課題解決のためにもスマート農業は必要。本気で普及を考えるなら、通信環境を早期に改善してほしい」と訴える。
<ことば> 5G
次世代の通信規格。日本では2020年3月からサービスが始まった。大容量・高速通信が可能。最高伝送速度と通信精度は現行(4G)の10倍。一方で、5Gが使う高周波数帯は障害物に弱い。波長が短く通信範囲が狭い特性があり、従来より多くの通信基地が必要になる。
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2021年01月15日

内閣支持急落44% 不支持が逆転 本紙モニター調査
日本農業新聞が昨年末に行った農政モニター調査で、菅義偉内閣の支持率が44%となり、発足直後の9月の前回調査から18ポイント下落した。不支持率は56%で同20ポイント増え、支持率を逆転。菅内閣の農業政策、新型コロナウイルスに関する政府の対応を評価する人はそれぞれ26%、27%にとどまり、これらが支持率の急落にも影響したとみられる。
農政「評価」26%
他の報道機関の調査でも、発足当初に6、7割台だった菅内閣の支持率は直近で3、4割台に下落している。……
2021年01月12日
農地特区 特例2年延長決定 「全国展開前提でない」 担当相
政府は15日の国家戦略特区諮問会議で、兵庫県養父市で認めている企業による農地取得の特例について、8月末の期限を2年間延長する方針を決めた。2021年度中に特例のニーズや問題点を調査し、全国展開の可否について調整する。坂本哲志地方創生担当相は同日の閣議後記者会見で、調査は「全国展開を前提にしたものではない」と述べた。期限の延長を盛り込んだ同特区法改正案は、18日召集の通常国会に提出する。
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2021年01月16日

農業施設被害5000棟超 大雪で東北・北陸など
記録的な大雪で東北3県と新潟、北陸3県では13日までに、合わせて5000棟を超えるパイプハウスなど農業施設の損傷、損壊の被害が報告された。除雪が追い付かず全体を把握し切れていないため、被害はさらに拡大する恐れがある。
各県が12日時点で把握した被害状況によると、岩手県では県南部を中心にパイプハウス2346棟に被害が出た。秋田県ではパイプハウスなどの農業施設1019棟が被害を受け、農作物を含めた被害額は3億円を超えた。山形県はサクランボや西洋梨など約65ヘクタールで枝折れなどの樹体被害や、パイプハウス474棟の被害が報告された。
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北陸3県でも13日正午現在の各県のまとめによると、富山県ではパイプハウスや畜舎、農作業場は、全壊244棟を含む336棟が被害を受けた。石川県は累計で農業用ハウス307棟などの被害を確認した。福井県では農業用ハウスの損壊が130棟に上った。
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2021年01月14日
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なくそうコロナ差別 「シトラスリボン」で運動 愛媛・JA松山市
JA松山市CS(顧客満足度)向上委員会は、新型コロナウイルス感染者や医療従事者への差別をなくす運動「シトラスリボンプロジェクト」に乗り出した。全職員が各自でリボンを作り、制服の胸元や各職場内に掲示して賛同の意を示す。今後は来店客にもキットやリボンを配り、地域への波及効果も期待する。
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2021年01月18日

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2021年01月17日

所得向上、労働力不足対応…提案通じ農家に貢献 TAC大会表彰
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最優秀のJA表彰全農会長賞となった岐阜県のJAぎふは、高収益な米・小麦の3年5作体系を提案。……
2021年01月16日

組合員加入運動に力 正准で新規500人超 福島・JA会津よつば
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加入運動は、本店の総務課が統括。……
2021年01月16日
全農TAC大会 JAぎふ最優秀
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大会は13回目。コロナ対策として発表も含めオンラインで行った。全農によると19年度は全国235JA、1644人のTACが活動を展開。6万9000人の担い手を訪問し、面談は58万7000回に達した。……
2021年01月15日

農家に“ありがとう” みんなで伝えよう 全農 「食の応援団」 虹のコンキスタドール 的場華鈴さん
JA全農の「食の応援団」を務めるアイドルグループ、虹のコンキスタドールのリーダー、的場華鈴さん(20)が、日本農業新聞のインタビューに応じた。応援団の活動で国産農畜産物のおいしさを知る一方、農家が消費者の感謝の気持ちに触れる機会が少ないことに驚いたという。得意なインターネット交流サイト(SNS)を通じ「農家や食への『感謝』を盛り上げたい」と力を込める。
農業の経験はなく、小さい時の帰り道に畑で作業している農家に「こんにちは」と声を掛けたくらい。……
2021年01月15日
環境・所得に配慮を みどりの食料システム戦略 意見交換で全中会長
農水省は1月から、農業の生産基盤強化と環境負荷の軽減を両立する技術・生産体系「みどりの食料システム戦略」の策定に向け、農家や団体などとの意見交換会を進めている。14日に行ったオンライン会合には、JA全中の中家徹会長が出席。……
2021年01月15日

ドラレコ記録を提供 犯罪解決へ県内初協定 宮城・JA古川と県警
JA古川は、業務車両に設置したドライブレコーダーの記録データを宮城県古川警察署に提供する。地域の犯罪や事故の早期解決に協力して、安全・安心な地域社会の実現を目指す。14日、JAと同署は協定を大崎市の同署で締結した。同署によると、県内で同様の協定を締結したJAは初。同署が事業所などとこのような協定を結ぶのも初めて。
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2021年01月15日

「農業男子×総選挙」広報大使 初舞台Bリーグ会場 JA東京グループ
JA東京中央会は、男子プロバスケットボールのBリーグに所属する「アルバルク東京」と協力して東京農業PRの強化に取り組む。東京都立川市のアリーナ立川立飛で開かれたホームゲームでは、「農業男子×総選挙」で東京農業広報大使となった3人の若手農家が、初舞台として試合前のコートに登場した。
JA東京グループは今シーズン(2020年10月~21年5月)、ホームゲーム開催時に同チームの選手ら……
2021年01月14日

茶 需要増へ奔走 JA京都やましろ
京都府最大の茶産地を抱えるJA京都やましろが、茶の需要拡大に奔走している。新型コロナウイルス禍などで茶価が大きく低迷する中、苦境に立つ生産者を支えようと、主力の碾茶(てんちゃ)を使う抹茶で、大手食品メーカーや地元菓子店などへの売り込みを強化する。担当部署だけでなく支店の信用共済渉外担当も営業活動を展開。二十数件の契約につなげるなど、販路を徐々に広げている。(加藤峻司)
コロナ禍で価格低迷 ブランド「抹濃」商品化
京都は玉露、碾茶といった高級品の生産量が多いが、茶の需要は高級品を中心に減少している。……
2021年01月12日