ドローン空から直まき 低コスト稲作へ 10アールわずか7分
2021年01月26日

ドローンに種を供給する加茂さん(右)(静岡県浜松市で)
水稲の直播(ちょくは)をドローン(小型無人飛行機)で行う動きが広がっている。育苗、田植えが不要で作業時間が短縮できる一方、収量の安定化には課題も残る。今年は、農水省が主食用米からの転換を支援する水田リノベーション事業で、低コスト生産を交付要件としており、取り組みの拡大も期待される。“空から直まき”の可能性と課題を追った。
ドローン直播の利点は圧倒的な手軽さだ。……
ドローン直播の利点は圧倒的な手軽さだ。……
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国土の将来像 食料の安定生産を柱に
2050年までの国土の将来像を検討する国土交通省の専門委員会が最終取りまとめの骨子案を示し、「真の豊かさを実感できる国土」を目標に掲げた。食料を安定供給できなければ豊かな国民生活は成り立たない。政府は地域の維持・振興を後押しし、食料の生産基盤を強化すべきだ。
骨子案は、同省の国土の長期展望専門委員会が提示。「真の豊かさ」の一つに「水・食料などの確保」を挙げた。委員から「カロリーベース食料自給率の問題の具体的なプロジェクトの積み上げ」(寺島実郎日本総合研究所会長)を求める意見もあり、食料安全保障の確立が国土形成の観点からも提起された。
カロリーベースの食料自給率は19年度が38%で、6割を海外に依存する。人口増加などで将来、世界的な食料需給の逼迫(ひっぱく)が懸念され、気候変動による自然災害のリスクも国内外で高まる。食料を国内で安定的に生産・供給し、自給率を引き上げ、国民の命と健康を支えることが「真の豊かさを実感できる国土」の基礎になる。
同委の最終取りまとめは、政府の国土政策の根幹となる国土形成計画の検討に反映される。国土の一部でもある農地を十分に活用し食料生産を維持・拡大することを、国民の共通課題として、農政だけでなく国土政策でも前面に打ち出すよう求める。農地を使う農業者はもちろん、保全に協力する地域住民がいなければ食料生産の継続は難しい。地域のコミュニティーの維持が食料安全保障に直結する。
農地を含む国土の管理に向け骨子案は「地域管理構想」という考え方を示した。人口減がさらに進んで農地や道路などの管理が行き届かず、地域や国全体に悪影響が出る事態を避けなければならない。そのため、まず地域住民自らが管理方法などを検討・策定し、その取り組みを支援する方向だ。地域に人がいてこそ成り立つ構想だ。農村の人口減を食い止め、新たに人を呼び込むことが欠かせない。
地域に住み続けられる環境を整え、移住の動きを生み出すために骨子案は「地域生活圏」の形成を提示した。10万人前後を目安とした圏域で、生活の利便性や経済環境の向上、人材確保を推進する。
しかし中山間地域などが外れる可能性がある。「小さな拠点」を通じて生活サービスを維持する方向を示したが、地域条件で政策支援に格差があってはならない。同地域の農家数、農地面積、農業産出額はいずれも全国の約4割を占め、食料生産にとって重要だ。集落機能が弱っている地域にこそ、てこ入れが求められる。住民や移住者にとって魅力ある環境をつくり、農山漁村の維持と食料生産の継続・拡大につなげる必要がある。
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2021年04月09日
ユダヤ難民にビザを発給して6000人の命を救った杉原千畝
ユダヤ難民にビザを発給して6000人の命を救った杉原千畝。その生涯を一人芝居で伝え続ける俳優の水澤心吾さんが、新作「賀川豊彦物語」を完成させた▼東京・新宿の淀橋教会で初披露の舞台を見た。新型コロナウイルス対策で限られた人だけの催しだったが、賀川の魂が乗り移ったかのような熱演に引き込まれた。この協同組合運動の巨人の根っこにはキリスト教の信仰があると改めて実感させられた▼水澤さんは2007年の初演以来、「決断・命のビザ~SEMPO杉原千畝物語」の公演を続けてきた。国家の命にそむいても、目の前で救いの手を伸ばす人々の命を優先した杉原は、日本よりも海外の方が「東洋のシンドラー」として知られる。米国や勤務したリトアニアなどで公演し深い感動を与えた▼賀川の存在を意識したのは3年ほど前という。「個の力ではなく、協同組合で理想社会を追求した。実践力がすごい。若い世代に知ってほしい」。賀川は「愛は私の一切である」との言葉を残している。朗読劇を見終わって、助け合いは〈助け愛〉と確信した▼協同組合に新人が仲間入り。百の座学より先達(せんだつ)の息吹に触れるのが響こう。コロナ禍が落ち着いたら、朗読劇を体感してはどうか。
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2021年04月11日
なんという精神力だろう
なんという精神力だろう。世界が見詰めるひのき舞台での堂々たる姿が、誇らしい▼米ジョージア州オーガスタで開かれた、男子ゴルフのマスターズ・トーナメントで優勝した松山英樹選手である。日本男子のメジャー大会優勝は初めての偉業。優勝者のみに与えられるグリーンジャケットに袖を通した時の顔には、大仕事をやり遂げた満足感が満ちていた▼最終日首位でのスタートだったが、決して楽なゲームではなかった。勝負どころの15番ホール。当たりが良過ぎた1打は、無情にもグリーンを越えて池に。並の選手であれば、ずるずると後退する場面である。気持ちを切らさず踏ん張り、栄冠を手繰り寄せた。ハラハラドキドキの連続は、テレビ観戦しているこちらの眠気をも奪った▼松山市生まれの29歳。アマチュアだった東北福祉大学(仙台市)の学生の時に、初めて出場権を得たが、大会目前で東日本大震災が発生。迷った末に、被災者の声に押されて出場した。苦節10年。あの時背中を押してくれた、東北への感謝は忘れない▼コロナ感染が広まる中、高齢者へのワクチン接種が始まった。そんな初日の朗報は、沈みがちな心に勇気と感動をもたらす。おめでとう、そして、ありがとう。
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2021年04月13日

緑肥作物でリン酸減肥 キャベツ、ニンジン2割 ソルガムのすき込み有効 千葉県農林総研センターが実証
千葉県農林総合研究センターは、冬取りキャベツと秋冬ニンジンの作付け前に緑肥作物を栽培してすき込むと、元肥のリン酸を2割ほど減らせることを確認した。土壌微生物中のリン酸が増え、リン酸の吸収量が増えたとみる。有機物の補給効果で、土づくりにもつながると期待する。
冬取りキャベツの作付け前にすき込むために、5月下旬から6月上旬に緑肥作物のソルガムを播種(はしゅ)し、8月にすき込む。……
2021年04月09日

ごはんのおとも 宮城・JA新みやぎ
JA新みやぎみどりの地区の振興作物であるネギ類を中心に、トマトや生シイタケなどを使っている。和食の主役「ご飯」をよりおいしく食べるために開発した。「ネギたっぷり旨辛醤油麹(うまからしょうゆこうじ)」「ネギたっぷりラー油」「ネギたっぷりキムチ」「トマト醤油麹」「しいたけ醤油麹」の5種類。
添加物はほとんど使っておらず、ご飯やおにぎりの具としてはもちろん、調味料としても活用できる。
1瓶(130グラム)「ネギたっぷりラー油」が518円。他4種は464円(同)。元気くん市場仙台南店・同仙台店などで販売中。問い合わせはJA新みやぎみどりのマーケティング室、(電)0229(87)3344。
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2021年04月08日
営農の新着記事
消石灰のコンクリ散布 効果発揮には「水まき」必須 室蘭工業大
室蘭工業大学は、家畜疾病の原因となる細菌やウイルス対策に使う消石灰について、消毒効果を得るには水分が15~20%程度必要だと突き止めた。土に散布する場合は直接散布で使えるが、乾燥したコンクリートには消石灰20キロ当たり3~4リットルの水を散布すべきだとした。消毒効果の持続期間は屋外で2週間から1カ月で失われることも確かめた。
研究は口蹄疫(こうていえき)や豚熱、鳥インフルエンザの対策として……
2021年04月13日

緑肥作物でリン酸減肥 キャベツ、ニンジン2割 ソルガムのすき込み有効 千葉県農林総研センターが実証
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2021年04月09日
農機 交通死亡事故減らず 8割単独、誤操作が主因 昨年23件
トラクターなど農耕作業用自動車が絡んだ交通事故のうち、死亡事故はほとんど減らず、横ばいで推移していることが警察庁の集計で分かった。死亡事故の8割が単独事故で、その要因はハンドルなどの「操作不適」が7割を占めた。警察庁は農水省と連携して確実な運転操作や、シートベルトとヘルメットの着用などを呼び掛けている。
警察庁がまとめた「農耕作業用自動車の交通事故発生状況」によると、2020年の死亡事故は23件、重傷事故は31件。……
2021年04月08日
省力樹形で事例集 果樹作業負担を軽減 農研機構
農研機構は、果樹の省力樹形の栽培事例集を作成した。国のプロジェクト研究の成果をまとめたもので、開発した自動走行車両や収穫ロボットも盛り込んだ。機械が導入しやすく、作業者の負担が少ない樹形を提案し、高齢化や人手不足への対応を目指す。同機構のホームページで公開している。
対象の品目は温州ミカン、中晩かん、リンゴ、日本梨、西洋梨、ブドウ、柿、オウトウ、桃、栗。……
2021年04月08日

ICTを駆使 水害対策に
水害対策に、川や池の増水を知らせるシステムが相次いで登場している。近年相次ぐ水害から情報通信技術(ICT)を駆使して命を守ろうとするものだ。地域の防災関係者などに通知し、住民に知らせるなど“防災力”の向上に期待をかける。
内水氾濫を検知 亀岡電子が京都で実証
センサーメーカーの亀岡電子は3月から、水路脇や道路脇に設置する浸水検知センサー「KAMEKER(カメカー)3」を売り出した。……
2021年04月07日

農家から店舗へ イチゴ積み公道走る ロボ2台リレー自動配送 任せて 茨城県で初実験
新型コロナウイルス下、高齢化が進む農村部での新たな物流技術の開発へ──。農家から集荷した農産物をロボットが公道を走行して店舗まで自動で配送する実証実験が、茨城県筑西市の道の駅「グランテラス筑西」で始まった。自動運転技術と配送ルートを最適化する技術を組み合わせた2台が、公道を利用して作業を行うのは国内初という。担い手不足対策や高齢化などで運転免許を返納しても農産物を出荷でき、コロナ禍での接触感染防止にも期待がかかる。実験は13日まで。(木村泰之)
労力減、感染予防も
実験では、原動機付き自転車の扱いでナンバープレートを付けた公道走行用と、道の駅の敷地内を走るロボットを組み合わせて、農園前から店舗まで届ける。初日、道の駅近くの90アールでイチゴを栽培する石川正吾さん(46)が、公道走行用ロボットにイチゴ約2キロを積み入れた。ロボットは農園前から道の駅へ出発し、無人で走行した。道の駅に着くと、関係者の手で構内用ロボットに積みかえた。安全を確認する随行者と店舗までの合計約200メートルを時速3キロで走った。
石川さんは「直売所には1日7、8キロのイチゴを出荷する。忙しくなると人手もままならない。コロナ禍で人との接触を避けたい農家が、道の駅まで出向かなくても出荷できるようになる」と新たな相棒を歓迎した。
13日までに石川さんの他、片道1キロ圏内の農家から小玉スイカやミニトマトなどを集荷したり、道の駅の商品を近隣の民家に届けたりする。
このロボットは、電動車椅子を改造したものだ。ベンチャー企業のティアフォーなどが開発した。三次元地図を記憶させてセンサーで感知した周りの状況を、人工知能が選んだ最適なルートで重さ10キロまでの荷物を運ぶ。人が遠隔監視をするが、障害物があれば自動で止まる。
実験の事務局を務める東京海上日動営業企画部の松下雄担当課長は「1台で作業を完結できることが目標だ。農家からJAの集荷場など基地までの1、2キロを自動配送ロボットが出荷を担い、免許がなくても農業を続けてもらえる社会にしたい」と力を込めた。
須藤茂市長も「自動配送ロボットは、高齢化など農業を取り巻く課題の解決だけでなく、コロナ禍で求められる非接触物流システムの可能性も検証できる」と期待した。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=yswKRrjaVxs
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2021年04月06日

無角牛の精液発売 事故軽減、乳量も豊富 ジェネティクス北海道が国内初
ジェネティクス北海道は1日、生まれつき角が生えない無角遺伝子を持つホルスタイン種の種雄牛2頭の精液を発売した。同法人によると、無角遺伝子を持つ種雄牛の精液販売は国内初。無角の牛は管理作業中に人がけがなどをするリスクが減り、除角で牛にかかるストレスをなくすことができるという。……
2021年04月02日

家畜改良センター 共同利用の新種雄牛公表 「美津福重」など10頭
家畜改良センターは、広域後代検定に参加した各県の黒毛和種種雄牛から、新たに10頭が共同利用種雄牛に選定されたと発表した。選ばれた種雄牛は全国で精液が利用できる。同センターによると今年はロース芯面積に優れる牛が多いという。
次ページに「共同利用種雄牛の血統」(表)があります
2021年04月02日

堆肥だけで野菜栽培 畜ふんをブレンド 化学肥料使わずに 畜産環境技研が実証
化学肥料を一切使わず、畜ふん堆肥だけで野菜が栽培できることを、畜産環境技術研究所が実証した。窒素が主体の鶏ふん、リン酸が豊富な豚ぷん、カリが多い牛ふんそれぞれの堆肥の特性を生かし、野菜に合わせた比率でブレンドする。粒状に加工し、追肥はせず元肥だけで栽培する。安価に堆肥を粒状にする造粒技術、造粒堆肥向けの施肥設計用ソフトも開発した。
有機農産物への需要増に応えるとともに、家畜ふん堆肥の利用拡大を狙ったもの。……
2021年04月01日

イチゴのアブラムシ防除 天敵集まる大麦活用 農研機構、資材化へ
農研機構・中央農業研究センターなどはイチゴのアブラムシ対策で、大麦に集まる天敵を使った効率的な防除を実証する。天敵のアブラバチ類とすみかの大麦、餌をセットにして資材化し、従来より導入しやすく、安定した効果を狙う。実証に参加する農家の評価も高い。2021年度中に製品化を目指す。
大麦には、イチゴに無害で天敵の餌となる昆虫(トウモロコシアブラムシなど)がすみ付く。……
2021年03月31日